伊元 啓(いもと ひろし)

日本唯一の遺産分割専門機関・遺産分割集中部の出身、裁判官視点を活かした先読み力でサポート

伊元法律事務所 | 伊元 啓(いもと ひろし)

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所在地 〒812-0054 兵庫県神戸市中央区橘通2-1-6 小野カイロビル4階
担当弁護士名 伊元 啓(いもと ひろし)
所属弁護士会
登録番号
兵庫県弁護士会
No.31263
担当弁護士:伊元法律事務所

伊元先生にインタビューしました。

大阪家庭裁判所・遺産相続専門集中部。遺産相続の専門機関である部署で3年にわたり裁判官を務められ、今は弁護士として活動なさる伊元先生。まれな経歴をお持ちの先生には、神戸はもちろん、沖縄、長崎、鳥取、島根、名古屋、東京、ひいてはシンガポールや台湾の方などの海外からも依頼もあったそうです。遺産分割集中部出身という経歴はもちろん、ユーモアに溢れたそのお人柄も熱い支持を受ける理由に違いありません。

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【対応分野】伊元法律事務所

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遺留分
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裁判官になった理由

学生時代に、近所の方が、無茶な要求をのまされたとしか思えない事案を目の当たりにして、法律を知らないと弱い立場の人が損をしてしまうのだと実感し、その理不尽さをなんとかしたいという想いで弁護士を目指したそうです。
 大学を卒業して司法試験に合格するまでの間に、法律事務所で勤務した3年間、尊敬する弁護士のもとで学んだことが有益であったようです。弁護士の努力も、これを正しく受け止める裁判官がいなければ法律で人を救うのは難しいと思い、「最終的な決断者である裁判官として、公平な判断のもと、弱い立場の方を救える人になりたい」との思いで、刑事事件や行政事件、民事事件の裁判官としてその思いを貫いて裁判を進めたそうです。

遺産分割の専門家になった経緯

遺産分割の専門家になったのは、大阪家庭裁判所の遺産分割専門部に就任したのがきっかけとのこと。その部署は、その後、財産管理事件をも担当することになって遺産分割集中部と改称したそうです。
「遺産分割は若い人の情熱をかきたてる分野ではないため、専門家が生まれにくいという事情があります。その理由は、政府の誤りをただす行政事件や、犯罪をあばき、捜査の誤りをただす刑事事件の正義は分かりやすく、グローバルな活躍を夢見る人は国際取引などの分野の方がより魅力的に映るのです。その中で地味な相続という分野で専門家を生み出しているのが東京家庭裁判所と大阪家庭裁判所の遺産分割部なのです。」とは伊元弁護士の持論です。

遺産分割集中部の特殊な環境

遺産分割部はその名の通り、遺産分割に特化した専門部署です。多数の遺産分割事件を担当できる環境はここにしかないとのことです。当時の大阪家庭裁判所の遺産分割部は、専属の調査官室を設置し、裁判官・書記官室と緻密な連携をとっていました。そのような体制をとっていたので、大阪家庭裁判所の遺産分割部は3人の裁判で年間500件、つまり1人あたり170件近い事件を担当することができたのだそうです。はじめから弁護士をしていては、経験することのできない事件数です。
 遺産分割は、常に遺産の評価が問題となりますので、専門の調査官とともに、不動産や株式、有価証券などがどのように評価されるかについて非常に詳細な調査をしました。調停委員も経験豊富な弁護士が担っており、チームで事件を解決する中で遺産分割に詳しくなることができたそうです。

弁護士活動の礎になった裁判官としての経験

裁判官の経験は「優れた弁護士とは」を考える時期でもありました。裁判官は裁判官から教わるよりも、弁護士を見て育ちます。裁判官は他の裁判をみる機会よりも、弁護士の法廷での活動をみる機会が圧倒的に多いためだそうです。
 良い弁護士のお手本をたくさん見ることが出来たことは貴重な経験です。優れた弁護士は、説得力のある主張をして、納得のいく証拠を出すスキルを持っています。裁判官の心証を動かす主張の仕方などを肌感覚で学ぶことができたことは今の仕事にも活きているそうです。

退官後のキャリアについて

裁判官を退官してからも、遺産分割を専門分野にしようと決めたわけではなく、経歴を見た方から多くの遺産相続の依頼を受けたことで、さらに多くの遺産相続事件を受任することになったそうです。もともと、弁護士の資格には差異もランクもありませんから厳密な意味で特定分野の「専門家」という弁護士はいないが、差異がないからこそ、裁判官として遺産分割部にいたという経験が依頼者からの期待となり、「相続という分野を専門にしています」といってはばからない状況にしてくれたのだと話して下さいました。

弁護士としての苦労

退官後は法律事務所に所属し、当初は、裁判官としての知見を活かして、勝ち負けをある程度高い精度で予測して依頼者の方にお伝えできる自負があり、裁判官として培った知識に照らし合わせて、結果が正しく予測できたケースもかなりあったそうです。
 しかし、弁護士が持っている情報は依頼者が持っているもので偏っていて、自分が把握した情報が全てだと思っていたら、相手から思わぬ証拠が出てきてあわてたこともあったそうです。裁判官のときとは情報源が違っていて証拠や情報が偏ってしまうことを実感し、今は、情報が偏っているという自覚を持ちつつ、裁判官の判断のパターンを先読みすることが重要だと考えるようになったそうです。

独立の理由

独立のきっかけは、後輩の弁護士から、「自分の名前で仕事をするようになって一人前」と言われて刺激を受けたことだそうです。ちょうど弁護士としてのやり方も確立されてきて、自分の志にしたがって仕事をしていきたいと考えていたタイミングでもあったそうです。そのころ、ロースクールで教鞭を執っていたこともあり、チームで仕事を進められることの有り難さが大きかったので、なかなか独立に踏み切れずにいたそうです。その反面、所属弁護士が多い法律事務所はチームで仕事をする前提ですから、ロースクールに出向くときには他の方に負担をかけることになりますし、自分の担当事件だけに注力するわけにもいかなかったとのことで、最終的には、信頼して依頼してくださる依頼者の期待に応えたい、事件は自分で務めきりたいという想いが強くなり、独立したと話してくれました。

今後の伊元法律事務所について

実は相棒が欲しいと思ってはいます。自分と同じくらい遺産分割や相続に詳しい方と切磋琢磨したいのです。誰かが裁判官をやめて来ていただかなくてはいけませんから難しいでしょうね。遺産分割部を経験したあとも裁判官を続けられる方がほとんどですので。お客様に自信をもってご紹介できる相棒がどこかにいるといいのですが。

目指す弁護士像

司法試験の受験生の頃、「誠心誠意やりなさい。裁判に負けたとしても、「先生で負けたら仕方ないです」と言われるようにやりなさい」とある当時事務員をしていた事務所の弁護士の方が仰っていて、それを目指していますとのことです。
 遺言の有効・無効を巡る訴訟を引き受け、無効を主張する依頼者の意見が通らなかったケースがありました。訴訟で負けたのにも関わらず、引き続き残余財産の遺産分割を依頼してくださったのは、それまでの進め方にご納得いただけていた結果かなと思っています。負けそうなときはこちらも必死ですからね。
「ここまでしてくれたのだから仕方ない」とお客様は思ってくださっているのかもしれませんが、実は「仕方ない」というのは全く嬉しくないんですよ、気が強いものですから。裁判官の視点では、一歩引いて物事を見るべきなのですが、相当前のめりでやってしまっています。お客様が納得していても、私の諦めがついていないこともありますね。

遺産分割と親族関係

兄弟は他人の始まりという言葉もあるように、遺産分割は家族が別れていくことの始まりでもあります。近頃は核家族化が進んで地域もバラバラに住んでいるケースも多く、親しくなくても痛みを感じない方も多いように思います。
 私は地縁・血縁を重んじる沖縄の出身で、いとこは兄弟も同然だと思っているので、人間関係が壊れるのは残念というしかありません。遺産相続を進める際にも、客観的事実を粛々と積み上げて指摘することを心掛け、感情的に物を言うことは絶対にしないようにしています。これは法律家のマナーではないでしょうか。

取材後紀

遺産分割分野で右に出るものはいないほどのスキルをお持ちでありながら、「依頼してくださるお客様が僕を専門家にしてくれた」とお話になる謙虚なご姿勢の伊元先生。弁護士としてだけではなく人生の先輩として、学ばせていただくことの多いインタビューでした。これからも遺産分割分野を牽引していかれる先生のお一人でいらっしゃると確信しています。

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