森 仁至(もり ひとし)

複雑な相続問題をベストな結論へ導きます

森法律事務所 | 森 仁至(もり ひとし)

〒104-0061 東京都中央区銀座1-14-7 和田ビル8階

受付時間: 平日 10:00~18:00
上記以外の時間帯は留守電になっていますので、メッセージを入れていただけば、ご返事致します。

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事務所名 森法律事務所
電話番号 050-5447-2332
所在地 〒104-0061 東京都中央区銀座1-14-7 和田ビル8階
担当弁護士名 森 仁至(もり ひとし)
所属弁護士会
登録番号
第一東京弁護士会
No.16213
担当弁護士:森法律事務所

依頼者の人となり

ご依頼の事案内容を十分に理解するとともに、依頼者のプロフィールや背景に関するお話をお聴きして、依頼者のひととなりを感じ取ることも大切な背景と考えています。また依頼者との信頼関係を丁寧に築くことが最も重要です。

サラリーマンを経て弁護士へ

私は東京大学法学部を卒業後、都市銀行で3年半、上場企業のメーカーに2年勤務しました。

都市銀行時代は、いわゆる「ブラック企業」と呼ばれる職場環境でした。

私が最も驚いたのは、残業代が無視されたことです。私は毎日残業をしていましたが、働いた分は正当に給与に反映されるものと思っていました。

しかし、残業代はごく一部しか支給されませんでした。「なぜ残業代は支給されないのだろう」と、疑問を抱えながら仕事を続けましたが、結局、残業代全額が支給されることはなく、労働基準法もあって無きがごとくでした。当時の先輩や同僚は「残業代が全部もらえるわけがない」と異口同音でした。

「私が子供というか世間知らずだった」と分かりました。都市銀行では自分の未来が想像できず、3年半で退職しました。その後、上場企業のメーカーへ転職することができました。

転職先は銀行とは対極にある、非常に明朗な職場環境で、快適でした。しかし、満足感もあまり感じませんでした。結局「自分は組織で働くことに向いていない」と悟り、メーカーを2年勤務で退職しました。

退職後は1ヶ月間海外で過ごし、これからの人生について熟考しました。「組織ではなく、自由な立場で働きたい」と思い、自由な立場であれば医者か弁護士と考えました。

「医者を今から目指すのは現実的ではない。なぜなら、医学部に入って学び直さねばならない。年齢的にも厳しい」一方、私は法学部を卒業していたことと、都市銀行時代の業務経験も役立つため、弁護士を目指しました。

東京大学に入り直して、司法試験合格を経て、1978年に弁護士登録し、今日に至ります。

趣味その他

■趣味
ボールルームダンスを15年やっています、ドライブで温泉にいくこと。
詩吟を始めました。

■特技
ダンスの中でもワルツが好きで特にウインナー・ワルツが得意です

■好きな本
新田次郎、吉村昭、司馬遼太郎、津本陽、宮部みゆき、浅田次郎、
藤沢周平 禁断のスカルペル、下天は夢か、無法松の一生、大黒屋光太夫、
壬生義士伝

■好きな観光地
スペイン、イタリア、東北、九州、北海道、屋久島、佐渡

■好きな音楽
ショパン、リスト、ブラームス、フラメンコ

■好きな食べ物
玄米食をずっと続けています 専用の電気圧力釜で炊きます

■好きなスポーツ
スキー、ダンス、テニス

■好きなアート
ミロ、ダリの絵画

■好きなテレビ番組
プロジェクトX、韓流ドラマ、イ・ビョンホンのオール・イン、奇皇后、 愛の不時着、イカゲーム

■好きな有名人
土方歳三

■好きな休日の過ごし方
仕事をしているかスポーツクラブで軽くトレーニング

定休日 土・日・祝
事前にご予約いただきましたら、平日夜間・土日祝日もご相談をお受けしております。
相談料 30分5,500円(税込)
最寄駅 「銀座一丁目駅 【11番出口】」より徒歩2分
※駐車場あり
対応エリア 東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県、茨城県、栃木県、群馬県
※但し、必要な場合は北海道、九州でも裁判をしています
電話受付時間 平日 10:00~18:00
上記以外の時間帯は留守電になっていますので、メッセージを入れていただけば、ご返事致します。
着手金 弁護士報酬基準により計算します。
※事案が簡明などの実情に応じて、ご希望によって着手金を減額する場合もあります。

後に、実際に獲得した遺産の額でもう一度着手金を計算し直し、着手金を無理のない金額に減額して精算を行う方法でのお支払いもお受けしております。

完全成功報酬、つまり着手金なしもあります。
報酬金 遺産分割によって最終的に手にした遺産の額を元に、弁護士報酬基準を原則とします。
※難易度、成功度合い、所要期間等により依頼者と協議して減額に応じます。
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【対応分野】森法律事務所

遺産分割
遺留分
遺言書
遺産使い込み
相続放棄
不動産の相続
相続人・財産調査
相続登記
成年後見

遺産相続の出発点は“誰の財産を誰が相続するか”

遺産相続にはさまざまな人間関係や背景が関わってきます。世間一般では、「遺産相続は煩わしい。何とか問題なく相続を実行したい」というネガティブな印象がありますが、正確に調査することによって必ず解決するものです。

遺産相続の出発点は、遺産は何か、遺産の対象(不動産、現預金など)、相続する方は誰なのかです。

今後遺産相続が発生する可能性のある方々は、ぜひ「誰の財産を誰が相続するのか」を確認してください。

遺産相続での事例

次に私が遺産相続で手掛けた事案で、とくに印象深い事案をいくつか紹介します。

相続人が60人!

被相続人がお亡くなりになってから数十年後、依頼者からご相談がありました。

ご相談内容は、「不動産の相続漏れがあって何十年も経ってしまい、関係者が60名以上になりそうですが、未だに遺産分割ができていません。解決のために、森先生のお力を貸していただけますか」というものでした。

順次家系図をたどり、60数名を確認して、その後、60数名全員へ郵送と電話で連絡して、遺産分割割合をお知らせして、相続の意思の有無を確認しました。

結果として、60数名の方々全員と正式な手続きで解決できました。相当の時間を要することを覚悟しましたが、一人当たり3万円をお支払いすることで相続放棄をお願いした結果、皆さん協力して下さり、速やかに解決することができました。

遺産相続人が突然失踪

父が亡くなってご兄弟が相続人です。お兄様から不動産を含む数千万円の遺産分割についてご依頼がありました。

お兄様のご意向2分の1ずつを弟様に伝えたところ、即座に了承されました。

今後の手続きなどのため、弟様へ何度か連絡し確認を行っていました。当事務所にも来てくれましたが、突然弟様と音信不通となりました。電話や郵送など何度も試みましたが、全く連絡が取れませんでした。

音信不通から20日後、異変有りと直感して、お兄様と一緒に弟様のご自宅を訪問しましたが、不在なのに内側から鍵がかかっていました。直ちに110番通報しました。警察へ遺産相続の件と内側から鍵がかかっていることを説明したところ、直ちに出動してくれました。警察立会のもと、弟様のご自宅に入りましたが、弟様はやはりお亡くなりになっていました。警察の捜査で弟様は、自決と断定されました。結果、お兄様が遺産の全てを相続されました。

被相続人と面識のない相続人

被相続人と生前全く面識のない相続人4人の遺産分割事件です。これが笑う相続人と呼ばれます。この内の遺産相続人2名からご依頼がありました。数千万円を4等分して相続する事案でした。

ところが、相手方となったひとりの相続人は、「縁もゆかりもない方の遺産など相続しない」と言って、相続を拒否しました。やむなく家庭裁判所に調停を起こして、相続廃除の手続きを取りました。

もうひとりの相続人は、遺産の分配について異議を唱え続けました。家庭裁判所や私の事務所にも怒鳴り込んできました。

調停での解決を模索しましたが、相続人が参加を拒否したため調停が不成立となりました。一度目の調停は、東京の家庭裁判所で行われました。このままでは解決に至らないと判断し、被相続人がお亡くなりになったずっと離れた土地の家庭裁判所へ審判を申し立てました。

この家庭裁判所は相続人を諭しながら地道に手続きを進めてくれました。少し時間を要しましたが、最終的に分割審判に至りました。

遺言妨害(絶対作らせない)

【相談の内容】

A子さんの母は90歳でしたが、お元気で、都内の老人ホームの個室で気持ちよく生活していました。横浜に(亡きご主人が残した)貸地と貸家をお持ちで、かなりの財産でした。A子さんは長女で、その下に地方に住む長男のB男さんと横浜の二男のC男さんが相続予定でしたが、C男さんが急死して、その子のD男さんが相続の予定者となりました。横浜の(母の亡きご主人が残した)貸地と貸家はずっとC男さんが管理していました。無論報酬もとっています。
   
ある日、母が「A子さん、遺言を作りたいから何とかして」と頼んできました。A子さんの依頼で私が公正証書遺言を作ることをお引き受けしました。

【わずか4行の遺言】
お元気とはいえ、90歳ですから、事前に私と助手の弁護士が老人ホームを訪ねてお話しをしました。つまり遺言をする能力の確認です。母の受け答えはしっかりしていて、何の問題も無いことがすぐ分かりました。数日以内に公証人を連れて再び老人ホームに行って、その場で公正証書遺言を作る手はずとしました。助手の弁護士がこの一部始終をビデオに収めました。これで万全です。
   
ところが、その2日後、異変が起きました。D男さんの母、亡きC男さんの連れ合い、これが何ともたくましい女性で、私が老人ホームに行った事を聞きつけて、血相変えて動き出しました。
   
まず私の事務所に現れて、横浜の貸地と貸家は、C男と2人でこれまで守ってきた、誰にも渡さない、弁護士を雇ってでも遺言など作らせない、絶対に作らせないと言うのです。またA子さん宅にも電話して、同様のことを激しい口調で申し入れました。A子さん夫妻は穏やかな人柄で、生活にも困っていません。このC男夫人の強烈な電話と、私の事務所での出来事を聞いて、そんな勘ぐられるくらいなら、遺言なんかいらないと言って、遺言の話しは中止となりました。
   
それから1年後、母が「私の遺言はどうしたの」と言い出したと、A子さんから私に連絡がきました。何とかしようと考える内に思いついて、お母さんは字は書けそうですか、と尋ねたら、字は読めるし署名はできるとのことなので、私がお母さんの希望を聞いてから、必要最小限の、できるだけ短い、わずか3行くらいの遺言の下書きを作って、これを参考にして書いてもらって下さい、と送りました。出来上がった遺言は、読むのも難しい大変なものでしたが、何とか署名、押印、日付はできていました。まあ、これでいくしかありません。
   
次に、この少々怪しい遺言を補強するために、一年前のいきさつ、全く意思能力に不足がなかった様子を映像とした事情などを私の文書としてその遺言と一緒に保管しました。
   
それから2年後、母は亡くなりました。そのわずか4行の遺言のおかげで、A子さん、B男さんは満足のいくものを相続しましたし、何よりもあの荒々しいC男夫人との争いがなく、総てスムーズに進みました。遺言の威力は大変なものと再確認しました。

【森 仁至 弁護士のコメント】
どんなにひどい字で、訂正が多くても、わずか2~3行でも遺言は遺言、絶対的な効力です。

遺言はなかったはずなのに

【相談の内容】

A子さんは長女で、下にB男さんと末子C子さんがいて、85歳になる母が元気で実家にC子さん夫婦と生活していました。母は時価4000万円くらいの自宅土地建物と銀行定期預金7000万円くらいを持っていました。A子さんと母も仲はよく、毎年お盆と年末、正月にはA子さん夫婦と娘が温泉に連れて行く慣例でした。A子さん、B男さん、C子さんの兄弟仲もよく、母が亡くなっても争いは起きない見込みでした。
   
元気だった母が88歳で亡くなって葬儀となりました。多忙なその合間にA子さんがC子さんに「遺言はあるの?」と聞いたら「ない」という返事でした。初七日も終わって、A子さん、B男さん、C子さんが遺産をどうするかで集まって、A子さんが「全部3分の1ずつでいいんでしょ」と言ったところ、C子さんも同意して、とにかく3分の1ずつ分けることになりました。このときC子さんはなぜか晴れ晴れとした表情でした。
   
ところが、納骨が終って異変が起きました。C子さんが「遺言が見つかった」と言うのです。聞けば、最初からあったけれど、リフォームのときに紛失していたのを発見したというのです。そこには、不動産全部とその他遺産の3分の2をC子さんに相続させると書いてあって、A子さん、B男さんには何とも厳しい内容です。しかもその遺言はひどく訂正の跡があって、清書の前の原稿ではないかと思われるようなものでした。C子さんはそれまでと打って変わって、こわばった表情で「この遺言どおりとさせてもらいます。自宅と現預金の3分の2は全部私がもらいます」と言うのです。
   
A子さんとB男さんは「遺言は無いと言っていたではないの。それに初七日の夜3人で3分の1ずつ分けると決めたじゃないの」と言いましたが、C子さんは「遺言のとおりにします」と一歩も譲りません。銀行預金の通帳と判も引き渡そうとしません。
   
C子さん代理人の弁護士から家庭裁判所に、遺言検認と遺産分割調停が起こされました。

【逆に預金取戻しの裁判】
私はこの段階でA子さんとB男さん2人から相談を受け、代理人に就任しました。C子さんの強硬な態度から、調停話し合いでは到底埒が明かないと見て、私は調停を打ち切り、同時に地方裁判所に、銀行を被告として銀行預金支払請求の訴訟(A子さんとB男さんが、それぞれ2333万円ずつ求める)を提起しました。平成28年12月19日の最高裁判決で変更される前でしたから、この訴えができました。今は少し変わりました(なお、予備的に遺言が有効としても、遺留分を求めるという請求もしています)。
   
被告となった銀行がC子さんも交えて裁判をしたいと訴訟告知をして、C子さんも加わる裁判となりました。銀行の訴訟告知は予想通りです。この裁判は銀行を被告としましたが、その目的は訴訟告知によって裁判に出てくるC子さんに遺産分割協議成立を認めさせることです。
   
この裁判は、遺言が発見される前に(初七日の夜に)3人の遺産分割協議が成立したか否かが争点です。
   
A子さん、B男さん、C子さんの法廷尋問をしっかりとやりました。裁判所は遺産分割協議成立との心証を得たのでしょう、和解を勧告して、結局A子さん、B男さんは銀行預金を3500万円ずつ受取り、C子さんは自宅を受け取って居住を続けることで和解が成立しました。
   
もし遺言が有効なら、A子さん、B男さんは慰留分として1833万円ずつしかもらえないところですから、大成功です(しかもA子さんもB男さんも既に自宅を持っていたので、現金の方がずっと価値がありました)。

【森 仁至 弁護士のコメント】
多分遺言はC子さんが無理に母親に作らせたものだったのでしょう。それで気がとがめて、最初は「遺言は無い」と言って、3分の1ずつの遺産分割協議を成立させたのでしょう。それで晴れ晴れとしていたのです。
   
しかしその後、誰かに入れ知恵されたか、欲心が起きたかで、遺言があったと言い出したと思います。

法律的弁護技術はもちろん大切ですが、心が通じないと無理です

【相談の内容】

父が死亡、妻70代と長男50代、長女50代、二男40代が相続人。十分な預貯金と広い庭付きの自宅が遺産。別荘もあり。遺言なし。母と兄、姉の3名対二男が対立していて、家族で何度も話し合うが難航。こじれて二男から調停申立。

【寒い雪の降る日、都内の小さいホテルのロビーで】
私が相手方(母、兄、姉)の代理人となって調停を進めたが、いかに円満に話しても、法定相続分以上を割り当てると譲歩しても、どうしても二男は分割に応じない。
   
やむなく2度、3度と譲歩を重ねても調停成立とならず、2年を越えて、もはや打つ手がなくなっていった。遺言がない以上、二男がウンと言わないとどうにも難しい状況でした。
   
私は困り果てて、問題の二男に一度私と一対一で会ってお話しを聞かせてくれと申し入れました。二男は承諾して、寒い雪の降る日、都内の小さいホテルのロビーで二男の話しを聞きました。およそ2時間半。ようやく分かりました。
   
二男は遺産の額の大小が不満ではなく、少年期から成人するまでの間、良妻賢母型の母と優秀な兄、美人の姉の中で、自分だけが虐げられ、軽んじられてきたことが許せなかったのです。今こそ、母、兄、姉に自分の重みを思い知らせるときだったのです。私はこの長い話しを聞いて、これは無理もないかもしれない。気の毒な男だと感じ、「よく分かりました」と言って別れました。
   
それから1ヶ月経たない内に、なぜか二男から「森弁護士がかねて提案していた分割案でいい」と電話が来て、一気に調停成立となり、全面解決しました。この二男は、遺産を欲しいというよりも、多年の恨みを忘れられなかったのです。

【森 仁至 弁護士のコメント】
論理構成と証拠で、いわば力ずくで結論を出す訴訟と違って、遺産分割は人と人との交渉です。心が通じることで初めて好ましい解決ができると改めて学びました。
   
従って私は遺産分割で(その他の事件でも同じですが)、相手方と会い、話すときは自分の衣服、言葉遣い、声などに特に気を使い、礼儀正しく接することを心がけています。

外国居住者から突然メール

【相談の内容】

アメリカに20年在住のA子さんは、かつて日本で結婚していたとき、2人の子供に恵まれ、その後離婚して別の男性と結婚して、4人でアメリカに移住しました。
   
離婚した前夫が亡くなり、相続人は日本の後妻(東京在住の)B子さんとA子さんの子供2人(在米)の3名です。

【メールと国際郵便で解決】
A子さんから私に依頼があって、私がその子供2人の代理人となってB子さんと遺産分割交渉をしました。遺言がなかったので、こちら2人とB子さんとの半分ずつの遺産分けとなりました。
   
アメリカとの交信はメールで殆ど済みます。子供2人から詳細な委任状を国際郵便でもらっていましたので、要所をメールで確認しつつ、B子さんと面談して、まことにスムーズに運び、遺産分割を終えました。不動産はB子さんに、預貯金の多くをこちらがもらうという内容でした。

【森 仁至 弁護士のコメント】
このように、外国居住の日本人から依頼を受けることがしばしばあります。メールがあるので、日本在住の方からの依頼と殆ど変わりありません。
   
外国居住者にとって、いながらにしてインターネットで弁護士を比較検討できることは、本当に便利でいい仕組みと思います。

外国居住30年と完全成功報酬

【相談の内容】

オーストラリア在住の男性(C男さん60歳)から、やはりメールで依頼を受けました。
   
C男さんは、若い頃からオーストラリアに移住して、両親とは不仲ではありませんが、連絡も途絶えがちで30年経ちました。この間、弟のD男さんが両親と同居して仕事も伝っていました。父は15年前に死亡して、今回母が死亡しました。

【完全成功報酬】
母が亡くなって相続人はC男さんと弟D男さんの2人です。D男さんに全部相続させるとの遺言がありました。
   
私はC男さんの特別の希望に応じて一筆を入れました。「もし遺産を受け取れなかった場合は、弁護士料は一切いただきません」と。つまり完全成功報酬制で遺留分減殺請求をしました。実費分15万円だけを預かって、着手金、成功報酬ともに現実に遺産を受け取った後、これに弁護士報酬基準を充てて計算することとしました。

【遺言成立】
遺産はアパート1棟7,000万円くらいと、預貯金4,000万円くらいです。当方から遺留分減殺通知をしたところ、D男さん代理人弁護士から、C男さんが生前贈与を受けていたため遺留分はなしとする調停が起こされました。調停にはD男さんも出てきて、兄は勝手に家を離れてアメリカで自由に生きた。その間、弟の自分は両親の面倒を見て、家業も継いでどれほど苦労したかを力説します。調停を重ねても全く譲ろうとしません。
   
ところが、調査する内にD男さんが生前に母からもう一つの貸室不動産5,000万円くらいを格安で買い受けていることが判明したので、これを追及して譲歩を引き出し、結局C男さんは遺留分として約2,000万円を受け取って完了しました。

【森 仁至 弁護士のコメント】
C男さんはシドニーで事業に失敗して厳しい生活状況だったため、とても喜ばれました(丁度円高の時期だったために特に有利でした)。

一切相続させないの遺言と廃除の裁判

【相談の内容】

Aさんは、幼い頃母に死なれ、後妻さんが来ました。後妻に子が生まれ、4人家族となりましたが、父はなぜかAさんには厳しく当たり、それを見て後妻も、いわゆる継子いじめということが続きました。Aさんはおとなしい男性で、これに耐えて、アルバイトをして何とか大学まで行きました。大学卒業とともに家族3人とは別の人生となり、音信もなく、40年が過ぎました。
   
ある日、遺言書検認ということで、家庭裁判所から呼び出されました。父が亡くなったのです。Aさんは、もう昔のつらい話しも忘れて、どこか懐かしい気持ちで家庭裁判所に行きました。ところが、見せられたのは、Aさんには一切相続させないという遺言でした。
   
さすがに驚きましたし、ひどい話しだと思いました。でも遺留分で8分の1がもらえることを聞いて、少し安心していました。しかしこれでは済まなかったのです。
   
少ししたら、遺言執行者という弁護士からAさんに「廃除請求」の裁判が起こされたのです。つまり、相続人でなくして遺留分までも奪い取るというのです。

【断固として応訴】
ア.Aさんから相談を受けて少々驚きました。廃除はとても珍しく、弁護士を何十年もしている人でも廃除審判の経験は殆どないはずで、民法の教科書には載っていますが、私も初めて出会いました。家庭裁判所の廃除審判から代理人となって応訴し、廃除理由は父を侮辱したということなので、その事実がないことを詳細に立証して勝訴しました。

イ.継母の意を受けた遺言執行者の弁護士は、今度は、遺産は4000万円しかないから遺留分として500万円しか払わない、と言うのです。しかしこれは不動産を時価ではなく、評価額で計算して、故意に遺産を小さく計算していました。私はAさん代理人として調停を起こして、約倍額に近い時価査定書を証拠として提出し、裁判所もこれを認めて、結局Aさんは遺留分として1000万円を受け取れました。
  
更にもうひとつ、銀行の貸金庫の中に多額の預金が入った通帳が見つかりました。名義は継母の名前でしたので、当初は一切払わないと拒否されましたが、この金庫を開けられるのは亡父だけだったことを追及して、結局この預金分も何百万円か遺留分に加えることができました。

【森 仁至 弁護士のコメント】
まずAさんから長時間をかけて生い立ちと継母との生活の詳細を聞き取りました。廃除審判はAさんの人格を傷つけるものですから、絶対にはね返さなくてはなりません。通常の訴訟と同じように丁寧に事実を調査して、それを分かり易い文章にして裁判官に正確に伝えることで全面勝訴できました。
   
次に遺産の評価は、相手が出してきた証拠を鵜呑みにしないで、やはり紙背を見抜くつもりで丁寧に資料を分析することで勝機が生まれました。

遺言書は残すべき

次は遺言書についてです。
遺言書は遺産相続に大きな関係がありますが、日本では遺言状を残す方々はまだ少ないようです。

私がこれまでに手掛けた事案で、遺言書を残していたのは約40%です。日本ではもっと、遺言書が普及されることが望まれます。財産をお持ちの方は、ぜひ遺言書を残しておくべきです。遺言書が残されていない場合、法定相続人らが遺産分割でトラブルになるケースが、後を絶たないからです。

巷で遺言書は、公正証書として作成することが推奨されています。もちろん公正証書は信頼性の高い証書です。

では、「自筆の遺言書はどうなのか」との問い合わせには、「それも十分OKです」と回答しています。

自筆の遺言書について

遺言書を残すことを希望なさる依頼者には、まず「ご自身で字を書くことはできますか」とお尋ねします。

最も短い遺言書は、三行で完結します。内容はケースバイケースですが、大変な高齢者の事例で、最短で三行の遺言書作成を指導したことがあります。

具体的には、全文を自筆して、作成した年月日を入れ、署名、捺印をすることで、十分な効力を持つ遺言書が完成します。複雑に考えず、簡潔明瞭にまとめることで、効果的な遺言書が作成できます。(ゆっくりと長文を残す方がよろしいのは当然のことですが)

正確な事実の調査

遺産相続に関しては、遺産分割のほか、使途不明金、遺留分の侵害、遺言状の有効性など、問題は千差万別です。

遺産相続が複雑に絡み合っていても、正確に事実を調査し、事実を積み重ねることが重要です。事実の積み重ねを徹底することが、遺産相続をスムーズに進めるための中核となります。遺産相続では、正確に事実を積み重ねることで、必ず正解に至ります。このアプローチは、遺産相続以外の分野でも同様です。

今後も、依頼者の利益を守るために、正確な事実の調査を続けてまいります。

弁護士を選ぶ

最後に、弁護士は医者、歯医者と同じく、その能力、技術、誠意など決して同じではありません。依頼する弁護士よって結果は変わります(それを見分ける方法は、そう難しくはありません。少なくとも2人の弁護士に面談することで、感じ取れるのではないでしょうか)。

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