しこりを残さない解決法を

　遺産相続は相続人が血のつながっている身内同士で、それがあだとなって感情的に対立する可能性があります。身内同士ゆえに争いが泥沼化し、裁判に発展するケースも否定できません。法的に最終的に決着したとしても身内関係は続き、こじれた状態のまま後を引かないとも限りません。依頼者の意向を最大限尊重しながら、相手方の気持ちにも気を配って円満な解決策を探る必要があります。

煩わしい手続き

　遺産相続は手続きが煩雑で、当事者も多く、初めて経験する人は右往左往しがちです。
手続きに振り回されて不利な状況で推移し、不本意な結果に終わることもあり得ます。そうなる前に専門家である弁護士に相談することをお勧めします。解決の糸口が見つかるでしょう。自力で長い時間をかけてインターネットであれこれ調べるより、弁護士に30分間相談した方が近道だと思います。ご自身の相続順位や法定相続分などは法律相談だけで結論が出ますし、相続放棄や限定承認などの手続きも丁寧に説明します。

相続人の確定

　遺産分割は相続人全員の同意を得られない限り、法的に決着しません。所在不明、あるいはその可能性のある相続人がいたら、弁護士に調査を依頼してください。代理人として戸籍や住民票などを通じて所在を明らかにし、全相続人を確定させ、相続協議の土台を整えます。

財産の使い込みがあったら

　
　亡くなった親（被相続人）と同居していた子が無断で親の財産を使い込んだ疑いのあるケースがあります。それが事実だとしても、一緒に暮らしていない相続人が突き止めるのは簡単ではありません。弁護士は代理人契約を受けたら、金融機関の口座や取引履歴を調べられます。使い込みが立証できれば、不当利得の返還や遺産分割の調整につなげることができます。

難しい不動産の分割

　土地や建物などの不動産は分割の困難な財産の代表例です。不動産の中でも先祖代々受け継いでいる土地は軽々に売り払えない上、相続人が多岐にわたり、話し合いでまとまらずに感情的な対立に発展することが少なくありません。弁護士なら第三者として冷静な立場で、感情的な問題と法的な問題を整理し、お互いに歩み寄れる着地点を見出します。遺産分割協議書の作成のほか、相続登記（不動産の名義変更）にも対応し、全体的な費用の軽減につながります。

遺言などへの対応

　
　親が「（自分とは別の）特定の相続人に全財産を相続させる」という趣旨の遺言を残して息を引き取った場合もあり得ます。兄弟姉妹を除く相続人なら法定相続分の2分の1の金額（遺留分）を受け取る権利があります。遺留分の権利は1年以内に行使しないと消えるなど専門知識が求められたり、手続きが複雑で手間がかかったりするので、弁護士に委ねる方が得策でしょう。また、親と同居していた相続人から「親の世話をしていたので相続でその分配慮してほしい」と要求されるケースがあります。親の世話は同居人の扶養義務の範囲内で、財産を維持したり、増やしたりすることに特段の貢献がない限り、増額分与の主張は通りません。

遺言書のススメ

　親が生前に遺言書を用意しておけば、大抵の相続トラブルが回避されます。遺言書があると、どの相続人にどれだけの財産を残すかの基本線が示され、権利関係が整理されます。「公正証書遺言」を作成すれば、「公に証明された遺言」と見なされ、法的に裁判の判決と同じ効力を持ち、自筆の遺言より安全性と確実性が各段に増します。公正証書遺言は公証人を通じて公証役場で作ります。弁護士は依頼者の意向を公証人に伝え、内容に反映させる役目を担います。当事務所は遺留分など専門的なことについても的確にアドバイスし、「安心」「納得」の遺言作成をサポートします。