外国籍の相続人がいるとどうなる?必要書類、手続き、遺産分割協議におけるリスクなどを解説

外国籍の相続人がいるとどうなる?必要書類、手続き、遺産分割協議におけるリスクなどを解説
外国籍の相続人がいるとどうなる?必要書類、手続き、遺産分割協議におけるリスクなどを解説

実際の遺産相続の場面では、以下のように、外国籍関係の問題が生じることがあります。

  • 相続人に外国籍が存在する
  • 被相続人が外国籍の人
  • 国際結婚や引っ越しなどによって相続人・被相続人が海外に居住している
  • 海外の銀行口座や不動産など、遺産の一部が外国に所在している など

たとえば、相続人に外国籍の人がいたとしても、法定相続人である限り、この人物を含めたすべての相続人で遺産分割手続きを進めなければいけません。

しかし、相続人に外国籍の人がいる場合、通常の遺産分割手続きとは異なる対応を強いられるのが実情です。

そこで、この記事では、特に外国籍の相続人への対応に困っている人のために、以下の事項についてわかりやすく解説します。

  • 外国籍の相続人でも遺産分割手続きに参加できるかどうか
  • 外国籍の相続人が存在するときの遺産分割手続きの流れ
  • 外国籍の相続人がいるときの遺産分割手続きの注意点
  • 外国籍の相続人がいるときに弁護士へ相談・依頼するメリット

目次

被相続人の国籍と相続ルールとの関係

まずは、被相続人の国籍と相続ルールとの関係について解説します。

日本では相続統一主義が採用されている

外国籍と相続について理解するには、相続統一主義と相続分割主義について理解する必要があります。

  • 相続統一主義:相続に関する準拠法を被相続人の属人法(本国法・住所地法)によって決めるという考えかた。韓国、台湾、ドイツ、日本など。
  • 相続分割主義:財産の種類に注目して相続に関する準拠法を決める考えかた。たとえば、「動産については被相続人の属人法、不動産については不動産の所在地の法律」などの制度設計がおこなわれる。アメリカ、イギリウ、フランス、中国など。

以下のように、法の適用に関する通則法によって、日本では、相続統一主義が採用されています

(相続)
第三十六条 相続は、被相続人の本国法による。引用:法の適用に関する通則法|e-Gov法令検索

したがって、相続人の国籍とは関係なく、被相続人が日本国籍であれば、日本の相続に関するルールが適用されます

言い換えると、被相続人が外国籍の場合には、原則として日本の相続に関するルールは適用されず、外国の法律にしたがって遺産相続手続きを進めなければいけないということです。ただし、被相続人が外国籍であったとしても日本国内に居住していた場合や、被相続人が所属する国の法律で相続分割主義が採用されている場合などでは、被相続人が外国籍でも日本の相続ルールが適用されます。

遺言の成立・効力は遺言者の本国法で決まる

遺言の成立・効力についても、遺言者の本国法によって決定されます。

(遺言)
第三十七条 遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による。
引用:法の適用に関する通則法|e-Gov法令検索

つまり、被相続人が日本国籍なら日本の相続ルールが、被相続人が外国籍ならその国の相続ルールが適用されるということです。

遺言の方式は日本の方式以外でも可能

相続のルール、遺言の成立・効力については相続統一主義が採用されていますが、遺言の方式については注意が必要です。

というのも、遺言の方式に適用される準拠法については、以下のようにさまざまな条件が定められているからです。

(準拠法)
第二条 遺言は、その方式が次に掲げる法のいずれかに適合するときは、方式に関し有効とする。
一 行為地法
二 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法
三 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時住所を有した地の法
四 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時常居所を有した地の法
五 不動産に関する遺言について、その不動産の所在地法
引用:遺言の方式の準拠法に関する法律|e-Gov法令検索

例えば、外国籍の被相続人が日本国内で遺言書を作成した場合には、日本の民法に規定された遺言方式のルールが適用されます。

また、仮に日本の民法に規定された遺言方式ルールに違反する遺言書が残されていたとしても、被相続人が国籍を有する国の相続ルールに適った方式で遺言書が作成されていれば、遺言書は有効なものと扱われます。

相続人が外国籍のときの遺産分割手続きのポイント

次に、外国籍の相続人が存在する場合の遺産分割手続きの注意点について解説します。

外国籍でも相続人の資格はある

相続人の国籍にかかわらず、民法に規定された相続ルールに則って資格が与えられる限り、法定相続人になる資格は認められます

被相続人の国籍のように、「日本国籍だから日本のルールが適用される」「外国籍だから日本のルールは適用されない」ということはありません。

外国籍の相続人も遺産分割協議に参加しなければいけない

被相続人が死亡したら、相続人全員で遺産分割手続きを進める必要があります。

したがって、外国籍の相続人が存在する場合には、この相続人が現在どこに居住していたとしても、遺産分割協議などに参加しなければいけません

ただし、遺産分割協議の方式について法的ルールは存在しません。つまり、相続人全員が同席をして顔を合わせる必要はないということです。

例えば、手紙やFAX、電話、ズームなどの方法でコミュニケーションをとって話し合いをおこなうことも可能です。

外国籍の相続人に対応した必要書類を準備する

日本国籍の相続人だけで遺産相続をおこなう場面と異なり、外国籍の相続人が遺産分割手続きを進める際には、公的書類を準備できるかという点で問題が生じます

というのも、外国籍の相続人は、そもそも日本国籍の相続人なら取得できる必要書類が存在しない可能性があるからです。

ここでは、以下3つの必要書類の代替手段について解説します。

  • 戸籍謄本
  • 印鑑証明書
  • 住民票

戸籍謄本の代替手段

遺産相続手続きを進めるには、さまざまな場面で本人確認のために戸籍謄本が必要になります。

しかし、日本の戸籍制度は、日本国籍を有する人だけに適用されます。外国籍の相続人については、そもそも戸籍が存在しません。また、外国籍の人が日本人と結婚した場合でも、日本人配偶者の戸籍に外国人配偶者の氏名・国籍などの婚姻の事実が記載されるに過ぎず、独自の戸籍が作成されることはありません。

したがって、外国籍の相続人が存在する場合には、戸籍謄本の代わりの本人確認書類を準備する必要があります。

たとえば、相続人の所属する国に戸籍制度があるならその国が発行する戸籍証明書、戸籍制度自体が存在しないなら出生証明書・婚姻証明書などで代用できます。

なお、これらの書面さえ準備できないなら、公証人による宣誓供述書(Affidavit)を用意してください。

宣誓供述書とは、本人が以下の事実関係を宣誓・陳述した書面を公証人が認証したもののことです。

  • 氏名
  • 生年月日
  • 住所
  • 国籍
  • 被相続人との続柄
  • ほかの相続人に関する情報
  • 相続に対する姿勢を示す情報(単純承認、限定承認、相続放棄など)
  • 遺産分割協議の内容に同意する旨 など

なお、外国籍の相続人が日本に所在するなら、日本の公証役場で宣誓供述書を作成します。海外在住なら、現地の公証人制度を利用しましょう。

印鑑証明書の代替手段

遺産分割協議や相続登記、各種名義変更などのタイミングで、各相続人は印鑑証明書を用意する必要があります。

外国籍の人でも、15歳以上で日本に住民票があり、かつ、在留カードまたは特別永住者証明書があれば、日本人と同じように、印鑑登録及び証明書の取得が可能です。外国籍の相続人がこの要件を満たしているなら、印鑑証明書の準備に困ることはないでしょう。

これに対して、印鑑登録の要件を満たさない場合には、印鑑証明書の代わりに、サイン証明(署名証明)用意する必要があります(印鑑登録制度が存在する国の国籍なら現地の印鑑証明書でも可能)。

サイン証明(署名証明)とは、書類に書かれた署名(サイン)が本人のものであることを公的機関が証明する書類のことです。

外国籍の相続人が日本国内に居住しているなら日本国内にある本国の大使館・領事館・公証役場で、海外に居住しているなら現地の日本大使館・領事館・現地の公証人制度を利用すれば、サイン証明を取得できます。

参照:在外公館における証明|外務省HP

住民票の代替手段

相続で不動産を承継するなどの場面では、相続人の住所を証明するために住民票の写しを準備する必要があります。

しかし、住民票を取得できるのは、日本国内に居住している人だけです。外国籍の相続人が日本国内に居住していれば住民票を取得できますが、外国籍の相続人が海外在住の場合には住民票は手に入りません

住民票の写しの代替手段になるのが、現地の公証人が作成する宣誓供述書・現地の官公署が発行する住所証明書です。

日本国籍の相続人が相続関係の必要書類を準備するだけでも労力を要することを踏まえると、外国籍の相続人がここまでの書類を準備するのは相当大変です。相続関係の手続きには時間制限が設けられているものも多く、準備に時間がかかると期限を徒過してペナルティが科されかねません。ですから、相続人に外国籍の人がいると判明した時点で、速やかに遺産分割協議などに向けた準備を開始してください。

遺産分割協議書の言語・署名に注意をする

遺産分割協議で相続人全員が合意に至ったら、遺産分割協議書を作成するのが一般的です。

ただし、外国籍の相続人が存在するケースで作成する遺産分割協議書については、その記載内容などに注意が必要です。

というのも、遺産分割協議書は名義変更や登記手続きなどのさまざまなシチュエーションで必要になるものですが、相続人全員がその内容に合意していると客観的に認められる記載内容になっていなければ、その後に想定外の遺産相続トラブルが発生しかねないからです。

例えば、外国籍の相続人がいる場合の遺産分割協議書を作成するときには、日本語だけではなく、外国籍の相続人の母国語・原語に翻訳した文章も並べて記載するのがおすすめです(必要であれば、翻訳家への相談・依頼も検討してください)。

また、外国籍の相続人が遺産分割協議書の内容を理解した旨の署名も付記させておけば、「日本語を正確に理解できていなかったので遺産分割協議書への合意は間違いだった」などという反論を予防できるでしょう。

外国籍の相続人も相続税の申告・納付が必要になる

相続人が外国籍でも、相続税の申告・納付が必要になる可能性があります。

大前提として、相続税の申告・納付義務が課されるのは、遺産が基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の人数)を超過したときに限られます。この計算をする際の「法定相続人の人数」については相続人の国籍は関係ありません。外国籍の相続人であったとしても、日本国籍の相続人と同じ扱いです。

ただし、外国籍が絡む遺産相続の場面では、相続人・被相続人の置かれた状況によって、相続税が課される財産の範囲が細かく分類されています

ここからは、相続人・被相続人の国籍や住所地、日本の滞在歴が相続税の課税範囲に与える影響について、ケースごとに紹介します。

外国籍の相続人が日本国内の財産を相続し、かつ、日本に住所がない非居住者である場合、日本での相続税の申告・納税の手続きを自分でできない可能性があります。このようなときには、各種手続きを代行してもらうために、納税管理人の選任・届出が必要です。納税管理人を適法に選任すれば、本人の代わりに申告書の提出・相続税の納付・税務署からの書類受け取りなどに対応してもらえます。

参照:B1-28 相続税・贈与税の納税管理人の届出手続|国税庁HP
参照:No.4138 相続人が外国に居住しているとき|国税庁HP

相続人が日本国内に住所を有している場合

相続人が日本国内に住所を有している場合、被相続人の国籍や住所の状況とは関係なく、常に居住無制限納税義務者と扱われます

居住無制限納税義務者とは、遺産が所在している場所にかかわらず、国内財産・国外財産すべてに対して相続税が課される人のことです。

たとえば、相続人が外国籍であったとしても、日本国内に住所を有しているなら、すべての遺産について相続税の対応をしなければいけません。

ます、相続税の課税対象の財産に制限がない相続人は「無制限納税義務者」と称されます。これに対して、日本国内に所在する財産のみに相続税が課される相続人は「制限納税義務者」と呼ばれます。そして、ここで問題になっている相続人は特に日本国内に住所を有していることから「居住無制限納税義務者」と分類されているという仕組みです。

相続人が一時居住者の場合

相続人が日本国内に住所を有していたとしても、一時居住者に該当する場合には、相続税が課税される財産の範囲に注意が必要です。

一時居住者とは、相続開始の時点で在留資格を有する人のうち、その相続の開始前15年において、日本国内に住所を有していた期間の合計が10年以下である人のことです。

以下のように、一時居住者の相続税の課税対象になる財産の範囲は、被相続人が置かれた状況によって異なります。

被相続人の状況 相続税の対象範囲
日本国内に住所ある被相続人 居住無制限納税義務者
日本国内に住所がある外国人被相続人 居住制限納税義務者
相続開始の時点で日本国内に住所はないが、過去10年以内に日本国内に住所があった被相続人 居住無制限納税義務者
非居住被相続人(相続開始の時点で日本国内に住所はない人のうち、過去10年以内のいずれかのときに日本国内に住所を有していながら常に日本国籍を有していなかった、または、過去10年以内に日本国内に住所を有していなかった人) 居住制限納税義務者

日本国籍の相続人で相続開始時点で日本国内に住所はないが過去10年以内に日本国内に住所があった場合

相続人が日本国籍を有している場合で、相続開始時点に日本国内に住所はなかったが、過去10年以内に日本国内に住所があったときには、非居住無制限納税義務者と扱われます。

したがって、このケースでは、被相続人の財産が国内・国外のどこにあったとしても、遺産すべてを対象に相続税の申告・納税義務が課されます

日本国籍の相続人で過去10年以内から相続開始時点に至るまで常に日本国内に住所がなかった場合

相続人が日本国籍を有しているものの、相続開始時点及び過去10年以内に日本国内に住所がなかったケースでは、被相続人が置かれた状況によって、相続税の課税対象になる財産の範囲が異なります。

被相続人の状況 相続税の対象範囲
日本国内に住所ある被相続人 非居住無制限納税義務者
日本国内に住所がある外国人被相続人 非居住制限納税義務者
相続開始の時点で日本国内に住所はないが、過去10年以内に日本国内に住所があった被相続人 非居住無制限納税義務者
非居住被相続人 非居住制限納税義務者

相続人が外国籍で日本国内に住所地がない場合

外国籍の相続人のうち、日本国内に住所地がない人については、被相続人の状況によって相続税の課税対象財産が異なります。

被相続人の状況 相続税の対象範囲
日本国内に住所ある被相続人 非居住無制限納税義務者
日本国内に住所がある外国人被相続人 非居住制限納税義務者
相続開始の時点で日本国内に住所はないが、過去10年以内に日本国内に住所があった被相続人 非居住無制限納税義務者
非居住被相続人 非居住制限納税義務者

相続人が外国籍でも相続登記に対応しなければいけない

相続人が外国籍であったとしても、日本国内の不動産を相続したときには、相続登記手続きに対応する必要があります。

特に、2024年(令和6年)4月1日から改正不動産登記法が施行された点に注意が必要です。正当な理由がないのに、不動産の取得を知った日、または遺産分割が成立した日から3年以内に相続登記の手続きを履践しなかった場合には、10万円以下の過料が科されてしまいます

しかし、外国籍の相続人は相続登記手続きに要する必要書類を準備するのが難しかったり、収集するにも相当の時間を要する可能性が高いです。また、そもそも外国籍の相続人が海外に住んでいるようなケースでは、相続登記手続きのために代理人を選任したり一時帰国をしたりする手間も要します。

遺産分割手続きを経て外国籍の相続人が不動産を取得した場合には、速やかに司法書士や弁護士などの専門家と提携して、相続登記手続きを進めましょう

外国籍の相続人は不動産を取得したあとも注意が必要

不動産は相続したら終わり、というわけではありません。

というのも、定期的に管理をして不動産の荒廃等を防ぐために定期的にメンテナンスをしたり、売却・賃貸などの有効活用方法について検討をしたりする必要があるからです。

例えば、海外に居住している相続人が日本国内の家屋を相続したものの、その後、一切足を運ばずに清掃などをおこなわずに家屋の荒廃が進んでしまうと、行政から特定空き家・管理不全空き家に指定されて、是正勧告や行政代執行などの措置の対象になるリスクが高まります。荒廃した空き家が原因で周辺の人々との間で法律トラブルが生じると、民事責任・刑事責任を問われかねません

また、不動産は所有するだけで維持・管理コスト(固定資産税、都市計画税、公共料金、清掃費用など)を強いられるので、その物件に居住するケースを除くと、さまざまな有効活用の方法を検討しなければいけないのが実情です。しかし、外国籍の相続人や海外居住している相続人だけでは、現地の動向をリアルタイムで正確に把握しにくいでしょう。したがって、信頼できる不動産業者などと密にコミュニケーションをとって、不動産の特性に応じた有効活用方法を検討する必要があります。

外国籍の相続人に関するQ&A

さいごに、外国籍の相続人についてよく寄せられる質問をQ&A形式で紹介します。

外国籍の相続人と連絡がとれないときはどうすればよいですか?

相続人調査を尽くしたものの、外国人の相続人の連絡先がわからないというケースは少なくありません。

しかし、遺産分割協議は、相続人全員が参加して進める必要があります。連絡先がわからない相続人以外の関係者で合意形成に至ったとしても、遺産分割協議は無効です。

したがって、連絡先がわからない、もしくは、どれだけ連絡をしても返答がない相続人の存在が原因で遺産分割協議を進めることができないときには、不在者財産管理人制度や失踪宣告制度を利用して、遺産分割手続きに対応する必要があります。

これらの制度を利用するには裁判所関係の手続きへの対応を要するので、必ず遺産相続トラブルへの対応が得意な弁護士まで相談・依頼をしてください。

参照:不在者財産管理人選任|裁判所HP
参照:失踪宣告|裁判所HP

外国籍の相続人も相続放棄できますか?

相続人が外国籍であったり海外に居住していたりする場合でも、日本国籍の相続人と同じように、相続放棄をすることは可能です。

例えば、相続財産調査を尽くした結果、被相続人が多額の借金を抱えていた事実が判明したようなケースでは、相続放棄をするべきだと考えられます。

ただし、相続放棄をするには、自己のために相続の開始があったとき(通常、被相続人が死亡した日)から3ヶ月以内に、家庭裁判所に相続放棄の申述をしなければいけません。外国籍の相続人がこれらの手続きを進めるには、日本国籍の相続人とは異なる書類を準備したり、代理人を選任したりする必要があります。

(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。
(相続の放棄の方式)
第九百三十八条 相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
引用:民法|e-Gov法令検索

したがって、外国籍の相続人が相続放棄を検討しているなら、弁護士などの専門家を利用して、期限に間に合うように申述手続きを進めましょう

参照:相続放棄の申述|裁判所HP

外国籍の相続人が利用できる相続税の節税制度はありますか?

外国籍の相続人が節税対策を検討する際に最初にチェックするべき制度は、いわゆる10年ルールです。

以下の3要件を満たす場合には、原則として、相続税の課税対象になる財産は日本国内のものだけに限定されます。

  1. 被相続人が外国籍であること
  2. 被相続人または相続人が日本に住んでいた期間が、相続開始前15年以内で通算10年以下であること
  3. 被相続人・相続人の双方が永住者または永住者ビザの保持者でないこと

ただし、先ほど紹介したように、10年ルールが適用されるかどうかは、外国籍の相続人が保有しているビザの種類や滞在期間などについて細かく分類されているので、詳細については、外国関係の相続トラブルへの対応が得意な弁護士に確認するのがおすすめです。

その他、相続税の節税に役立つ特例制度として、以下のものが挙げられます。それぞれ要件が細かく定められているので、リンク先の公式ページをご確認ください。

外国籍の相続人がいる遺産分割協議がまとまらないときはどうすればよいですか?

外国籍の相続人も、遺産分割協議の内容に納得できないときには、遺産分割調停を申し立てることができます

遺産分割調停とは、家庭裁判所の調停委員が紛争当事者の間に入って、当事者全員の合意形成を目指す裁判所関係の手続きのことです。調停委員は、当事者の意見や証拠、資料などを確認したうえで、合意形成に至るまでのサポートをしてくれます。

相続人全員が合意形成に至れば調停調書が作成されます。これに対して、遺産分割調停を利用しても合意形成に至らなかった場合には、自動的に遺産分割審判手続きに移行して、裁判官が審判の形式で終局的な判断を下します。

遺産分割調停は、共同相続人、包括受遺者、相続分譲受人である限り、どのような国籍であったとしても申し立て可能です。申し立ての裁判所は、相手方のうちの一人の住所地を管轄する家庭裁判所または当事者が合意で定める家庭裁判所です。

なお、外国籍の相続人が存在するケースで遺産分割調停を申し立てる際には、申し立ての際の添付書類に注意をする必要があります。

例えば、遺産分割調停を申し立てる際には、相続人全員の戸籍謄本や住民票、印鑑証明書などが必要になるため、先ほど紹介したように、外国籍の相続人の状況に応じて代替手段を講じましょう。

参照:遺産分割調停|裁判所HP
参照:申立書提出先一覧(家庭裁判所)|裁判所HP

相続財産に外貨預金が含まれていたらどうなりますか?

派生的な問題ですが、相続財産に外貨預金が含まれているケースの対応方法も指摘しておきます。

まず、被相続人の一身専属権以外の財産は、すべて遺産相続の対象と扱われます。日本円の預貯金、不動産、株式などの有価証券だけではなく、被相続人名義の外貨預金も遺産分割協議の対象です。

ただし、外貨預金については、遺産分割調停や相続税算定の際に、外国通貨のままではなく、日本円に価値を換算しなければいけない点に注意が必要です。邦価への換算をおこなう際には、納税義務者の取引金融機関が公表する、相続・遺贈によって被相続人の死亡日もしくは贈与によって財産を取得した日における、最終の対顧客直物電信買相場(TTB)を基準にするのが一般的です。

指標の探しかたがわからなかったり、そもそも、被相続人がどこの金融機関と取引をしているか不明だったりする場合には、相続財産調査の段階から弁護士に相談・依頼をするとよいでしょう。

外国籍の相続人がいるときに弁護士に相談するメリット

外国籍の相続人が存在する遺産相続事案では、可能な限り、被相続人が亡くなってすぐに弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。

外国人関係の遺産相続問題への対応が得意な弁護士の力を借りれば、以下のメリットを得ることができるでしょう。

  • 外国籍の相続人の連絡先を調査したうえで、遺産分割協議に参加するように連絡をとってくれる
  • 外国籍の相続人が理解できるように、日本語・原語での遺産分割協議書を作成してくれる
  • 必要であれば翻訳家や通訳者を手配してくれる
  • 外国籍の相続人に関する必要書類を準備してくれる
  • 相続人全員が納得できるような遺産分割協議案を検討してくれる
  • 遺産分割調停・審判といった裁判所関係の手続きを代理してくれる
  • 外国人の相続人が利用できる相続税の控除制度があるかどうかを検討してくれる
  • その他、遺留分侵害額請求や遺言書の有効性に関するトラブルなどにも対応してくれる など

外国籍の相続人がいる場合にはすぐに弁護士へ相談しよう

外国籍の相続人がいる場合には、相続人調査・相続財産調査の段階から弁護士に相談・依頼をしてください

確かに、弁護士に相談・依頼をすると所定の弁護士費用がかかるというデメリットが存在します。

しかし、弁護士に相談・依頼をしなければ、必要書類を準備できずに遺産相続手続きが円滑に進まなかったり、リスクヘッジのできていない遺産分割協議書になってしまったりする可能性があります。

そもそも、外国籍の相続人が絡む遺産相続はそれ自体ハードルが高いものです。遺産相続相談弁護士ほっとラインではさまざまな遺産相続問題への対応が得意な弁護士を多数紹介中なので、適切なタイミングで信頼できる法律事務所まで問い合わせをしてください。

遺産相続の相談なら専門家にお任せください!

  • 遺産分割の手続き方法が知りたい
  • 遺言書の作成や保管を専門家に相談したい
  • 遺留分請求がしたい
相続のトラブルは弁護士しか対応できません。ご相談は早ければ早いほど対策できることが多くなります。

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