相続人が行方不明のままだと、遺産分割協議は進められません。
すると、いつまでも被相続人名義の預貯金が凍結されたり、相続税の申告・納付期限に間に合わずに滞納処分などのリスクに晒されたりするでしょう。
そのため、連絡がとれない相続人がいる場合には、速やかに連絡先を調査したり不在者財産管理人制度や失踪宣告制度などを活用したりする必要があると考えられます。
そこで、この記事では、行方不明の相続人がいるせいで遺産相続手続きがストップして困っている人のために、以下の事項についてわかりやすく解説します。
- 相続人が行方不明のままのときに想定されるデメリット
- 行方不明の相続人の連絡先を入手する方法
- 行方不明の相続人の連絡先がわからないときの対処法
- 不在者財産管理人、失踪宣告、認定死亡の違い
- 相続人が行方不明のときに弁護士へ相談・依頼するメリット
目次
相続人が行方不明のままだと遺産分割協議は進められない
遺産分割協議とは、遺産の分けかたについて相続人同士で話し合いをすることです。
相続人が複数人いる場合、全ての相続人が遺産分割協議に参加しなければ、遺産分割協議は有効に成立しません。
たとえば、行方不明の相続人を除いた相続人だけで話し合いをしても、遺産分割協議は無効と扱われてしまいます。
そして、相続人のひとりが行方不明のままの状態がつづくと、以下のようなデメリットが生じる可能性が高いです。
- 小規模宅地等の特例、相続税の配偶者控除など、節税効果の高い控除制度を利用できなくなる
- 相続税の申告・納付期限までに遺産分割協議が間に合わず、滞納によるペナルティ(延滞税や加算税の負担、滞納処分、刑事罰)を強いられる
- 被相続人名義の預貯金が凍結されたままなので、いつまでも現金を引き出すことができない
- 不動産などの財産を処分できず、維持・管理費用の負担を強いられつづける
- 遺産分割協議が成立しない間に相続人のひとりが死亡すると、「死亡した相続人の相続人」が被相続人の遺産分割協議に参加することになるので、話し合いに参加する人数が増えたり、連絡・交渉に要する労力が増大したりする
- 相続財産が散逸・紛失したり、遺産が使い込まれたりすることによって、公平・公正な遺産分割が実現しにくくなる など
相続人が行方不明のときの遺産分割協議の進めかた
相続人の一部が行方不明で遺産分割協議を進めることができないときの対処法について解説します。
- 行方不明の相続人の連絡先を調査する
- 不在者財産管理人制度を利用する
- 失踪宣告制度を利用する
- 認定死亡制度を利用する
まずは行方不明の相続人の連絡先を調べる
行方不明の相続人の連絡先が判明すれば遺産分割協議を進められるので、まずは、行方不明になっている相続人の問い合わせ先を調査してください。
行方不明の相続人の連絡先を調査する際には、その相続人の本籍地を割り出したうえで、市区町村に戸籍の附票を請求する方法が一般的です。行方不明の相続人の本籍地は、被相続人の死亡の記載がある戸籍をさかのぼることによってわかります。
戸籍の附票には現住所が記載されているので、直接訪問したり手紙を出したりすることによって、被相続人が死亡した事実や遺産分割協議への参加を求める旨を伝えましょう。
相続人が行方不明のままなら不在者財産管理人を選出する
行方不明の相続人の連絡先がわからなくても、不在者財産管理人を選任すれば、遺産分割協議を進めることができます。
不在者財産管理人とは、自分の財産の管理人を置かずに音信不通になった人の代わりに財産の管理や必要な処分をする人のことです。
行方不明の相続人について不在者財産管理人を選任すれば、不在者財産管理人が行方不明になった相続人のために遺産分割協議に参加してくれるので、遺産分割手続きがストップすることがなくなります。
第二十五条 従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)がその財産の管理人(以下この節において単に「管理人」という。)を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。本人の不在中に管理人の権限が消滅したときも、同様とする。
引用:民法|e-Gov法令検索
行方不明の相続人の不在者財産管理人を選任する方法
不在者財産管理人の選任は、不在者の従来の住所地または居住地を管轄する家庭裁判所への申し立てによっておこないます。
管轄する家庭裁判所の連絡先については、「申立書提出先一覧(家庭裁判所)|裁判所」からご確認ください。
不在者財産管理人の申し立て権限があるのは、利害関係人または検察官です。たとえば、相続人が行方不明になっているせいで遺産分割手続きを進められずに困っている相続人は利害関係人として認められる可能性が高いです。
不在者財産管理人に選任されるために特別な資格は必要ありません。通常、不在者との関係性、利害関係の有無などが総合的に考慮されて、適格性が判断されます。場合によっては、弁護士や司法書士などが選任されることもあります。そして、不在者財産管理人側から請求があった場合に限り、家庭裁判所の判断に基づき、不在者の財産から報酬が支払われます。
行方不明の相続人の不在者財産管理人を選任する際の必要書類・費用
不在者財産管理人選任の申し立てをする際の必要書類は以下のとおりです。
- 不在者財産管理人選任申立書
- 不在者の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 不在者の戸籍附票
- 財産管理人候補者の住民票または戸籍附票
- 不在の事実を証する資料
- 財産目録及び不在者の財産に関する資料(不動産登記事項証明書、預貯金などの有価証券の残高が分かる書類など)
- 利害関係を証明できる資料(戸籍謄本(全部事項証明書)など)
- 収入印紙800円分
- 連絡用の郵便切手
家庭裁判所は、申立書や疎明資料を確認するだけではなく、申立人から事情を聴取したり、不在者の親族に照会をしたりして、不在者財産管理人を選任するべきかどうかを判断します。事案によってはさらに疎明資料の提出を求められる場合があるので、家庭裁判所からの指示に従ってください。
申し立てをしてから不在者財産管理人選任の審判が確定するまでには約2ヶ月程度の期間を要します。不在者財産管理人がいなければいつまでも遺産分割手続きを進めることができないので、行方不明の相続人の連絡先を把握できないことがはっきりした時点で申し立ての準備を始めるべきでしょう。
不在者財産管理人を行方不明の相続人のために遺産分割協議に参加させるときの注意点
不在者財産管理人の基本的な権限は以下のものに限られます。
第百三条 権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
一 保存行為
二 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
引用:民法|e-Gov法令検索
たとえば、不在者のために財産を管理したうえで、財産目録を作成し、家庭裁判所に報告をするなどします。
そのため、不在者財産管理人が遺産分割協議に参加をしたり、不在者の財産を処分したりするなど、民法第103条を超えた範囲の行為をおこなうには、家庭裁判所の不在者財産管理人の権限外行為許可を得る必要があります。
第二十八条 管理人は、第百三条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。不在者の生死が明らかでない場合において、その管理人が不在者が定めた権限を超える行為を必要とするときも、同様とする。
引用:民法|e-Gov法令検索
不在者財産管理人の権限外行為許可の申立人は不在者財産管理人、申立先は不在者財産管理人を選任した家庭裁判所です。申立書、権限外行為となる事項の資料、申立手数料として800円分の収入印紙、郵便料などをご用意ください。
行方不明の相続人について失踪宣告制度を利用する
失踪宣告制度とは、裁判所の宣告によって法律上死亡したものとみなす制度のことです。
行方不明の相続人について失踪宣告をすれば死亡したとみなされるので、「行方不明の相続人の相続人」が遺産分割協議に参加することで、遺産分割手続きを進められます。
失踪宣告は、普通失踪と特別失踪の2種類に区分されます。
- 普通失踪:不在者の生死が7年間明らかではないケース。
- 特別失踪:戦争や船舶の沈没などの危難に遭遇した結果、危難が去ってから1年間生死が明らかではないケース。
第三十条 不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。
2 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止やんだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。
(失踪の宣告の効力)
第三十一条 前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。
引用:民法|e-Gov法令検索
失踪宣告の申立人・管轄裁判所・必要書類
失踪宣告の申立人は、不在者の配偶者、相続人、財産管理人、受遺者など、失踪宣告を求めることについて法律上の利害関係を有する者に限られます。
また、失踪宣告の申し立て先は、行方不明の相続人の従来の住所地または居住地を管轄する家庭裁判所です。申立先の家庭裁判所の住所などについては、「申立書提出先一覧(家庭裁判所)|裁判所」からご確認ください。
さらに、失踪宣告の申し立てに必要な書類として、以下のものが挙げられます。
- 失踪宣告申立書
- 不在者の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 不在者の戸籍附票
- 失踪を証する資料
- 申立人の利害関係を証する資料(相続人である申立人の戸籍謄本(全部事項証明書)など)
- 収入印紙800円分
- 連絡用の郵便切手
失踪宣告の手続きの流れ
失踪宣告を申し立てたあとの手続きの流れは以下のとおりです。
- 申し立てを受けて、家庭裁判所調査官が失踪の事実や期間などについて調査をおこなう
- 家庭裁判所が公示催告をおこない、不在者に対して生存の届出をするべき旨を公告する(普通失踪の場合は3ヶ月以上、特別失踪の場合は1ヶ月以上の期間を設けるのが一般的)
- 家庭裁判所が失踪宣告の審判をおこなう
- 失踪宣告の審判が確定したあと、10日以内に市区町村に対して失踪の届出をする(審判書謄本と確定証明書が必要)
なお、失踪宣告が確定したあと、行方不明だった相続人が生存している事実が判明した場合には、本人または利害関係人の請求によって、失踪宣告が取り消されます。
もし、失踪者が生存していた旨を誰も知らなかったなら、すでにおこなわれた遺産分割協議は有効と扱われるため、遺産分割協議をやり直す必要はありません。ただし、遺産分割協議によって利益を得た限度においてのみ、その財産を返還する義務を負います。
これに対して、失踪者が生存していた事実を相続人のうちの誰かが知っていた場合には、遺産分割協議は無効と扱われるので、遺産分割協議のやり直しが必要です。
第三十二条 失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。
2 失踪の宣告によって財産を得た者は、その取消しによって権利を失う。ただし、現に利益を受けている限度においてのみ、その財産を返還する義務を負う。
引用:民法|e-Gov法令検索
行方不明の相続人について認定死亡制度を活用する
認定死亡制度とは、事故や災害などで死亡した可能性が高いものの死体は確認できないケースにおいて、行政が死亡を認定し、戸籍に死亡の記載をおこなう制度のことです。
引用:戸籍法|e-Gov法令検索
認定死亡を適用するかどうかについて客観的な基準は設けられていませんが、客観的状況を踏まえると事故などによって死亡したと認められる場合に、行政当局の裁量に基づいて認定死亡の判断が下されます。
行方不明の相続人について認定死亡が適用されると、戸籍に記載された年月日に死亡したと推定されます。反証がない限りは死亡したものとみなされるので、「行方不明の相続人の相続人」が遺産分割協議に参加することで、遺産分割手続きを進められます。
ただし、認定死亡の判断が下されたものの、生存している事実が反証された場合には、死亡の判断が覆されるので、すでに成立した遺産分割協議は無効になってやり直しが必要になります(最判昭和28年4月23日)。
【まとめ】不在者財産管理人・失踪宣告・認定死亡の違いや使い分けについて
行方不明の相続人がいる場合、まずは戸籍の附票を調査して、現在の連絡先を把握するのがファーストステップです。
しかし、戸籍の附票からでは行方不明の相続人の現住所に行き当たらないときには、不在者財産管理人制度・失踪宣告制度・認定死亡制度のいずれかを利用しなければ、いつまでも遺産分割協議を進めることができません。
それでは、不在者財産管理人制度・失踪宣告制度・認定死亡制度はどのように使い分けをすればよいのでしょうか。
ここでは、行方不明の相続人への対策としての各制度の位置付けについて整理します。
普通失踪宣告は7年の要件が遺産相続手続きの壁になる可能性が高い
普通失踪宣告によって行方不明の相続人を死亡したものとみなすには、「不在者の生死が7年間明らかではないこと」という要件を満たす必要があります。
ところが、法律上は遺産分割協議自体には期間制限はないものの、相続税の申告・納付期限や相続登記手続きの期限などを踏まえると、被相続人が死亡してから10ヶ月以内には遺産分割協議を成立させるのが望ましいのが実情です。
ですから、被相続人が死亡するよりも前から相続人が長期間行方不明になっているケースは別として、被相続人が死亡して初めて相続人の一部に行方不明者がいる事実が発覚したようなケースでは、普通失踪宣告制度を利用するのは適切ではないといえるでしょう。
失踪宣告と認定死亡では法的安定性に大きな差がある
行方不明の相続人について失踪宣告制度を利用すれば、家庭裁判所の審判によってその相続人は死亡したものとみなされます。
これに対して、認定死亡制度を利用した場合には、行政の判断に基づいてその相続人の死亡が推定されるにとどまります。
つまり、失踪宣告制度を利用すれば法的に死亡が確定する一方で、認定死亡制度を利用した場合には反証によって覆され得るということです。
したがって、法的安定性という観点からは、認定死亡制度よりも失踪宣告制度のほうがメリットは大きいと考えられます。
不在者財産管理人制度だけは行方不明の相続人が存命中であることを前提としている
失踪宣告制度も認定死亡制度も、行方不明の相続人の死亡を前提として、遺産分割協議を進めやすくするものです。
これに対して、不在者財産管理人制度は、行方不明の相続人は生きていることが前提とされています。
そして、遺産分割協議が成立したあとで行方不明だった相続人の所在が判明した場面を考えると、「死亡していた相続人が実は生きていた」ときよりも「行方不明だった相続人の所在が明らかになった」ときの方が、相対的に利害調整が容易です。
ですから、行方不明の相続人が死亡したかどうか怪しいときには、失踪宣告制度や認定死亡制度ではなく、不在者財産管理人制度を利用するのが適しているでしょう。
相続人が行方不明でも相続登記できる場合がある
被相続人が不動産を所有していた場合、相続によって不動産の所有権を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければいけません。
というのも、正当な理由がないのに相続登記の申請義務を怠ると、10万円以下の過料に処されるからです。
そして、相続人に行方不明の人がいると、いつまでも遺産分割協議を進められないので、不動産を誰が相続するのか、また、どのような割合で取得するのかが決まりません。
ですから、行方不明の相続人がいる状態がつづくと、原則として、いつまでも相続登記ができず、過料のリスクに晒されるということです。
それでは、遺産に不動産が含まれており、かつ、行方不明の相続人がいるときには、どのような対策を講じるべきなのでしょうか。
ここでは、行方不明の相続人がいるケースにおける相続登記対策について解説します。
遺言書で不動産の相続人が指定されている場合の相続登記
被相続人が遺言書で不動産の相続人を指定している場合、原則として、その人物が不動産の相続人になります。
ですから、行方不明の相続人が存在しても、遺言書で不動産の相続人が指定されていれば、問題なく相続登記の申請義務を履行できます。
ただし、遺言書の内容とは異なる方法で遺産分割をする旨について相続人全員の合意がある場合や、不動産の相続人が指定されているせいでほかの相続人の遺留分が侵害されている場合、遺言書の有効性に争いがある場合などでは、不動産の相続人について争いが生じる可能性があります。
法定相続分に応じて不動産を取得する場合の相続登記
被相続人が死亡してから遺産分割協議によって相続人が確定するまでの間は、不動産は相続人全員の共有状態と扱われます。
処分行為や管理行為とは異なり、共有物の各共有者は自分だけの判断で保存行為をすることができます。
そして、法定相続分にどおりの相続登記は保存行為に該当すると判断されるので、行方不明の相続人が存在する場合でも、相続登記の申請が可能です。
ただし、法定相続分による相続登記をおこなったあとに、遺産分割協議によって別の相続方法で合意に至ると、遺産分割による相続登記をするために手間・費用が追加で発生します。また、場合によっては、贈与税が課される可能性もあるので注意が必要です。
【注意】相続人が行方不明のままだと不動産の処分はできない
各共有者の独自判断でできるのは保存行為だけです。
これに対して、共有物の処分行為・管理行為をおこなうには、以下の要件が課されている点に注意をしなければいけません。
| 要件 | 具体例 | |
|---|---|---|
| 処分行為 | 相続人全員の合意 | ・不動産全体の売却 ・不動産全体の贈与 ・不動産全体への抵当権設定 ・建物の解体、大規模増築・改築 ・不動産についての長期賃貸借契約の締結 ・用途変更 など |
| 保存行為 | 過半数の賛成 | ・短期賃貸借契約の締結 ・賃料の変更(賃料の増額請求) ・賃貸借契約の解除 ・不動産管理人の選任や変更 ・建物の維持に必要な範囲の軽微なリフォームや修繕 など |
第二百五十一条 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
(共有物の管理)
第二百五十二条 共有物の管理に関する事項(次条第一項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み、共有物に前条第一項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。)は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。
引用:民法|e-Gov法令検索
ですから、行方不明の相続人がいると、相続人全員の同意を得られないので、不動産の売却や建物の解体などの処分行為は不可能です。
また、行方不明の相続人の法定相続分次第ですが、過半数の同意に支障が生じる状況だと、管理行為さえ難しいでしょう。
行方不明の相続人がいるときに弁護士に相談・依頼するメリット6つ
行方不明の相続人がいるときには、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談・依頼をしてください。
というのも、遺産相続トラブルへの対応が得意な弁護士の力を借りることで、以下6つのメリットを得られるからです。
- 行方不明の相続人の連絡先を調査してくれる
- 不在者財産管理人制度などの手続きを代理してくれる
- 相続放棄をするべきかどうかを判断してくれる
- ほかの相続人との協議を代理してくれる
- 遺産分割調停・審判に対応してくれる
- その他の遺産相続トラブルへの対応も期待できる
行方不明の相続人の連絡先を調査してくれる
遺産分割協議をおこなうには、相続人全員の参加が不可欠です。
そのため、被相続人が死亡したときには、速やかに相続人を洗い出したうえで、遺産分割協議に参加する旨の連絡をしなければいけません。
そして、連絡先がわからない相続人がいる場合には、戸籍の附票などを調査して現住所を把握し、手紙を郵送したり直接訪問をしたりする必要があります。
しかし、被相続人の戸籍謄本や行方不明の相続人の戸籍附票を調査するには本籍地のある市区町村役場への訪問を要しますし、馴染みのない戸籍謄本などの書類をチェックするなどの労力を強いられます。法律実務に詳しくない素人には相当な負担です。
遺産相続トラブルへの対応が得意な弁護士に相談・依頼をすれば、行方不明の相続人の連絡先をスピーディーに調査し、遺産分割協議への参加を促してくれるでしょう。
不在者財産管理人制度などの手続きを代理してくれる
行方不明の相続人の連絡先がわからない場合には、不在者財産管理人を選任するなどして、遺産分割協議を進める必要があります。
ただし、不在者財産管理人制度などを利用するには、家庭裁判所への申し立てなどの手続きを要します。遺産相続実務に詳しくなければ、必要書類の準備や家庭裁判所での聴取に対応するのは簡単ではありません。
遺産相続トラブルの経験豊富な弁護士に依頼をすれば、行方不明の相続人の個別状況を踏まえたうえで、不在者財産管理人制度・失踪宣告制度などから適切な手段を選択し、裁判所関係の手続きをすべて代理してくれるでしょう。
相続放棄をするべきかどうかを判断してくれる
行方不明の相続人がいるせいで遺産分割協議がまったく進まない場合、遺産に多額の負債が含まれている場合、ほかの相続人との関係性が悪くて遺産分割手続きに関与すること自体が煩わしい場合などでは、相続放棄をするのも選択肢のひとつです。
相続放棄とは、被相続人のプラスの財産・マイナスの財産すべてを相続しない旨の意思表示のことです。相続放棄をすれば最初から相続人ではなかったと扱われるので、行方不明の相続人の連絡先調査などの煩わしい遺産分割手続きから逃れることができます。
ただし、相続放棄をするには、自己のために相続の開始があったことを知ったとき(通常は、被相続人が死亡した日)から3ヶ月以内に、家庭裁判所に対して申述をしなければいけません。相続人調査に時間を要していると、相続放棄をするチャンスを失いかねないでしょう。
第九百三十八条 相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。
引用:民法|e-Gov法令検索
遺産相続トラブルへの対応が得意な弁護士に相談・依頼をすれば、丁寧に相続財産調査をおこなって遺産の構成内容を確認したり、ほかの相続人との関係性などの個別事情を聴取したりして、期間内に相続放棄をするべきかどうかを判断してくれるでしょう。
ほかの相続人との遺産分割協議を代理してくれる
誰がどの財産をどのような割合で相続するのかを決める際には、相続人や不在者財産管理人などとの話し合いが必要です。
しかし、ほかの相続人との関係性が悪かったり、相続人が遠方に居住していたりすると、相続人同士で直接コミュニケーションを取ること自体が難しいでしょう。
遺産相続実務に詳しい弁護士に依頼をすれば、依頼者を代理してほかの相続人との協議を進めてくれるので、スムーズな遺産分割協議の成立を期待できるでしょう。
遺産分割調停・審判にも対応してくれる
遺産分割協議がまとまらないと、家庭裁判所の遺産分割調停・審判を利用して遺産相続トラブルの解決を目指す必要があります。
ところが、遺産分割調停・審判を利用するには、家庭裁判所への申し立てや証拠書類の準備、期日への出席などの負担を強いられます。
遺産相続事案に力を入れている弁護士に依頼をすれば、遺産分割調停・審判といった家庭裁判所関係の手続きをすべて代理してくれるので、依頼者は定期的に法律事務所で打ち合わせをするだけで遺産相続トラブルの解決を期待できるでしょう。
その他の遺産相続トラブルへの対応も期待できる
相続人が行方不明になっているせいで遺産分割協議を進められないという事態以外にも、遺産相続手続きでは、以下のようなトラブルが生じる可能性があります。
- 不動産や有価証券などの分割しにくい財産が遺産に含まれている
- 被相続人がどれだけの借金を抱えていたかわからない
- ほかの相続人や親族から嫌がらせを受けている
- 遺産の使い込みや隠蔽の疑いがある
- 遺言書の有効性に疑いがある
- 遺留分を侵害する遺言書や生前贈与が存在する
- 特別寄与料や寄与分を主張したい など
弁護士に相談・依頼をすれば、遺産相続トラブルをフルサポートしてくれるので、公平・公正な遺産相続を実現できるでしょう。
行方不明の相続人がいるときにはできるだけ早いタイミングで弁護士に相談しよう
行方不明の相続人がいるときには、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談してください。
弁護士に依頼をすれば、すぐに行方不明の相続人の連絡先を調査したり、不在者財産管理人制度を活用したりして、遺産分割協議を進めるための準備をしてくれます。また、ほかの相続人との協議も任せられるので、遺産分割手続きの早期解決を期待できるでしょう。
遺産相続相談弁護士ほっとラインでは、行方不明の相続人トラブルなどの遺産相続実務に詳しい弁護士を多数紹介中です。弁護士の力を借りるタイミングが早いほど有利な解決を期待しやすいので、速やかに信頼できる法律事務所までお問い合わせください。