仏壇の処分方法に困ったらどうする?位牌の取り扱いや閉眼供養の流れ、弁護士に相談・依頼するメリットを解説

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「仏壇を引き継ぐ人がいないから処分したい」
「仏壇を処分したいが誰に相談すればよいかわからない」

たとえば、親が亡くなったようなケースでは、実家の仏壇を引き継がなければいけなくなってしまいます。

「遺産相続手続きは面倒だから相続放棄をして関係を断ちたい」と思ったとしても、仏壇のような祭祀に関する権利の承継については一般的な遺産相続ルールが適用されない点に注意が必要です。わかりやすく言い換えると、仏壇は相続財産に含まれないということです。

(相続の一般的効力)
第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
(祭祀に関する権利の承継)
第八百九十七条 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。
引用:民法|e-Gov法令検索

たとえば、相続放棄をしても仏壇を引き取ったり処分したりできます。また、あなたが被相続人の長男や配偶者に当たる場合には、相続放棄を選択したとしても仏壇の処分方法を決めなければいけない可能性があります。

そこで、この記事では、仏壇の処分方法について困っている人のために、以下の事項についてわかりやすく解説します。

  • 仏壇を処分する方法
  • 仏壇を処分するときの流れ
  • 仏壇を処分するときの注意点
  • 仏壇の処分など、遺産相続が生じたときの疑問点を弁護士に相談するメリット

仏壇の処分方法4つ

仏壇の処分方法として、以下4つのものが挙げられます。

  • 菩提寺に相談する
  • 仏壇仏具店に相談する
  • 買取業者などに相談する
  • 自治体に相談する

それでは、仏壇の処分方法についてそれぞれ解説します。

処分方法 メリット デメリット
菩提寺 ・閉眼供養、仏壇仏具の引き取り、お焚き上げを任せることができる
・安心感がある
・数万円〜10万円程度のお布施が必要
・自分で運搬しなければいけない
・宗派が違うと断られる可能性がある
仏壇仏具店 ・処分の段取りがはっきりして安心感がある
・宗派にかかわらず処分してくれる
・自宅からの運搬も依頼できる
・詳細に費用が設定されている(数万円が相場)
・閉眼供養は自分で済ませる必要がある(別途費用が必要)
・新しい仏壇を購入しないと割高(断られることもある)
業者 ・専門業者に依頼すれば一連の手続きを任せることができる
・仏壇以外の不用品の処分や遺品整理も任せられる
・買取によって処分費用を抑えることができる
・悪質な業者もいるので高額費用を請求されかねない
自治体 ・数百円から数千円程度に処分費用を抑えられる
・場合によっては自宅まで回収に来てくれる
・粗大ゴミとして持ち込む場合には自分で運搬が必要
・粗大ゴミとして出すことの抵抗感、周囲の目が気になる
・閉眼供養などは自分で対応しなければいけない

菩提寺に相談する

菩提寺とは、先祖代々のお墓があるお寺のことです。たとえば、葬儀や法要、戒名授与などをお願いするお寺が菩提寺にあたります。

菩提寺が仏壇の処分を引き受けてくれる場合、閉眼供養や仏壇・仏具の引き取り、お焚き上げまでの一連の流れをすべて任せることができるので、手間がかかりません。また、普段からお世話になっているわけですから、丁寧な供養を期待できるという安心感も得られるでしょう。

ただし、すべての菩提寺が仏壇の処分を受け付けてくれるとは限りません。事前に菩提寺に連絡をして、仏壇の引き取りなどに対応してくれるかを確認してください。

また、菩提寺に仏壇の処分を依頼する場合には、お布施として費用を支払う必要があります。菩提寺によって金額は異なるので、費用面についても事前確認必須です。

さらに、菩提寺に処分を依頼するケースでは、自分でお寺まで仏壇を運搬しなければいけません。業者や車を手配するのなら、その費用負担も発生します。

仏壇仏具店に相談する

仏壇仏具店では、古い仏壇の処分・引き取りサービスを実施していることが多いです。

仏壇仏具店は仏壇を扱う専門店なので、処分の段取りがはっきりしていてスムーズです。また、宗派にかかわらず処分を引き受けてくれる点もメリットとして挙げられます。さらに、仏壇仏具店によっては、仏壇の搬出からお願いすることもできます

ただし、仏壇仏具店では供養サービスを提供していないことが多いです。そのため、事前にご自身で菩提寺などで閉眼供養(魂抜き)を済ませておかなければいけません。また、仏壇仏具店によっては、仏壇の引き取り条件として「新しい仏壇を購入すること」が掲げられていることがあります。さらに、仏壇のサイズや搬送距離、神棚の有無などによって詳細に費用が設定されている可能性があるので、注意が必要です。

業者に相談する

リサイクル業者・不用品回収業者・買取業者に仏壇の処分を依頼するのも選択肢のひとつです。

これらの業者に依頼した場合、仏壇を自分で運び出す必要はありません。依頼して即日〜数日で対応してくれることが多いので、労力をかけずにスムーズに仏壇を処分できるでしょう。また、仏壇の処分を依頼したタイミングで、遺品整理やほかの不用品(家具・家電など)もまとめて引き取ってくれるので、効率的に自宅などを片付けることができます。さらに、仏壇処分や遺品整理を専門に扱う業者に依頼をすれば、古い仏壇を買い取ってくれるので処分費用を抑えられますし、閉眼供養、供養などの宗教儀式から、引き取り、処分までを一貫して済ますことができる場合もあります。

ただし、業者によってサービスは異なるので、大切な仏壇が杜撰な扱いをされるリスクもゼロではありません。また、高額の費用を請求されるケースも散見されます。

ですから、リサイクル業者などに仏壇の処分を依頼する際には、事前にホームページや口コミ、SNSの評判をチェックするのがおすすめです。

自治体に相談する

自治体によっては、粗大ゴミとして仏壇を処分できる場合があります。ほかの処分方法と異なり、大幅に処分費用を抑えられる点がメリットとして挙げられます。

指定場所に持ち込むか、自宅まで回収に来てもらうかを選べることが多いので、詳しくは自治体までお問い合わせください。

ただし、粗大ゴミとして処分する場合には、閉眼供養などの供養は自分で手配しなければいけません。また、自宅まで回収に来てもらうときには自宅前に仏壇を置いておかなければいけませんが、ご近所からの目が気になる人は注意が必要です。

仏壇によっては、自力で小さくまとめたり分解したりすることで、可燃ゴミとして捨てることもできます。自治体のゴミ回収ルール次第なので、自治体のホームページなどを確認しましょう。

仏壇を処分するときの流れ

仏壇を処分するときの流れについて解説します。

  1. 閉眼供養(魂抜き)をする
  2. 仏壇の中身を確認する
  3. 仏壇を処分する
  4. 仏壇を処分したあとも供養する

閉眼供養をする

閉眼供養とは、仏壇や墓石に宿っている故人の魂を抜くための儀式のことです。「魂抜き」「お性根抜き」「脱魂式」「抜魂式」「遷座法要」とも呼ばれます。

新しくお墓を建てたり、仏壇を新調したりした場合、仏様の魂を迎え入れるために「開眼供養」という儀式がおこなわれるのが一般的です。

そして、墓じまいや改葬、仏壇の処分や買い替え、墓石への戒名の追加彫刻、お墓のリフォームなどの際には、仏様の魂が宿っている仏壇や墓石に手を加えなければいけないので、閉眼供養がおこなわれます。

閉眼供養の一般的な依頼先は菩提寺です。菩提寺がある場合には、菩提寺に連絡をして、住職などに対応してもらいましょう。

もし、付き合いのあるお寺がない場合には、霊園や仏壇仏具店、遺品整理業者、専門供養業者、僧侶派遣サービスなどを利用するのがおすすめです。

閉眼供養をしないで仏壇を処分しても法的責任を問われたり刑事罰が科されたりすることはありません。しかし、閉眼供養をしないことは宗教上のタブーと扱われます。たとえば、お寺や業者によっては、閉眼供養をしていない仏壇の処分は断られる可能性もあります。また、閉眼供養をせずに仏壇を処分すると、罰があたるかもしれないなどの心理的なプレッシャーも感じるでしょう。

仏壇の中身を確認する

仏壇を処分するときには、必ず処分前に中身を確認してください。

というのも、仏壇には、仏具や位牌、遺影だけではなく、家系図や過去帳、故人の通帳や貴重品、実印、現金などが収納されていることがあるからです。

処分したくないものを間違って捨ててしまうことのないように、引き出しの中身や小物入れ、打敷の裏側などをしっかりと精査しましょう。

仏壇を処分する

閉眼供養などの事前準備が終わったら、実際に仏壇を処分します。

仏壇の処分方法については、上述のとおりです。

仏壇処分後も供養はする

仏壇を処分したからといって故人やご先祖様との関係が終わるわけではありません。仏壇処分後も供養はつづけましょう。

仏壇を処分したあとの供養方法について特別な決まりはありません

たとえば、以下のような供養の方法があるので、ご自身の生活スタイルなどを踏まえてご検討ください。

  • コンパクトな仏壇を用意する
  • 永代供養をして、お寺の本堂・納骨堂・永代供養墓などを参拝する
  • 自宅内に祈りのスペースや遺骨アクセサリを用意して手元供養をする など

仏壇を処分するときの注意点

仏壇を処分するときの注意点について解説します。

大切なものを間違って処分しないようにする

仏壇には貴重品などの大切なものが保管されていることが多いです。

仏壇を処分する際に、これらの貴重品を誤って捨ててしまわないように、事前に仏壇の中身はしっかりとチェックをしてください。

宗派の違いに注意する

仏壇の処分方法は宗派によって異なります

まず、浄土宗・真言宗・曹洞宗などでは、一般的な閉眼供養の儀式が必要とされます。

これに対して、創価学会では、特定の供養は必要とされていません。ただし、創価学会の仏壇は特殊なものなので、一般の仏壇仏具店では対応してもらえないことが多いです。創価学会専門の仏具店や創価学会の地区学会などに問い合わせをすると、処分方法などを紹介してもらえるでしょう。

また、浄土真宗でも、閉眼供養は必要ありません。というのも、浄土真宗では、人は亡くなるとすぐに天国に召されると考えられているので、仏壇や位牌に故人の魂が宿っておらず、故人の魂を抜く儀式は必要ないからです。ただし、浄土真宗では、閉眼供養の代わりに「遷座法要」という法要がおこなわれます。

さらに、日蓮宗では、御本尊を外したあとの仏壇は通常の家具として扱われます。ですから、供養をしたあとは自治体の粗大ゴミとして処分することが可能です。

以上のように、宗教ごとに閉眼供養の要否・推奨される処分方法などがまったく異なるので、仏壇を処分する前にご確認ください。

位牌の取り扱いを決める

仏壇を処分するときには、位牌をどうするかについても考えましょう。

位牌は、ご先祖様や故人の霊が宿る依代と考えられており、基本的に処分することはありません。

しかし、位牌の本数が多い場合や、位牌を引き継ぐ人がいない場合には、菩提寺にお焚き上げをしてもらうなどの処分方法が考えられます。

仏壇の処分など遺産相続で疑問があるときに弁護士に相談するメリット

さいごに、仏壇の処分などの遺産相続が発生したときに弁護士に相談・依頼するメリットを紹介します。

  • 遺産相続発生時のやることリストを教えてくれる
  • 遺言書の内容を確認して適切な遺産相続が実現するためのサポートを期待できる

遺産相続発生時のやることリストを教えてくれる

遺産相続が発生すると、葬儀の手配や遺品整理、気持ちの整理など、日々が忙しなく過ぎていきます。

遺産相続問題への対応が得意な弁護士に相談すれば、遺産相続発生時のやることリストを教えてくれるので、さまざまな手続きを失念するリスクを軽減できるでしょう。

遺産の内容や相続人の状況、被相続人との関係性にもよりますが、代表的なやることリストとして、以下のものが挙げられます。

  • クレジットカード・サブスクリプション・互助会などの解約・名義変更
  • 電気・ガス・水道・インターネット・携帯電話・NHKなどの解約・名義変更
  • 遺品の確認、遺品整理
  • 戸籍謄本の取り寄せ
  • 相続人の調査(法定相続情報一覧図の作成)
  • パスポートや免許証の返納
  • 死亡診断書の受け取り
  • 死亡届の提出、火葬許可証の受け取り
  • 住民票の世帯主の変更手続き
  • 年金受給停止の手続き
  • 健康保険・介護保険の資格喪失手続き
  • 相続放棄の申し立て
  • 相続税の申告・納付
  • 所得税の準確定申告
  • 国民年金の死亡一時金請求
  • 埋葬料・葬祭費の請求
  • 高額医療費の還付請求
  • 生命保険金の請求
  • 遺族年金の請求 など

適切な遺産相続が実現するためのサポートを期待できる

弁護士に相談・依頼をすれば、適切な形で遺産相続が実現するためのサポートを期待できます。

たとえば、不利な遺言書が残されていた場合には、遺産分割協議で遺言の無効や遺留分侵害額請求をするなどして、ほかの相続人と協議をしてくれます。また、必要であれば、調停・審判や民事訴訟などの法的手続きにも対応してくれるでしょう。さらに、相続人調査や相続財産調査をしたうえで、相続放棄をするべきかどうか、遺産分割協議がスムーズに進むための手続き代行などもおこなってくれます。

遺産相続手続きでは、ほかの相続人とのトラブルが生じるケースが少なくありません。遺産相続トラブルが深刻化してから弁護士に相談してもスピーディーな解決は望みにくいので、念のために一度は遺産相続問題に強い弁護士に相談するとよいでしょう。

仏壇の処分など遺産相続でわからないことがあれば弁護士に相談しよう

仏壇の処分など、遺産相続でわからないことがあれば、すぐに弁護士に相談してください

弁護士に相談すれば遺産相続トラブルが生じても早期の円満解決の可能性が高まりますし、不利な遺産相続を強いられるリスクを大幅に軽減できます。

遺産相続相談弁護士ほっとラインでは、遺産相続トラブルへの対応が得意な弁護士を多数紹介中です。初回の法律相談料無料の弁護士も多いので、速やかに信頼できる弁護士までお問い合わせください。

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