相続で共有名義になった不動産を売却するには?共有関係のリスクと弁護士に相談・依頼するメリットを解説

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相続財産に不動産が含まれていると、遺産分割協議などを経た結果、不動産が複数人の共有名義になることがあります。

もちろん、「公平にわかりやすく財産を分配して不満が生じないように」という理由から、預貯金や有価証券などと同じように不動産を按分するのも間違いではありません。

しかし、現金や預貯金の按分と”不動産の按分”は全く異質なものです。同一不動産を複数人で”按分”すると、同一不動産の共有状態が発生します

そして、不動産の共有名義については、さまざまなデメリットやリスクに注意が必要です。たとえば、共有者全員の同意がなければ不動産を売却できないなどの拘束を受けたり、ほかの共有名義人が無断で共有持分だけを売却して見ず知らずの第三者が権利関係に入ってきたりする危険性があります。

そこで、この記事では、不動産をどのように相続するか迷っている人や、相続で共有名義になった不動産の売却方法で悩みを抱えている人などのために、以下の事項についてわかりやすく解説します。

  • 共有名義の不動産をめぐる法律関係について
  • 共有名義の不動産を売却する方法、それぞれのメリット・デメリット
  • 共有名義不動産をめぐる複雑な法律関係から離脱する方法
  • 不動産の共有者が勝手に第三者へ共有持分を売却したときに生じるデメリット
  • 不動産の共有名義状態を回避するための方法
  • 遺産に不動産が含まれているときに弁護士へ相談・依頼するメリット

目次

相続で共有名義になった不動産は売却できる?

まずは、相続後に共有名義になった不動産をめぐる法律関係売却可能性について解説します。

共有名義の不動産は共有者だけで全部売却できない|処分行為

まず、一部の共有者だけでは単独で共有名義不動産全体を売却できません

というのも、共有物に変更を加える行為をするには共有者全員の同意が必要とされているからです。

(共有物の変更)
第二百五十一条 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
引用:民法|e-Gov法令検索

共有者全員の同意が必要とされる「共有物に変更を加える行為」として、以下のものが挙げられます。

  • 共有名義不動産全体の売却、寄付、贈与、交換
  • 長期間に及ぶ賃貸借契約
  • 共有名義不動産全体への抵当権設定
  • 共有名義建物の取り壊し
  • 共有名義建物の増改築(形状または効用の著しい変更を伴う大規模なものに限られる)
  • 田畑から宅地への造成
  • 山林の伐採 など

ですから、あなたが不動産を売却したいと希望したとしても、売却するかどうか、いくらで売却するか、いつ売却するかなどについてほかの共有名義人と意見が衝突すると、不動産全体の売却は実現しないと考えられます。

共有名義の不動産でも共有持分だけなら単独で売却できる

不動産全体の売却には、共有名義人全員の同意が必要です。

これに対して、自分の共有持分に限っては、単独で売却できます

ですから、共有名義人全員の同意が得られず不動産をめぐる権利関係から逃れることができなくて困っていたとしても、共有持分を売却すれば共有名義不動産に関する煩わしいトラブルから解放されるでしょう。

ただし、不動産全体の売却とは異なり、共有持分だけの売却にはさまざまなハードルがある点に注意が必要です。

不動産の共有名義人が単独でできること|保存行為

不動産が共有状態であったとしても、共有名義人はそれぞれ単独で保存行為をおこなうことができます

(共有物の管理)
第二百五十二条
5 各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。
引用:民法|e-Gov法令検索

保存行為とは、現状を維持・保全する目的でおこなう行為のことです。保存行為は不動産全体の価値を守る行為であり、共有名義人全員の利益になるものだからです。

共有名義不動産のに関する保存行為として、以下のものが挙げられます。

  • 雨漏りや屋根の補修、ブロック塀の補強などの物理的なメンテナンス
  • 庭木の剪定、枝打ち、清掃、除草
  • 不法占拠している無権利者に対する明渡請求
  • 実態と合わない登記簿に対する抹消登記請求
  • 相続登記
  • 地役権設定登記請求 など

不動産の共有名義人の過半数の賛成でできること|管理行為

共有名義不動産の管理行為については、共有名義人の持分の価額にしたがい、その過半数で決定します。

(共有物の管理)
第二百五十二条 共有物の管理に関する事項(次条第一項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み、共有物に前条第一項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。)は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。
2 裁判所は、次の各号に掲げるときは、当該各号に規定する他の共有者以外の共有者の請求により、当該他の共有者以外の共有者の持分の価格に従い、その過半数で共有物の管理に関する事項を決することができる旨の裁判をすることができる。
一 共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
二 共有者が他の共有者に対し相当の期間を定めて共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにすべき旨を催告した場合において、当該他の共有者がその期間内に賛否を明らかにしないとき。
3 前二項の規定による決定が、共有者間の決定に基づいて共有物を使用する共有者に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。
4 共有者は、前三項の規定により、共有物に、次の各号に掲げる賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(以下この項において「賃借権等」という。)であって、当該各号に定める期間を超えないものを設定することができる。
一 樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃借権等 十年
二 前号に掲げる賃借権等以外の土地の賃借権等 五年
三 建物の賃借権等 三年
四 動産の賃借権等 六箇月
(共有物の管理者)
第二百五十二条の二 共有物の管理者は、共有物の管理に関する行為をすることができる。ただし、共有者の全員の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
2 共有物の管理者が共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有物の管理者の請求により、当該共有者以外の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。
3 共有物の管理者は、共有者が共有物の管理に関する事項を決した場合には、これに従ってその職務を行わなければならない。
4 前項の規定に違反して行った共有物の管理者の行為は、共有者に対してその効力を生じない。ただし、共有者は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
引用:民法|e-Gov法令検索

管理行為とは、共有物の性質を変えない範囲で利用したり改良したりする行為のことです。

共有名義不動産に関する管理行為の具体例として、以下のものが挙げられます。

  • 法定された期間内の短期の賃貸借契約の締結
  • 賃貸借契約の解除、賃料などの諸条件の変更
  • 賃借権の譲渡・転貸の承諾
  • 軽微なリフォーム(外壁の塗り替え、間取り変更のない内装リフォームなど)
  • 固定資産税や管理費の支払い
  • 共有者間の管理ルールの策定、管理者の選定 など
2023年4月の民法改正で、共有関係の法律関係や管理行為の内容などについて大幅なルール変更が加えられました。これによって、処分行為・管理行為・保存行為の区分が従前よりもわかりやすくなったり、所在不明の共有者がいたとしても処分行為や管理行為をおこなうことができるようになったりしました。しかし、実際の共有名義不動産の実務では、共有者の一部がおこなった行為が処分行為・管理行為・保存行為のいずれに該当するのかについて揉めごとに発展するケースが少なくありません。ですから、共有名義不動産に対して一定の行為に及ぶときには、事前にほかの共有名義人に相談をすることを強くおすすめします

相続で共有名義になった不動産を売却する方法

相続後に共有名義状態になった不動産を売却する方法を、以下2つのパターン別に紹介します。

  1. 不動産の共有持分だけを売却する方法

共有者全員の同意を得て売却する

不動産全体を売却する際には、共有者全員の同意が前提になります。

裏を返せば、共有持分権者のうちひとりでも売却に反対すれば、不動産全体を売却することはできません

不動産を売却する際には、不動産仲介業者に依頼をして不動産中古市場で買い手を見つけたり、不動産買取業者に引き取ってもらったりする方法が考えられます。

また、当該不動産に居住している共有者が売却に反対しているケースでは、単なる売却ではなくリースバックを提案するのも選択肢のひとつでしょう。

仲介業者と買取業者は、それぞれメリット・デメリットが存在します。たとえば、市場相場どおりに高額で売却したいなら不動産仲介業者に相談するのがおすすめです。これに対して、不動産を売却して現金化するスピード感を重視するなら買取業者への依頼が推奨されます。不動産全体を売却したいニーズ次第でどの業者に選ぶべきかが変わってくるので、専門業者や弁護士などにご相談ください。

共有名義不動産全体を売却する際の必要書類

共有名義の不動産全体を売却する際の必要書類として、以下のものが挙げられます。

  • 登記識別情報・登記済権利証
  • 地積測量図・境界確認書・間取り図・建築確認済証・検査済証
  • 固定資産税納税通知書・評価証明書
  • 住宅ローンの残高証明書
  • 売買契約書・重要事項説明書
  • 身分証明書・印鑑証明書・住民票・実印(共有持分権者全員分)
  • 委任状 など

不動産が共有名義状態になっている場合、共有者全員の身分証明書などが必要になるため、できるだけ早いタイミングでスケジュールを決める必要があります。

また、遠方に居住しているなどの理由から売却手続きに直接関与できない共有者がいるケースでは、委任状を提出してもらいましょう

共有名義の不動産全体を売却するときの手続きの流れ

共有名義の不動産全体を売却する際には、不動産仲介業者に依頼をするのが一般的でしょう。

不動産仲介業者経由で共有名義不動産全体を売却する際の流れは以下のとおりです。

ステップ 詳細
1.共有者全員を洗い出す 共有状態で相続が繰り返されている場合には、被相続人の前妻の子どもなど、見ず知らずの人が共有名義人の可能性もある。不動産全体を売却する際には共有名義人全員の同意が必要なので、登記簿を確認して共有者全員をリストアップする。
2.売却について共有者全員の同意を得る 共有持分権者全員の同意がなければ不動産全体は売却できない。必要であれば適宜交渉をおこなったうえで、将来的な紛争予防のために同意書を作成する。
3.不動産仲介業者に相談する 不動産仲介業者によって強みが異なるので、複数業者への相談が推奨される。
4.必要書類を用意する 不動産取引に立ち会えない共有持分権者がいる場合には、委任状も送付してもらう。必要書類については不動産仲介業者から案内があるので漏れのないように速やかに収集する。
5.売買契約を締結する 不動産仲介業者経由で買い手が見つかった場合には、売買契約を締結する。
6.決済をして登記手続きをおこなう 売買代金の支払いを受ける代わりに、鍵や関係書類の引き渡しや抵当権の抹消登記手続きなどをおこなう。

共有名義人全員の同意が得られない場合の解決策

それでは、共有持分権者全員の同意が得られない場合には、不動産全体を売却することはできないのでしょうか。

所在等不明共有者がいる場合の共有物変更の申立て

まず、共有者がほかの共有者を知ることができず、または、その所在を知ることができないときには、所在不明の共有者以外のほかの共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の決定を求めて、裁判所に所在等不明共有者がいる場合の共有物変更許可の申立てをする方法が挙げられます。

(共有物の変更)
第二百五十一条
2 共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、当該他の共有者以外の他の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。
引用:民法|e-Gov法令検索

たとえば、不動産の相続が繰り返されているために登記簿上の共有持分権者の連絡先がまったくつかめないようなケースでも、共有物変更許可の決定が下されると、それ以外の共有持分権者全員の同意だけで、大規模リフォームや売却などをおこなうことができます。

所在等不明共有者持分取得申立て

不動産の共有者がほかの共有者を知ることができず、または、その所在を知ることができず、または、その所在を知ることができないときには、裁判所に対して所有者等不明共有者持分取得申立てをして、申立てをした共有者に、所在等不明共有者の持分を取得させることができます。複数の共有者が共同で申立てをした場合には、各共有者の持分割合にしたがって按分して取得します。

(所在等不明共有者の持分の取得)
第二百六十二条の二 不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該他の共有者(以下この条において「所在等不明共有者」という。)の持分を取得させる旨の裁判をすることができる。この場合において、請求をした共有者が二人以上あるときは、請求をした各共有者に、所在等不明共有者の持分を、請求をした各共有者の持分の割合で按分してそれぞれ取得させる。
2 前項の請求があった持分に係る不動産について第二百五十八条第一項の規定による請求又は遺産の分割の請求があり、かつ、所在等不明共有者以外の共有者が前項の請求を受けた裁判所に同項の裁判をすることについて異議がある旨の届出をしたときは、裁判所は、同項の裁判をすることができない。
3 所在等不明共有者の持分が相続財産に属する場合(共同相続人間で遺産の分割をすべき場合に限る。)において、相続開始の時から十年を経過していないときは、裁判所は、第一項の裁判をすることができない。
4 第一項の規定により共有者が所在等不明共有者の持分を取得したときは、所在等不明共有者は、当該共有者に対し、当該共有者が取得した持分の時価相当額の支払を請求することができる。
5 前各項の規定は、不動産の使用又は収益をする権利(所有権を除く。)が数人の共有に属する場合について準用する。
引用:民法|e-Gov法令検索

これにより、不動産の共有持分権者の一部の所在が不明でも、所在がわかっている共有者がこれを取得することで全員同意の要件を満たすので、不動産全体を売却できるでしょう。

所在等不明共有者持分譲渡の権限付与の申立て

不動産の共有者がほかの共有者を知ることができず、または、その所在を知ることができず、または、その所在を知ることができないときには、所在等不明共有者持分譲渡の権限付与の申立てをして、特定の共有者に不動産の処分権限を譲渡できます。

(所在等不明共有者の持分の譲渡)
第二百六十二条の三 不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該他の共有者(以下この条において「所在等不明共有者」という。)以外の共有者の全員が特定の者に対してその有する持分の全部を譲渡することを停止条件として所在等不明共有者の持分を当該特定の者に譲渡する権限を付与する旨の裁判をすることができる。
2 所在等不明共有者の持分が相続財産に属する場合(共同相続人間で遺産の分割をすべき場合に限る。)において、相続開始の時から十年を経過していないときは、裁判所は、前項の裁判をすることができない。
3 第一項の裁判により付与された権限に基づき共有者が所在等不明共有者の持分を第三者に譲渡したときは、所在等不明共有者は、当該譲渡をした共有者に対し、不動産の時価相当額を所在等不明共有者の持分に応じて按分して得た額の支払を請求することができる。
4 前三項の規定は、不動産の使用又は収益をする権利(所有権を除く。)が数人の共有に属する場合について準用する。
引用:民法|e-Gov法令検索
反対している共有者がいると不動産全体は売却できない

裁判所の手続きを利用して不動産全体の売却を目指すことができるのは、共有者の一部に所在不明者がいるときに限られます。

所在が判明してる共有者が明確に売却に反対している場合には、どのような法的措置を尽くしても不動産全体を売却することはできません

このようなケースでは、売却に賛成するように説得を続けるか、後述する別の手段を尽くして不動産の共有状態からの離脱を目指すしかないので、速やかに弁護士などの専門家にご相談ください。

自分の共有持分だけ売却する

自分の共有持分だけを処分するなら、ほかの共有者の同意は必要ありません。

ですから、不動産全体の売却が難しい場合、自分の共有持分だけを処分すれば、共有状態の不動産をめぐる面倒な権利関係から離脱できます

ここからは、自分の共有持分を売却などするときの方法を具体的に紹介します。

訳あり物件買取業者に売却する

不動産の共有持分だけを一般の不動産中古市場で売却するのは極めて困難です。

そのため、不動産の共有持分だけの売却を希望する場合には、不動産仲介業者に依頼をして一般の購入者を募るのではなく、訳あり物件買取業者に売却する方法が有力な選択肢になります。

ただし、訳あり物件買取業者に共有持分だけを売却する方法には、以下のようにメリット・デメリットの両面があるので注意が必要です。

訳あり物件買取業者に売却するメリット ・不動産中古市場では購入者が見つからない共有持分でも売却できる可能性が高い
・共有持分に限り現金化できる
・ほかの共有者などの同意を得なくても勝手に売却して法律関係から離脱できる
訳あり物件買取業者に売却するデメリット ・低廉な価格で買い叩かれるリスクが高い
・ほかの共有者との人間関係が悪化する危険性がある
・訳あり物件買取業者が買い取ったあとに、第三者に売却・賃貸をしたり、共有物分割請求に踏み出したりすると、無関係とはいえ、共有関係をめぐって深刻な法律トラブルが発生しかねない

ほかの共有持分権者に売却をする

訳あり物件買取業者ではなく、ほかの共有持分権者にあなた自身の共有持分の買い取りを了承してもらえれば、売却後の法律トラブルを回避できます。

ただし、ほかの共有持分権者に一定の資金力がなければ売却は不可能です。

また、ほかの共有持分権者との間で売却価格などの面で交渉が難航するリスクも存在します。

共有物分割請求をする

共有者は、いつでも共有物を分割するようにほかの共有者に求めることができます。

(共有物の分割請求)
第二百五十六条 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
2 前項ただし書の契約は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から五年を超えることができない。
引用:民法|e-Gov法令検索

共有状態の不動産を分割する場合、現物分割・代償分割・換価分割のうちいずれかの方法を選択する必要があります。

  • 現物分割:不動産が土地の場合には、分筆をしてそれぞれが土地を引き受ける方法。
  • 代償分割:1人の共有者がほかの共有者に代償金を支払って単独所有にする方法。
  • 換価分割:不動産を競売にかけるなどして売却し、共有持分割合に応じて現金を分配する方法。

共有者間の話し合いで不動産の分割方法が決まらない場合や、一部の共有者が分割に反対している場合などでは、共有物分割請求訴訟を提起して、裁判所に分割方法を決定してもらうことができます。

(裁判による共有物の分割)
第二百五十八条 共有物の分割について共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
2 裁判所は、次に掲げる方法により、共有物の分割を命ずることができる。
一 共有物の現物を分割する方法
二 共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法
3 前項に規定する方法により共有物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。
4 裁判所は、共有物の分割の裁判において、当事者に対して、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。
引用:民法|e-Gov法令検索

不動産が土地の場合には分筆する

共有名義の不動産が土地の場合には、分筆によって単独所有にする方法が考えられます。

分筆とは、登記簿上のひとつの土地を複数の土地に分けて登記をする手続きのことです。共有名義の土地を分筆すれば独立した複数の単独所有状態に変更されるので、ほかの元共有持分権者の同意を得ずに不動産を売却できます

ただし、分筆をするには専門家に測量を依頼したり登記手続きを進めたりしなければいけないので、時間や労力・費用面の負担を強いられます。また、不動産は小さくなるほど資産価値が低下する性質があるため、分筆によって土地の価値が下落する可能性が高い点にも注意が必要です。

不動産の共有者が勝手に共有持分を売却したときの対処法

ここでは、自分が不動産の共有持分を売却する場合ではなく、ほかの共有者が何の断りもなく共有持分を第三者に売却したときに生じるデメリットや対処法について解説します。

  1. そのまま所有しつづける
  2. 自分の共有持分も売却を検討する
  3. 売却されたほかの共有持分権者の共有持分を売却する

そのまま所有し続ける

ほかの共有者が共有持分を第三者に売却したとしても、あなた自身は共有持分を所有しつづけて問題ありません

ただし、共有持分が第三者に売却されると、以下のようなデメリットが生じる可能性があるので注意が必要です。

  • 不動産の処分・管理・保存に必要な行為をするにあたって、見ず知らずの第三者と連絡を取り合わなければいけなくなる
  • 共有持分を取得した第三者に不動産に出入りされてしまう
  • 不動産を有効活用して得ることができた家賃収入などを分配しなければいけない
  • 固定資産税や光熱費などの維持費を滞納されかねない
  • 共有物分割請求をされて不動産の資産価値が下落しかねない など

自分の共有持分の売却を検討する

第三者が不動産の共有関係に入ったきた場合、そのままでは共有持分がさらに第三者に売却されて法律関係・人間関係が複雑になったり、共有持分権が濫用されたりして、さまざまなトラブルが生じる可能性があります。

このような将来的なリスクを回避したいなら、できるだけ早いタイミングで自分の共有持分の売却を検討してください。

たとえば、訳あり物件買取業者やほかの共有持分権者、隣地所有者などが売却先候補として挙げられます。

売却された共有持分を購入する

売却された共有持分を第三者から買い戻すことによって、不動産の共有関係に見ず知らずの第三者が介入することによるデメリット・リスクを回避できます。

ただし、共有持分の購入者のなかには、最初から高値で売りつけることを目的として共有持分を購入するケースも少なくありません。不動産中古市場相場から乖離するほどの高値を提示された場合には、丁寧に交渉をしつつ、同時に、自分の共有持分を早期売却する選択肢も検討してください

相続財産に不動産が含まれているときに弁護士に相談・依頼するメリット3つ

遺産に不動産が含まれているときは、相続発生後、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談をしてください。

というのも、遺産相続トラブルへの対応が得意な弁護士に相談・依頼することで、以下3つのメリットを得ることができるからです。

  1. 不動産をどのように相続するべきか検討してくれる
  2. ほかの相続人との協議を代理してくれる
  3. 裁判所の法的手続きに対応してくれる

不動産の適切な承継方法についてアドバイスをもらえる

相続財産に不動産が含まれていると、誰がどのような形で不動産を相続するのかについて争いが生じることが少なくありません。

たとえば、現金化したい相続人と不動産の単独承継を希望する相続人がいる場合や、不動産価額の算定方法で争いが生じた場合などでは、遺産分割協議がなかなかまとまらない可能性があります。

弁護士は、不動産の立地条件や有効活用の方法を検討したり、相続人同士の関係性を踏まえたりしながら、どのような方法で不動産を承継すれば紛争リスクを軽減できるかを提案してくれるでしょう。

ほかの相続人との協議を任せることができる

遺産に不動産が含まれていると、相続方法などについて相続人間で意見が衝突することが多いです。

弁護士に相談・依頼をすれば、ほかの相続人との協議を代理してもらえるので、遺産分割協議の早期決着を期待しやすくなるでしょう。

遺産分割調停・審判・民事訴訟などにも対応してくれる

遺産分割協議がまとまらないと、家庭裁判所の遺産分割調停手続き遺産分割審判手続きで遺産の承継方法を決定しなければいけません。

また、「長男に不動産を含む全財産を相続させる」というような一部の相続人に不利な遺言書が残されているケースでは、遺言無効確認訴訟を提起される可能性があります。

さらに、特別寄与料や寄与分遺留分侵害学請求権を主張する相続人などが現れると、遺産相続トラブルが長期化しかねません。

弁護士に相談・依頼をすれば、これらの裁判所手続きへの対応を全面的に任せることができるでしょう。

不動産を共有名義で相続するか悩んだときには弁護士に相談しよう

不動産を共有名義で相続するか迷ったときや、共有名義不動産をめぐる法律関係でトラブルが生じたときには、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談・依頼をしてください。

弁護士の力を借りれば、不動産の共有名義状態を回避するための策を講じてくれたり、不動産をめぐる共有関係から離脱するための具体的なアドバイスを提案してくれたりするでしょう。

遺産相続相談弁護士ほっとラインでは、不動産の相続トラブルなどの遺産相続問題への対応が得意な弁護士を多数紹介中です。弁護士に相談するタイミングが早いほど紛争の早期解決を期待しやすくなるので、速やかに信頼できる弁護士までお問い合わせください。

遺産相続の相談なら専門家にお任せください!

  • 遺産分割の手続き方法が知りたい
  • 遺言書の作成や保管を専門家に相談したい
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相続のトラブルは弁護士しか対応できません。ご相談は早ければ早いほど対策できることが多くなります。

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