親が死亡したら最初にやることとは?各手続きの詳細や遺産相続について弁護士に相談するメリットを解説

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親が死亡したら、行政関係・税務関係・遺産分割など、さまざまな手続きに対応する必要があります。

しかし、葬儀の手配や病院・親族などとの連絡などに奔走しているなかで、これらの手続きについて調査をして、期限までにひとつずつ処理するのは簡単なことではないでしょう。

そこで、この記事では、親が死亡したら最初にやること遺産相続手続きを進めるうえで弁護士に相談するメリットなどについて、わかりやすく解説します。

目次

【項目別】親が死亡したら最初にやること

親が死亡して最初にやることリストについて、項目別に解説します。

死亡診断書の受け取り|死亡日当日

親が死亡したら、死亡日当日に、病院で死亡診断書を受け取ります。死亡診断書の発行手数料(数千円)は、入院費用などと合算して支払うのが一般的です。

死亡診断書は今後さまざまな手続きが必要になるので、死亡診断書のコピーを複数枚用意しておきましょう。もしコピーが不足したり原本を紛失してしまった場合には、病院などで再発行してもらう必要があります。

死亡診断書とは、人間の死亡を医学的・法律的に証明するための書類のことです。死亡者本人の死亡に至るまでの過程を可能な限り詳細に論理的に表すことを目的としており、氏名・生年月日・死因・死亡した場所(病院など)などの項目が記載されています

たとえば、親が病気で入院中に死亡したようなケースでは、主治医が死亡診断書を作成し、病院で死亡診断書を受け取ります。また、かかりつけ医がいる状態で自宅で死亡した場合には、医師の診察を受けたうえで、死亡診断書を発行してもらいます。

親が自宅で孤独死した場合や、交通事故や事件などの被害にあって死亡した場合には、警察による検死・検案が実施されたあと、監察医や警察医から死体検案書を受け取ります。死体検案書と死亡診断書は名称が異なりますが、法的効力は同じです。

【参照】死亡診断書(死体検案書)について|厚生労働省

近親者への連絡|死亡日当日などできるだけ早く

親が死亡したら、通夜や葬儀などのために、できるだけ早いタイミングで近親者や故人の知り合いなどに連絡をしてください。

実家を探せば、親が終活の際に作成した連絡帳などが見つかる可能性があります。また、親が使っていたスマートフォンの連絡帳を確認するのも選択肢のひとつです。

葬儀社の選定|死亡日当日などできるだけ早く

親が死亡したら、死亡日当日などのできるだけ早いタイミングで親の通夜・葬式を任せる葬儀社を選定してください。

生前、親が葬儀社と契約をしている場合には、遺言書やエンディングノートなどに葬儀社の連絡先が記載されていたり、葬儀社の案内所・契約書などが自宅に残されていたりします。このような場合には、該当の葬儀社に連絡をすれば、その後の流れがスムーズに進みます。

これに対して、もし葬儀社が決まっていないなら、葬儀のプランや価格、オプションなどをチェックして、条件に合う葬儀社を選びましょう

病院で親が死亡した場合には、病院が提携している葬儀社を斡旋してもらえます。病院経由で依頼する葬儀社に任せると、ご遺体の搬送や死亡届の提出、通夜、葬式、火葬、法要などの手続きをフルサポートしてもらえるのが一般的です。親が死亡して心労絶えない状況で自分で葬儀社を選定するのが難しいなら、病院と提携している葬儀社に任せてしまうのも選択肢のひとつでしょう。

遺体の搬送(必要であれば退院手続き)|死亡日当日などできるだけ早く

病院の霊安室に遺体を保管してもらえるのは数時間程度です。

ですから、親が死亡した場合には、退院手続きをしたうえで、自宅で安置するためにを搬送する手配をするか、葬儀社の霊安室に搬送するための準備をする必要があります。

病院の霊安室に保管する費用は原則として無料のことが多いですが、葬儀社に依頼をした場合には、安置費用や搬送費用が発生します。

墓地、埋葬等に関する法律」では、死亡してから24時間以上が経過しなければ、埋葬・火葬できないと規定されています。すぐに葬儀社が決まらない場合には自宅や民間の遺体安置施設などでの安置を検討してください。

死亡届の提出|親の死亡を知った日から7日以内

親が死亡した事実を知った日から7日以内に、死亡届を提出します(戸籍法第86条第1項)。親が海外で亡くなった場合には、その事実を知った日から3ヶ月以内まで期限が延長されます。

死亡届とは、行政に対して人が死亡したことを届け出るための書面のことです。死亡診断書と一体の書面になっていることが多いです。

死亡届の提出に関する詳細については以下の表を確認してください。

手続対象者 親族、同居者、家主、地主、家屋管理人、土地管理人等、後見人、保佐人、補助人、任意後見人、任意後見受任者
提出先 死亡者の死亡地・本籍地、または、届出人の所在地の市役所・区役所・町村役場
添付書類 死亡診断書、または、死体検案書

死亡届の作成自体は届出人がおこなう必要がありますが、死亡届の提出は葬儀社が代行してくれることが多いです。

火葬許可証の取得|親の死亡を知った日から7日以内

死亡届を提出するタイミングで火葬許可証を取得します。

火葬許可証とは、遺体の火葬を許可する公的な書類のことです。火葬許可証がなければ遺体を火葬できません。

通常は、死亡届と同じタイミングで火葬許可申請書を提出し、その場で火葬許可証が交付されます

火葬許可証の申請者や申請場所は死亡届と同じです。ただし、死亡届の提出などを葬儀社に任せる場合には、火葬許可証の取得も業者が対応してくれます。

通夜・葬儀・告別式・初七日法要

亡くなった親を送り出すための儀式として、通夜・葬儀・告別式・初七日法要の一連の儀式をおこないます

通夜は、通常親が亡くなった次の日におこないます。葬儀・告別式は、通夜の翌日に執りおこなうのが一般的です。

そして、初七日法要は、親が亡くなった日から7日後におこなう忌日法要です。近年では、葬式と同日に「繰り上げ法要(繰り込み・戻り初七日など)」という形で初七日法要を終わらせるケースも少なくありません。

通夜・葬式・告別式・初七日法要の形式は、家の宗派や故人の意向などによって異なります。わからないことがある場合には、お寺や葬儀社に適宜相談するとよいでしょう。

火葬|通夜・葬式・告別式が終わったあと

親が亡くなってから24時間以上が経過すると、ご遺体を火葬します。通常は、通夜・葬式・告別式が終わったタイミングで火葬をおこなうのが一般的です。

火葬をする際には、火葬許可証が必要です。火葬場の管理事務所に火葬許可証を提出してください。

火葬が終了したら、火葬許可証に火葬執行済の印が押された状態で返却されます。

火葬許可証に火葬執行済の印が押されたものは、埋葬許可証と呼ばれます。埋葬許可証は納骨の際に墓地管理者に提出しなければいけないので、紛失しないように保管しましょう。

火葬・埋葬の際に登場する書類を整理しておきましょう。

  • 火葬許可申請書:火葬許可証を取得するための申請書。
  • 火葬許可証:火葬をする際に必要な書類。
  • 火葬証明書:火葬をした事実を証明するための書類。
  • 埋葬許可証:火葬許可証に火葬執行済の印が押された書類。

葬儀代の精算|葬儀終了後から1週間〜10日以内

親の葬儀が終了すると、葬儀代を支払います

まず、葬儀代の支払い期限について法的な制限はありません。葬儀が終了してから1週間〜10日以内を目安に、葬儀代を支払うのが一般的です。ただし、葬儀社によっては、半額前払いや前金の支払いを求められることがあるので、事前に確認をしてきましょう。

次に、葬儀代の支払い義務者・負担者についても法律上の規定は存在しません。多くの場合、長男や長女などが喪主になり、葬儀代も負担します。もちろん、親族間の話し合いで、誰がどのような負担割合で葬儀代を支払うのかを決めることも可能です。

 葬儀費用とは,死者の追悼儀式に要する費用及び埋葬等の行為に要する費用(死体の検案に要する費用,死亡届に要する費用,死体の運搬に要する費用及び火葬に要する費用等)と解されるが,亡くなった者が予め自らの葬儀に関する契約を締結するなどしておらず,かつ,亡くなった者の相続人関係者の間で葬儀費用の負担についての合意がない場合においては,追悼儀式に要する費用については同儀式を主宰した者,すなわち,自己の責任と計算において,同儀式を準備し,手配等して挙行した者が負担し,埋葬等の行為に要する費用については亡くなった者の祭祀承継者が負担するものと解するのが相当である。
 なぜならば,亡くなった者が予め自らの葬儀に関する契約を締結するなどしておらず,かつ,亡くなった者の相続人関係者の間で葬儀費用の負担についての合意がない場合においては,追悼儀式を行うか否か,同儀式を行うにしても,同儀式の規模をどの程度にし,どれだけの費用をかけるかについては,もっぱら同儀式の主宰者がその責任において定し,実施するものであるから,同儀式を主宰する者が同費用を負担するのが相当であり,他方,遺骸又は遺骨の所有権は,民法897条に従って慣習上,死者の祭祀を主宰すべき者に帰属するものと解される(最高裁平成元年7月18日第三小法廷判決・家裁月報41巻10号128頁参照)ので,その管理,処分に要する費用も祭祀を主宰すべき者が負担すべきものと解するのが相当であるからである。
引用:名古屋高判平成24年3月29日|裁判所

葬儀代は、香典や死亡保険金などから支出することが多いですが、相続財産から捻出することも可能です。

葬儀代は相続財産ではないので、遺産から葬儀代を捻出する場合には、遺産分割協議書に明記しておくことで将来的な紛争を回避できます

親が死亡すると、親名義の預貯金口座が凍結されてしまうので、親名義の通帳やカードを使って葬儀代などを引き出すことができません。しかし、相続人の経済状況次第では、自己資金から葬儀代を捻出できないケースも少なくないでしょう。このようなケースでは、遺産分割前の相続預金の払戻し制度の利用を検討してください(民法第909条の2)。相続預金の払戻し制度は、平成30年7月の民法改正によって新設された制度です。遺産分割が終了する前であっても、各相続人が当面の生活費・葬儀代の支払いなどのためにお金が必要になったときには、以下のいずれか低い金額まで、各相続人が単独で預貯金を引き出すことができます

  • 相続開始時の預金額 × 1/3 × 法定相続分
  • 150万円

【項目別】親が死亡した場合の法的手続き

親の死亡に伴うさまざまな法的手続きについて解説します。

世帯主変更届・住民異動届を提出する

親が死亡して世帯主が変更した場合には、世帯が登録されている居住地の市区町村役場に世帯主変更届・住民異動届を提出します(住民基本台帳法第25条)。

世帯主変更届・住民移動届の提出期限は、世帯主が死亡した日から14日以内です。期限に遅れると、提出期限経過通知書の提出を求められたり、5万円以下の過料が科されたりしかねません(住民基本台帳法第52条)。死亡届と同じタイミングで提出をすれば、世帯主変更届・住民移動届の提出遅延のペナルティを強いられることはないでしょう。

なお、以下のように誰が新たな世帯主になるかが明らかなケースでは、世帯主変更届・住民移動届を提出する必要はありません。

  • 親がひとり暮らしをしていたなど、死亡した世帯主以外に世帯員が存在しない場合
  • 死亡した世帯主以外の世帯員がひとりしかいない場合
  • 新たな世帯主とされる人物以外の世帯員が全員15歳未満の場合

年金受給停止手続きをおこなう

死亡した人には年金を受給する資格がありません。

したがって、亡くなった親が年金を受給していた場合には、年金の受給停止手続きが必要です。もし、受給停止手続きをせずに年金を受け取りつづけてしまうと、不正受給を理由に、以下のような法的責任を問われる可能性があります。

年金受給停止手続きの期限は、死亡した親が受給していた年金の種類によって異なります。国民年金の場合には死亡後14日以内厚生年金の場合には死亡後10日以内の期間が定められています。

なお、日本年金機構にマイナンバーが収録されている場合には、死亡届の提出によって自動的に年金事務所に情報が共有されるので、年金受給停止手続きは必要ありません。

これに対して、マイナンバーが収録されていない場合には、以下の書類を準備したうえで、年金事務所または年金相談センターで受給停止手続きをおこないましょう(マイナンバーが収録されているかどうかは、年金事務所で確認可能)。

  • 年金証書
  • 年金受給権者死亡届(報告書)
  • 戸籍抄本、住民票除票、死亡診断書のコピー、または、死亡届の記載時効証明書のいずれか

未支給年金を請求する

年金を受給していた親が死亡するタイミング次第では、未支給年金を請求できる可能性があります。

未支給年金請求の対象になるのは、まだ受け取っていない年金と、死亡した日よりあとに振り込まれた年金のうち当月分の年金です。

未支給年金を受け取ることができるのは、親が亡くなった当時生計を同じくしていた、配偶者・子ども・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹・その他の3親等内の親族です。

未支給年金の請求は、年金事務所に以下の書類を郵送するか、年金事務所または年金相談センターへの訪問、電子申請のいずれかの方法でおこないます。

  • 年金証書
  • 年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書
  • 死亡した親の年金証書
  • 未支給年金請求をする人のマイナンバーに関する確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)
  • 死亡した人と未支給年金請求をする人の続柄が確認できる書類(戸籍謄本、法定相続情報一覧図の写し)
  • 死亡した人と未支給年金請求をする人が生計を同じくしていたことがわかる書類(住民票の除票、住民票の写しなど)
  • 未支給年金の受け取りを希望する金融機関の口座番号などが確認できる書類

国民健康保険資格喪失届を提出する

親が国民健康保険に加入していた場合、国民健康保険異動届出書を提出する必要があります。

届出をするのは、故人の同一世帯員または親族です。

親が死亡した日から14日以内に、以下の書類を市区町村役場に提出するか、郵送で手続きをおこないましょう。

  • 故人の国民健康保険被保険者証、資格確認書・資格情報のお知らせ、高齢受給者証などの国民健康保険関係の証明書や書類
  • 市区町村役場の窓口で手続きをする人の本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
  • 故人の死亡日がわかるもの(死亡診断書の写しなど)

国民健康保険以外の健康保険(社会保険)資格喪失届を提出する

親が会社員などで社会保険に加入していた場合、死亡と同時に健康保険の被保険者資格を失います。

そのため、親が死亡した日から5日以内に年金事務所へ健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届を提出し、保険証を返却する必要があります。

なお、社会保険の資格喪失手続きは、親が雇用されていた会社を通じて手続きをおこなうのが一般的です。

ですから、5日以内という短い期限が設定されているので、親が死亡したときには速やかに会社に連絡を入れて手続きの流れを教えてもらいましょう。

また、親に扶養されていた家族がいる場合には、国民健康保険などへの切り替え手続きも忘れずにおこなってください。

後期高齢者の資格喪失手続きをおこなう

死亡した親が後期高齢者医療制度に加入していた場合(75歳以上、もしくは、65歳以上で一定の障害があると認定されていた場合)には、14日以内に、後期高齢者医療資格喪失届を市区町村役場に提出する必要があります。

この際、後期高齢者医療被保険者証の返却も忘れずにおこないましょう。

国民健康保険資格喪失届と同じように、郵送による手続きも可能です。

介護認定者の資格喪失手続きをおこなう

死亡した親が以下の介護保険被保険者だった場合、介護保険の被保険者資格喪失手続きが必要です。

  • 第1号被保険者:65歳以上
  • 第2号被保険者:40歳以上65歳未満の健保組合、全国健康保険協会、市町村国保などの医療保険加入者

親が死亡してから14日以内に、市区町村役場の介護保険課に、介護保険資格取得・異動・喪失届を提出してください。この際、介護保険証の返却も忘れずにおこないましょう。

遺言書の有無を確認する

親が死亡した場合、今後の遺産分割手続きのために、遺言書の有無を確認する必要があります。

というのも、遺言書が存在する場合には、原則として遺言書の内容どおりに遺産分割手続きを進めなければいけないからです。もし、遺産分割手続きが終了したあとに遺言書が見つかったら、遺産分割手続き自体をやり直さなければいけません。

ただし、親から遺言書について話を聞いていないというケースは少なくありません。

そこで、遺言書の有無や所在がわからないときには、以下の方法で探してください。

  • 引き出し、仏壇、金庫、タンスなど、大切なものをしまっている場所を探す
  • 親が貸金庫を契約していた場合には、金融機関に問い合わせをして開錠手続きをおこなう
  • 自筆証書遺言保管制度を利用している可能性を考慮して、法務局に遺言書保管事実証明書の交付請求をする
  • 公正証書遺言を作成していた可能性を踏まえて、公証役場の遺言検索システムを利用して調査する

法務局や公証役場を経由して遺言書が見つかった場合には、内容を確認して、遺産分割手続きに備えてください。

これに対して、自宅などで自筆証書遺言が見つかった場合には、いきなり開封をしてはいけません

というのも、法務局の自筆証書遺言保管制度を利用していた場合を除き、自筆証書遺言は家庭裁判所の検認手続きを経る必要があるからです。

もし、検認手続きを経ずに自筆証書遺言を開封してしまうと、遺言書の有効性をめぐって深刻な遺産相続トラブルが発展したり、5万円以下の過料に処されたりしかねません。

(遺言書の検認)
第千四条 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。
(過料)
第千五条 前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。
引用:民法|e-Gov法令検索
遺言書の内容に納得できない場合や、遺言書に不審な点があり偽造などが疑われる場合には、遺言無効確認や遺留分侵害額請求権、その他、遺産分割協議に向けた対策の検討などが必要になります。親が死亡してから時間が経過するほど証拠などを収集するのが難しくなるので、遺言書について問題点があると思われるケースでは、速やかに弁護士へ相談するのがおすすめです。

遺産分割手続きをおこなう

親が死亡すると、親に帰属していたすべての権利・義務が相続の対象になります(一身専属権を除く)。

そして、法定相続人が複数存在する場合には、誰がどの財産をどのような割合で承継するのかを決めるために、遺産分割手続きをおこなう必要があります。

一般的な遺産分割手続きは、以下の流れに沿って実施されます。

  1. 相続財産調査をおこない、被相続人に属していたプラスの財産・マイナスの財産をすべて洗い出す
  2. 相続人調査をおこない、遺産分割手続きに関与するべき相続人を全員ピックアップする
  3. 相続人全員で遺産分割協議をおこない、話し合いでの解決を目指す
  4. 遺産分割協議がまとまらない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てて、和解成立を目指す
  5. 遺産分割調停でも合意形成に至らない場合には、遺産分割審判で終局的に解決する

相続人同士の関係性が良好で、親が残した財産が預貯金だけのようなシンプルな遺産相続事案なら、遺産分割手続きはスムーズに進む可能性が高いでしょう。

これに対して、不動産や有価証券、借金などが遺産に含まれているケース、相続人同士の関係性が悪いケース、親が再婚・離婚を繰り返しているせいで誰が相続人かわからなかったり連絡先がわからないケースなどでは、遺産分割手続きで何かしらのトラブルが生じかねません

したがって、協議段階での早期解決を目指すなら、相続財産調査・相続人調査段階から弁護士に相談・依頼をするのがおすすめです。

相続放棄・限定承認の申述

親が死亡した場合、相続人は、遺産相続について以下の3つのうちのいずれかの態度を選択できます。

  • 単純承認:被相続人のプラスの財産・マイナスの財産をすべて承継する
  • 限定承認:被相続人のプラスの財産の範囲でマイナスの財産を承継する
  • 相続放棄:被相続人のプラスの財産・マイナスの財産のすべてを承継しない

たとえば、被相続人が借金を抱えていた場合、限定承認か相続放棄を選択しなければ、相続人が借金返済義務を相続してしまいます。

ただし、限定承認と相続放棄をするには、親が死亡したことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述をする必要があります。この期間内に手続きをしなければ、単純承認をしたとみなされます。

(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。
(法定単純承認)
第九百二十一条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
二 相続人が第九百十五条第一項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
引用:民法|e-Gov法令検索

したがって、親が死亡したときには、速やかに相続財産調査をおこなったうえで、3ヶ月以内に限定承認・相続放棄を選択するべきかどうかを判断しましょう。

【参照】相続の限定承認の申述|裁判所HP
【参照】相続の放棄の申述|裁判所HP

準確定申告をする

所得税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得に対して課税されます。

そのため、収入を得ていた親が年度の途中で死亡した場合には、相続人が親の代わりに所得税の申告・納付をしなければいけません。この作業は、準確定申告と呼ばれます。

準確定申告をするには、1月1日から親が死亡した日までに確定した所得金額及び所得税額を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に所轄の税務署への申告・納付が必要です。

なお、相続人が複数人いる場合には、原則として各相続人が連署によって準確定申告書を提出しなければいけません。例外的に、ほかの相続人の氏名を付記して各相続人が個別に準確定申告の申告・納付をすることも可能ですが、その際には、ほかの相続人に対して申告内容を通知する必要があります。

【参照】No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)|国税庁HP

相続税を申告・納付する

遺産が相続税の基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の人数)を超える場合には、被相続人が死亡したことを知った日(通常は、親が死亡した日)の翌日から10ヶ月以内に、被相続人の住所地を所轄する税務署に対して、相続税を申告・納付しなければいけません。

期限までに適切に相続税の申告・納付をしなければ、延滞税や加算税などの追徴課税を強いられます。

ただし、相続税が課されるかどうか、相続税がいくらなのか、どこまでの範囲が遺産に含まれるかなどについて、自分だけで判断・計算するのは簡単ではありません

親から引き継いだ遺産の構成内容が複雑だったり長期間節税対策をしていたりする場合には、必ず弁護士や税理士などの専門家にアドバイスを求めましょう

【参照】No.4205 相続税の申告と納税|国税庁HP

固定資産税関係の処理をする

固定資産税とは、毎年1月1日に土地などの不動産を所有している人が市区町村に対して納付義務を負担する税金のことです。

本来、固定資産税は、登記簿・土地補充課税台帳・償却資産課税台帳に所有者として登記・登録されている人物が納税義務を課されます。

しかし、固定資産税の納税義務者として登録されている親が賦課期日前に死亡した場合には、誰が固定資産税の納付義務を負うのかが不明確になってしまいます。

親が死亡したあとに遺産分割手続きが終了し、無事に相続登記が済んだケースでは、相続登記の名義人が固定資産税の納税義務者になります。

これに対して、遺産分割協議に時間を要するなどして相続登記が間に合わなかったようなケースでは、実家などの不動産を所有していた親が死亡して当該不動産を承継した相続人などが、3ヶ月以内に、固定資産が所在する市区町村に対して現所有者申告をおこない、納税義務者を明確にする必要があります。

現所有者申告は、固定資産源所有者申告書などの必要書類を添えて、不動産が所在する地域を管轄する市区町村役場でおこないます。

【参照】現所有者申告のご案内|東京都主税局HP

相続登記の申請をする

令和6年4月1日の不動産登記法などの改正によって、相続登記が義務化されました。

そのため、相続によって死亡した親の不動産を取得した人物は、その所有権の取得を知った日、または、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければいけません。

正当な理由がないのに相続登記を怠ると、10万円以下の過料に処されます。また、相続登記未了状態を放置してさらに相続が発生すると不動産の権利関係が複雑になるので、子どもや孫世代に迷惑がかかりかねないでしょう。

(相続等による所有権の移転の登記の申請)
第七十六条の二 所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。
2 前項前段の規定による登記(民法第九百条及び第九百一条の規定により算定した相続分に応じてされたものに限る。次条第四項において同じ。)がされた後に遺産の分割があったときは、当該遺産の分割によって当該相続分を超えて所有権を取得した者は、当該遺産の分割の日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。(過料)
第百六十四条 第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十二条、第四十七条第一項(第四十九条第二項において準用する場合を含む。)、第四十九条第一項、第三項若しくは第四項、第五十一条第一項から第四項まで、第五十七条、第五十八条第六項若しくは第七項、第七十六条の二第一項若しくは第二項又は第七十六条の三第四項の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。
引用:不動産登記法|e-Gov法令検索

葬儀費用などの補助金を請求する

親が国民健康保険などに加入していた場合には、葬儀や埋葬の費用を補助金で賄うことができます。

  • 死亡した親が国民健康保険・後期高齢者医療保険に加入していた場合には、自治体から葬祭費として数万円を受給できる(自治体によって金額は異なる)。請求期限は、葬儀をおこなった日の翌日から2年以内。
  • 死亡した親が健康保険に加入していた場合には、社会保険事務所・健康保険組合から埋葬料・埋葬費・家族埋葬費として5万円を受給できる。請求期限は、親が死亡した日の翌日から2年以内。
  • 親が労災で死亡した場合には、労災保険から葬祭料が支払われる。請求期限は、親が死亡した日の翌日から2年以内。請求先は、労働基準監督署。支給額は給付基礎日額を基準に算定される。
  • 親が生活保護を受給しており、かつ、経済的な理由から喪主が葬祭費用を負担できないときには、葬祭扶助を受給できる。葬祭扶助の金額は自治体によって異なるので、詳細については窓口で確認を。

死亡一時金を請求する

死亡一時金とは、死亡日の前日までに第1号被保険者として保険料を納めた月数が36ヶ月以上の人が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受け取らないまま死亡したときに、生計を同じくしていた遺族が受給できます。請求期限は、死亡日の翌日から2年以内です。

死亡一時金の金額は保険料を納めた月数によって、120,000円~320,000円の範囲で定められます。付加保険料を納めた月数が36ヶ月以上の場合には、8,500円が加算されます。

死亡一時金を受給できる遺族は、配偶者、子ども、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹のなかで優先順位の高い人です。ただし、遺族が遺族基礎年金を受給できるときには、死亡一時金は支給対象外とされます。また、寡婦年金を受給できるケースでは、死亡一時金か寡婦年金かを選択することになります。

【参照】死亡一時金|日本年金機構HP

遺族基礎年金・遺族厚生年金を請求する

死亡した親が国民年金または厚生年金保険の被保険者または被保険者であった場合、親によって生計を維持されていた遺族は、遺族基礎年金・遺族厚生年金を受け取ることができます。

【遺族基礎年金】

受給要件 以下のいずれかを満たす人が死亡したとき
・国民年金の被保険者である間に死亡したとき
・国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた人が死亡したとき
・老齢基礎年金の受給資格を満たした人が死亡したとき
受給対象者 ・被保険者と生計を同じくしていた子のある配偶者
・被保険者と生計を同じくしていた子
年金額 ・昭和31年4月2日以後生まれの子のある配偶者が受け取る場合:847,300円 + 子の加算額
・昭和31年4月1日以前生まれの子のある配偶者が受け取る場合:844,900円 + 子の加算額
・子が受け取る場合:「847,300円 + 2人目以降の子の加算額」を子どもの人数で割った額
※1人目および2人目の子の加算額:各243,800円
※3人目以降の子の加算額:各81,300円

【遺族厚生年金】

受給要件 以下のいずれかを満たす人が死亡したとき
・厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
・厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき
・1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている人が死亡したとき
・老齢厚生年金の受給資格を満たした人が死亡したとき
受給対象者 死亡した人に生計を維持されていた以下の遺族のうち、最も優先順位の高い人
1.子のある配偶者
2.子(18歳になった年度の3月31日までにある人、または、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人)
3.子のない配偶者
4.父母
5.孫(18歳になった年度の3月31日までにある人、または、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人)
6.祖父母
年金額 死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4の額

遺族基礎年金・遺族厚生年金の請求方法や必要書類などについては、お近くの年金事務所および街角の年金相談センターでご確認ください。

その他

その他、親が死亡したときにするべき代表的事項は以下のとおりです。

遺産分割手続きの進捗状況なども確認しながら、漏れのないように進めましょう。

  • 預貯金口座・証券口座の解約・名義変更
  • 貸金庫の開扉・解約
  • 自動車の名義変更
  • 自動車保険の解約・名義変更
  • 死亡保険金の請求
  • 公共料金の引落し口座変更
  • 電気・水道・ガスなどの使用者の名義変更
  • NHK受信料契約の名義変更・解約
  • 電話の名義変更・加入権承継
  • クレジットカードの解約
  • パスポートの失効手続き
  • 運転免許証の返納
  • 携帯電話・プロバイダー・介護サービスの解約 など

親が死亡したときに弁護士へ相談するメリット3つ

親が死亡したときには、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談するのがおすすめです。

親が亡くなって慌ただしいかもしれませんが、専門家の力を頼ることで、以下3つのメリットを得ることができるでしょう。

  • やることリストを整理してくれる
  • 今後想定される遺産相続手続きの流れや懸念点を整理してくれる
  • 遺産分割協議などをサポートしてくれる

やることリストを丁寧に教えてくれる

親が死亡した間際は、落ち着かない状況で葬儀の準備や親族への連絡などに時間をとられます。

しかし、親が死亡したあとに求められる手続きは複雑ですし、短い期限が設けられているものも少なくありません

弁護士に相談すれば、親が死亡したあとのやりことリストを整理してくれるので、何をどのような順番で処理すればよいか明瞭になるでしょう。

今後想定される遺産相続手続きの流れや懸念点を教えてくれる

遺産相続が発生すると、どのような事案でも何かしらの問題が生じるものです。

たとえば、相続人同士の関係性が良好でなかったり不平等な内容の遺言書が残されたりしていると、遺産分割協議が難航することもあるでしょう。また、遺産に不動産や株式などの有価証券が含まれていると、価額の算定方法や分割方法について意見がまとまらない可能性もあります。

親が死亡してすぐに遺産相続トラブルへの対応に慣れた弁護士に相談すれば、事案の状況を丁寧に聞き取ったうえで、今後想定される遺産相続トラブルや解決策についてアドバイスをくれるでしょう。

必要であれば遺産分割協議などをサポートしてくれる

相続人が複数存在する事案では、親が死亡したあと、必ず遺産分割協議をおこなう必要があります。

相続人同士の関係性が悪くなければ、当事者全員の意向がすぐに合致して、遺産分割協議がまとまるでしょう。

これに対して、各相続人の希望が合わないと、遺産分割協議で意見のすり合わせをしたり、家庭裁判所の調停・審判手続きに対応したりする必要があります。

しかし、遺産相続実務に詳しくない素人だけでは遺産分割協議でうまく交渉を進めることができませんし、調停期日に対応するのも簡単ではありません

弁護士に依頼をすれば、遺産分割協議の交渉を代理してもらったり、調停期日・審判期日に向けた準備や出席を任せたりできるので、あなた自身が時間的・労力的な負担を強いられることなく希望どおりの遺産分割を実現できるでしょう。

親が死亡したときは念のために一度は弁護士へ相談しよう

親が死亡したときには、さまざまな手続きを効率的に済ませる必要があります。

心労絶えない状況でこれらの手続きを調べてひとつずつ処理するのは簡単ではないでしょう。

遺産相続相談弁護士ほっとラインでは、遺産相続実務に詳しい弁護士を多数紹介中です。無料相談の機会を利用してやることリストをピックアップしてもらうだけでも相当の助けになるので、信頼できる法律事務所までお問い合わせください。

遺産相続の相談なら専門家にお任せください!

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相続のトラブルは弁護士しか対応できません。ご相談は早ければ早いほど対策できることが多くなります。

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