贈与税の申告漏れはなぜばれる?ばれるケース6つとペナルティを解説

贈与税の申告漏れはなぜばれる?ばれるケース6つとペナルティを解説
贈与税の申告漏れはなぜばれる?ばれるケース6つとペナルティを解説

「贈与税の申告漏れって税務署にばれるのかな?ばれるとどうなるの?」

贈与があったのに贈与税の申告・納付を済ませないままでいると、だんだん「贈与税の申告漏れはばれるのか」が気になってくることでしょう。中には、贈与税の申告漏れは別にばれないのではないかと期待している方もいるかもしれません。

しかし、贈与税の申告漏れは基本的には「ばれる」と考えておいたほうがいいです。

贈与税の申告漏れは、税務署からのお尋ね文書や法定調書の確認、第三者の密告やSNSへの投稿などがきっかけでばれることがあります。また、贈与税の申告漏れを放置していると追加でペナルティとしての税を払わなければならないこともあります。

この記事では、贈与税の申告漏れがなぜばれるのか、ばれるケースやばれた場合のペナルティについて解説します。

目次

贈与税とは

贈与税とは、個人から贈与によって財産を得た場合にかかる税金です。

贈与税がかかるのは、個人から贈与によって得た財産の額が1月1日から12月31日までの1年間で110万円を超える場合です。複数の人から財産の贈与を受けた場合には、それぞれの金額を合計して年間110万円を超える場合には贈与税を納めることとなります。

贈与税は、贈与によって財産を受けた者が税額を計算・申告して納付します。何もしないでいても国が納める税の額を計算してくれるわけではありません。

個人から贈与によって財産を得た場合のほかにも、次の場合などには財産が贈与されたものとみなされて贈与税がかかります(みなし贈与)。

  • 自分が保険料を支払っていない生命保険金を受け取った場合
  • 著しく低い価額で財産を譲り受けた場合
  • 債務の免除などによって利益を受けた場合
  • 対価なしに不動産や株式の名義を自分名義に変更してもらった場合
  • また、一見すると贈与を受けたような場合であっても、次の場合には贈与税はかかりません。

  • 法人から贈与によって財産を得た場合(代わりに所得税がかかります)
  • 被相続人から相続や遺贈により財産を受け継いだ場合(代わりに相続税がかかります)
  • 被扶養者が扶養義務を負う者から生活費や教育費を贈与してもらった場合
  • 選挙運動に関する寄附金を受け取り法の定めに従って報告をした場合
  • 社会通念上相当な額の見舞金や香典、贈答品を受け取った場合
  • 心身障害者共済制度に基づいて受給する権利のある給付金を受け取った場合

贈与税の税率は、110万円の基礎控除額を差し引いて算出した課税価格に応じて10%~55%です。

贈与税の額を計算するには、まず、贈与を受けた財産の合計価額から基礎控除額110万円を差し引いて課税価格を算出します。算出した課税価格に応じた税率を掛けてから所定の控除額を差し引いた金額が納める贈与税の額となります。

※この計算方法は暦年課税の方式を選択した場合であり、相続時精算課税の方式を選択した場合は異なる方法で計算します。

例えば、暦年課税で年間300万円の贈与を受け取った場合の贈与税の計算は次のとおりです。

基礎控除後の課税価格:300万円-110万円=190万円
贈与税額:190万円×10%=19万円

贈与税の申告漏れがばれる6つのケース

「贈与を受けたことはまだ誰にも言っていないし、税務署にばれることはないはず。このまま黙っていれば贈与税を納めなくてもいいのでは?贈与税の申告漏れは本当にばれるの?」

親などから贈与を受けて、そのように思っている方もいるかもしれません。

しかし、基本的には贈与税の申告漏れは「ばれる」と考えておくべきです。ばれないかもしれないなどと甘い考え方をするべきではありません。

贈与税の申告漏れがばれるケースの中でも、「このようなときにばれる」という典型的なケースがいくつかあります。贈与税の申告漏れがばれる典型的なケースについてご説明します。

ケース1:税務署からの「お尋ね」でばれる

「お尋ね」とは、税務署が納税者に対して任意に実施する問い合わせのひとつで、文書や電話で一定の事項について質問がなされます。

文書で実施される場合には、税務署から「〜についてのお尋ね」というタイトルで納税者に一定の事項について回答するようにお願いする内容の文書が送られてきます。納税者は、質問への回答を記入して締切までに税務署に返送します。

お尋ねに対しては、税務調査とは異なり法的な回答義務があるわけではありません。また、税務署職員が自宅を直接訪れるということもありません。しかし、お尋ねに対して誠実に回答しなければ税務署が「何か隠したいことがあるのではないか?」と疑うきっかけになり、贈与税の申告漏れがばれることにもつながります。このため、お尋ねに対してはしっかりと回答することが望ましいです。

お尋ねが実施される場合のひとつが、贈与を受けたお金で不動産を購入した場合です。不動産を購入すると、お尋ね文書がおおよそ半年から1年ほど後に届くことがあります。

不動産を購入した場合のお尋ね文書には次のことを問い合わせる内容が記載されていることが多いです。

  • 不動産を購入した人の職業・年収
  • 不動産の所在地
  • 不動産の売主の氏名・住所
  • 不動産の購入金額
  • 不動産の購入資金の調達方法(購入資金は自分の預貯金か、借入金か、贈与を受けた資金か、など)

お尋ねに対してしっかりと回答しなければ、税務署は不信感を抱いて本格的な税務調査に乗り出すことがあります。また、虚偽の内容を答えても、その他の情報と照らし合わせて不審な点があると判断され、税務調査につながる可能性があります。そうなってしまえば、贈与税の申告漏れがばれる結果となってしまいます。

ケース2:相続税を調査する過程でばれる

誰かが亡くなると、その人の相続人について相続税が発生しないかどうかを確認する調査が税務署によって行われることがあります。

相続税の調査では、亡くなった方の過去の財産の流れが調査されます。この調査の過程で亡くなった方が過去に贈与をしたことが判明し、判明した贈与について贈与を受けた方が贈与税を申告・納付していないことが判明すれば、さかのぼって贈与税が課されてしまう可能性があります。

ケース3:法定調書を調べてばれる

「法定調書」とは、所得税法や相続税法などの法律によって税務署に提出することが義務づけられている書類です。たとえば、保険金を受け取った場合などには保険会社から税務署にそのことに関する法定調書が提出されます。これによって、個人がどのような内容のお金を受け取ったか税務署が把握できるようになっています。

自分が保険料を支払っていない生命保険について保険金を受け取った場合には、その生命保険金の受け取りは贈与とみなされるので、贈与税を納める必要があります。

このような生命保険金を受け取ったことは、保険会社が提出する法定調書で税務署に把握されています。それなのに生命保険金を受け取ったことについて贈与税の申告・納付をしないままでいると、税務署が法定調書を調べた際に贈与税の申告漏れがばれる結果となることでしょう。

ケース4:不動産の登記名義からばれる

不動産を贈与されて不動産の所有名義を変更する登記をした場合には、贈与によって不動産を取得したことが税務署にばれることがあります。不動産の所有名義を変更する登記をすると、その内容が法務局から税務署に提供されることがあるからです。

また、登記を申請する際には登録免許税を納めなければなりません。この登録免許税の納付からも不動産の登記に関する情報が税務署に把握されることがあります。

税務署は不動産の名義変更などの情報を収集・把握しているため、不動産を贈与されたのに贈与税が申告漏れになっていることは、どこかのタイミングで税務署にばれる可能性が高いです。

ケース5:第三者が税務署に密告してばれる

たとえ贈与をした人と贈与を受けた人が当初はその贈与について秘密にしていたとしても、第三者が何らかのきっかけで贈与があったことを知って税務署に密告することによって贈与がばれることはあり得ます。

例えば、あなたが親から多額のお金を生前贈与として受け取り、当初は秘密にしていたものの、あなたが不自然に多くのお金を持っていることをあなたの兄弟が疑問に思って親に聞き、親が生前贈与の事実を言った場合などです。

税務署は、いつでも情報提供を受け付けています。また、情報提供をきっかけに税務調査に乗り出すこともあります。

贈与があったことを最後まで秘密にすることは簡単なことではありません。なんらかのきっかけで贈与があったことが第三者に知られて税務署に密告されれば、それがきっかけで贈与税の申告漏れがばれることもあります。贈与を秘密にしようと考えている場合には、このことは覚悟しておかなければなりません。

ケース6:SNSからばれる

もしあなたがSNSで「お金をプレゼントしてもらった」「高級な車を買った」「新しく家を買った」などという情報を発信してしまえば、そのことがきっかけとなって贈与税の申告漏れがばれることがあります。

税務署は、税金をもれなく徴収するためにあらゆるメディアを監視しています。当然、インターネット上のSNSも税務署の情報源のひとつです。

贈与を受けると気持ちが舞い上がってしまい、「個人のSNSのちょっとした投稿であれば税務署が見ていることはないだろう」と思って気が緩み、贈与があったことや贈与で得たお金で何か高いものを購入したことなどを投稿してしまうかもしれません。

しかし、そのような投稿まで税務署は目を光らせて監視していると思っておくべきです。

税務署は、個人の年収などもしっかり把握しています。年収に照らして不自然な買い物があればどのようなお金でそれを購入したのかについて詳しく調査し、贈与税の申告漏れを発見する可能性があります。

SNSの何気ない投稿からも贈与税の申告漏れがばれることは十分にあり得るので、よく注意するようにしましょう。

贈与税の申告漏れがばれた場合の4つのペナルティ

贈与税の申告漏れがあっても、後から税金を納めればいいのではないかと思っている方もいるかもしれません。しかし、多くの場合、後から税金を納めるだけで済むわけではありません。贈与税の申告漏れが税務当局にばれると、さまざまなペナルティがあります。

贈与税の申告漏れがばれた場合のペナルティについてご説明します。

ペナルティ1:過少申告加算税

贈与税の申告をしていたものの贈与の一部について申告が漏れており、納税額が本来より少なかった場合には、過少申告加算税が課せられます。

過少申告加算税が課せられる場合の税率は、5%~15%です。ただし、税務調査の事前通知を受けるより前に自主的に申告した場合には税率は0%となり、過少申告加算税を納める必要はありません。

過少申告加算税や無申告加算税、重加算税は、本来の納税額に加算して納めなければならないペナルティとしての税であり、きっちりと贈与税の申告・納付を済ませていた場合と比べてより多くの税を納めなければならなくなるため、その分納税者へのダメージは大きくなります。

ペナルティ2:無申告加算税

本来贈与税の申告をしなければならないのに申告期限を過ぎても贈与税の申告を全くしていなかった場合には、無申告加算税が課せられます。

無申告加算税が課せられる場合の税率は、5%~30%です。

過少申告加算税は申告そのものについては一応行っていたケースであるのに対して、無申告加算税は申告そのものを全くしていないケースなので、ペナルティとして課せられる税額もその分高くなっています。

ペナルティ3:重加算税

重加算税は、税に関する事実について隠蔽・仮装の行為をしたときに課せられるペナルティとしての税です。

重加算税は、いわゆる脱税と呼ばれるような悪質な行為に対するペナルティです。このため、単にうっかりして贈与税の申告が漏れていたという場合には重加算税は課せられません。より悪質なケース、すなわち贈与に関して積極的に事実を偽ったり不正な行為をしたりするなどして故意に贈与税を免れようとした場合に、重加算税が課せられる可能性が出てきます。

重加算税が課せられる場合の税率は、35%~50%です。

重加算税が課される場合には、過少申告加算税や無申告加算税は課せられずに代わりに重加算税だけが課せられます。

ペナルティ4:延滞税

贈与税の納付が遅れた場合には、延滞税が課せられます。

延滞税の税率は、2022年1月1日から2022年12月31日までの期間については、年2.4%または年8.7%です。

延滞税を納める時には、自分で計算して納める必要はありません。遅れた分の贈与税と加算税を納めた後に税務署が延滞税を算出して延滞税の納付書が送られてきます。

贈与税の時効は何年?

贈与税にも時効があります。贈与税の「時効」とは、贈与税を支払わないまま一定期間が経過することで贈与税を支払う義務が消滅することをいいます。

贈与税の時効についてご説明します。

贈与税の時効期間と起算日

贈与税の時効期間は原則として6年です。ただし、脱税目的で意図的に申告をしないままでいた場合など偽りや不正な行為があった場合には、時効期間は7年となります。

贈与税の時効の起算日は、贈与税の申告期限の翌日です。贈与を受けた日ではありません。贈与税の申告期限は、通常、贈与が行われた年の翌年の3月15日です。したがって、贈与が行われた年の翌年の3月16日が時効の起算日となります。

例えば、2023年中に贈与を受けた場合には、偽りや不正な行為がなかったとすれば贈与税の時効期間は6年であり、2024年3月16日から6年後の2030年3月15日が時効完成の日となります。

時効にならないケース:名義預金

贈与税が時効にかかっているかもしれないと思われるものの実際には時効にかかっていないケースのうちよくあるものとして、「名義預金」のケースがあります。

「名義預金」とは、子どもや孫などの名義でつくった銀行口座に親などがお金を振り込んで子供や孫などの名義で貯蓄をすることです。この場合、子どもや孫は自分名義の銀行口座にお金が振り込まれていたことは知らず、口座の通帳やキャッシュカードを自由に使うこともできなかったということがよくあります。

このようなケースでは、子どもや孫などの名義の銀行口座であってもその口座にあるお金は子どもや孫のものではなく、実際に口座を管理している親などのものであるとみなされます。

このため、口座に振り込まれたお金は親から子どもなどに贈与されたものとは認められません。贈与されたものと認められない以上は贈与税が発生せず、贈与税が時効にかかることもありません。

この名義預金の口座にあるお金は口座を実際に管理している親などの財産とみなされるため、贈与税がかからない代わりに口座を実際に管理している方(親など)が亡くなったときにその方の相続財産を構成するものとして扱われ、相続税が課税されます。

贈与税が時効になるケースはある?

時効により贈与税を支払わなくてもよくなれば、それはうれしいことかもしれません。贈与税が時効になるケースがどれくらいあるのかは気になるところでしょう。

残念ながら、時効で贈与税を支払わなくてもよくなるケースはほとんどありません。税務署は、さまざまな方法で税金の未納がないかを調査・把握しており、たとえ贈与税の申告をしないままでいても時効期間の6年が経過するより前に高い確率で贈与税の申告漏れが発覚するからです。

時効を理由として贈与税を支払わなくて済むことを期待するのはやめたほうがいいでしょう。贈与税は、適切に申告・納付することが大切です。まだ支払っていない贈与税がある場合には、すぐに税理士や弁護士といった専門家に相談したうえで適切に対応するようにしましょう。

贈与税がかからないように贈与をする方法

贈与をする以上は、贈与を受けた者は制度に従い贈与税を支払わなければなりません。しかし、「できることなら受け手の贈与税の負担はなるべく抑えたまま贈与をしたい」という方も多いでしょう。

どのような贈与であっても必ず贈与税がかかるわけではなく、贈与税がかからないように贈与をする方法もあります。うまく制度を使って贈与税がかからないような形で贈与をすれば、適法に贈与税がかからないように贈与することができます。

贈与税がかからないように贈与をする方法についてご紹介します。

方法1:非課税の枠内で分割して贈与する(暦年課税)

1年あたり110万円以内の贈与については、贈与税はかかりません。1年につき110万円を超えた分の贈与について贈与税がかかるこの方式を「暦年課税」といいます。

暦年課税の下では、年110万円の枠内で贈与したい額を分割して毎年贈与をすれば、贈与税はかからないことになります。

例えば、1,000万円を贈与したい場合、ある年にまとめて1,000万円を贈与すると贈与税がかかりますが、10年にわたって毎年110万円以内の額を合計1,000万円になるように贈与をすれば贈与税はかからないということになります。

もっとも、最初から贈与の額や期間を決めて単に分割して贈与しているだけとなると、「定期贈与」とみなされて贈与の総額に対して贈与税がかけられることがあります。

「定期贈与」とは、贈与する総額があらかじめ決めてあり、その総額を一定期間ごとに分割して贈与する方法のことをいいます。定期贈与とみなされた場合には、全体をまとめて贈与したのと同様に考えて、総額に対して贈与税がかかります。

例えば、1,000万円を贈与すると最初に決めてしまい、10年かけて毎年100万円ずつを年始に贈与するという取り決めを最初にしてしまってそのとおりに贈与をすると、定期贈与とみなされる可能性が高いです。

定期贈与とみなされないためには、毎年の贈与ごとに都度、贈与するかしないか、いくら贈与するかなどを決めることとし、毎年の贈与ごとに贈与契約書を作成するなどの方法があります。

方法2:相続時精算課税制度を使う

相続時精算課税制度とは、贈与額が2,500万円までは贈与税を納めることなく贈与を受けることができる制度で、贈与をした人が亡くなった際に相続財産とまとめて相続税額を計算し、相続税として納める制度です。

簡単にいえば、生前に贈与を受けた分について贈与税を支払わず、あとでまとめて相続税として支払うことを選択するという制度です。この制度を使えば、贈与税の負担なく生前に贈与を受けることができます。

相続時精算課税制度を選択すると後から暦年課税に変更できないので、暦年課税の場合とよく比較して選択することが重要です。

なお、2024年1月1日以降は、相続時精算課税制度を選んだ場合でも年110万円までの贈与は贈与税が非課税となり、相続税にも加算されなくなります。相続に関する制度は内容が変更されることが多くあるので、実際にどのようなルールが適用されるのかはよく確認することが必要です。

暦年贈与と相続時精算課税制度のどちらを使うとよりよい節税方法になるのかは、人によって異なります。どちらを使うべきか分からないという方は、早めに税理士や弁護士に相談しましょう。

方法3:贈与税の非課税制度を活用する

本来は贈与税がかかる場合であっても、贈与をした人と贈与を受けた人の関係や贈与の目的などによっては、贈与税の負担を軽減できる可能性があります。使える制度はしっかり使って贈与税の負担を軽減しましょう。

贈与税の負担を軽減できる非課税制度や特例には、例えば次のものがあります。

制度1:住宅の購入などに関する資金の贈与

父母など直系尊属にあたる人が18歳以上の子などに対し、住宅の購入などに関する資金を贈与する場合には、最大1,000万円まで贈与税が非課税となります。

この制度は、2023年12月31日までの贈与が対象です。

制度2:教育に関する資金の一括贈与

父母などの直系尊属が30歳未満の子などに対し、教育に関する資金を贈与する場合には、最大1,500万円まで贈与税が非課税となります。

この制度は、2026年3月31日までの贈与が対象です。

制度3:結婚や子育てに関する資金の一括贈与

父母などの直系尊属が18歳以上50歳未満の子などに対し、結婚や子育てで使う資金を贈与する場合には、最大1,000万円まで贈与税が非課税となります。

この制度は、2025年3月31日までの贈与が対象です。

方法4:生活費や教育費として贈与する

扶養の義務を負っている方から被扶養者に対して生活費や教育費とするために贈与した財産は、通常必要と認められる範囲のものであれば、非課税です。

例えば、親から遠方で一人暮らしをする子どもに対して通常必要な範囲内の生活費を仕送りする場合には、その仕送り金は非課税となります。

このような生活費や教育費であればそもそも贈与税がかかることはないので、贈与税を申告・納付していなくてもそのことがばれるのではないかと心配する必要はありません。

贈与税のことは誰に相談したらいい?

贈与税がかかるかどうか、納めなければならない贈与税の額、贈与税の申告漏れがある場合の対処法など、贈与税について専門家に相談したいという状況にある方もいるでしょう。

贈与税について誰に相談すればいいのかということや、税理士と弁護士の違いなどについてご説明します。

税務署

税務署は、贈与税を徴収するだけでなく、贈与税に関する相談も受け付けています。税務署であれば、誰でも無料で贈与税について相談することができます。

税務署では、贈与税についての一般的な知識を教えてくれます。例えば、どのような場合に贈与税がかかるのか、贈与税の税率、贈与税の納め方などについては、税務署でも教えてくれるでしょう。

もっとも、税務署で教えてもらえるのはあくまでも贈与税についての一般的な知識だけです。個別の事情に即して詳しく検討してくれることは基本的にありませんし、詳しい節税方法について教えてくれるということもありません。

また、税務署の窓口は基本的に平日の昼間にしか開いていないので、この時間帯が仕事などで埋まっていて税務署に行けないという方は税務署に相談するのは難しいです。

税理士

税理士は、税に関する専門家です。税の相談や税の申告について専門家としてアドバイスしてくれたり、申告手続きを代行してくれたりします。

贈与税についても、そもそもかかるのかどうか、どのように申告したらいいのかなどについてアドバイス・申告代行してくれるので、贈与税のことで困ったらまずは税理士に相談してみるとよいでしょう。

弁護士

弁護士は、あらゆる法律について広く知識を有している法律の専門家です。税に関する案件や相続を取り扱う弁護士であれば、贈与税に関する相談にも対応してくれることが期待できます。

弁護士は、税理士と異なり税以外の分野についても深い専門的知識を有しているので、生前贈与の具体的な手続きなど税以外の分野も関わってくる場合には弁護士に相談するのがおすすめです。

税理士よりも弁護士に相談したほうがいい場合

税理士は税の専門家であるため基本的には税理士に相談しても問題ないのですが、中には税理士ではなく弁護士に相談したほうがいい場合もあります。

税理士よりも弁護士に相談したほうがいい場合とは、次のようなものです。

  • 贈与税だけでなく、相続や生前贈与などの法律関係について広く相談したい
  • すでに重加算税などのペナルティを課されており、そのことを不服として争いたい

弁護士は、税に関する法律だけでなく相続に関する法律やその他の一般的な法律について、詳しい知識を有しています。そのため、単に贈与税に限った話だけでなく、今後発生する相続に関する法律関係や生前贈与などその他の法律関係について広く相談したい場合には、初めから弁護士に相談するのがおすすめです。

また、弁護士は訴訟手続の代理を行える唯一の専門家です。贈与税だけでなく無申告加算税や重加算税などのペナルティとしての税を課せられてそのことに不服があり争いたい場合には、国を相手に税務訴訟を提起して課税処分を争うという方法もあります。税務訴訟について相談したい場合には、弁護士でなければ対応できないため、弁護士に相談するようにしましょう。

まとめ:贈与税の申告漏れはばれる!しっかりとした対策が大事

できるだけ多くの財産を受け継ぐためにも、贈与税はできることなら支払いたくないもの。それだけに、贈与税の申告をしないままでいて贈与税を支払わずに済ませたいと考える方も多いでしょう。

しかし、残念ながら贈与税の申告漏れはまずばれると思っておいたほうがよいです。

贈与を受けたのに申告しないまま贈与税を納めずにいると、本来支払うべき贈与税の額よりも多くの税を支払わなければならなくなるなど、大きなペナルティが課せられることもあります。贈与を受けるのであれば、贈与税の申告漏れでペナルティを課せられないようにしっかりとした対策をすることが大切です。

贈与税に関して疑問がある場合には、税理士や税務・相続に詳しい弁護士といった専門家に相談するようにしましょう。どのように対応すればいいのかアドバイスをしてくれます。

贈与を受けた場合には、専門家の手も借りつつ忘れずに贈与税の申告・納付をするようにしましょう。

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