空き家を相続すると近所トラブルに巻き込まれる?遺産に土地建物が含まれているときの対処法や弁護士に相談するメリットを解説

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被相続人が死亡して空き家になった実家を相続すると、ご近所トラブルが生じることがあります。

たとえば、定期的に訪問をせずに庭木や雑草が生えっぱなしになると、隣家に越境してクレームがくる可能性があります。

また、害虫や害獣が発生したり、浮浪者が侵入したりすると、ご近所の生活環境に悪影響が生じた結果、特定空き家・管理不全空き家に指定されて行政上のペナルティを科されかねません。

さらに、空き家を放置しつづけて屋根や外壁などが倒壊して近隣住民の自動車や自宅などを傷つけると、民事の賠償責任を問われるリスクにも晒されます。

ですから、相続財産に空き家が含まれている場合には、空き家を相続したときに生じるご近所トラブルなどを想定したうえで、本当に空き家を相続するのか、相続するとしてどのように有効活用するのかなどについて慎重に判断をするべきだといえるでしょう。

そこで、この記事では、相続した空き家のご近所トラブルについて不安を抱えている人のために、以下の事項についてわかりやすく解説します。

  • 空き家を相続したときに生じる可能性があるご近所トラブルの具体例
  • 空き家の相続が原因で生じるその他のトラブル事例
  • 空き家が原因でトラブルが生じたときの解決策
  • 相続財産に空き家が含まれていたときに弁護士へ相談・依頼するメリット

目次

空き家を相続したときに生じるご近所トラブル6つ

まずは、空き家を相続したときに想定されるご近所トラブルを6つ紹介します。

  1. 庭木や雑草が隣家に越境してトラブルになる
  2. 害虫や害獣が原因でご近所に迷惑がかかる
  3. ゴミの不法投棄が原因でご近所トラブルに発展する
  4. 不審者が侵入してご近所トラブルが生じる
  5. 放火をされるリスクが高まる
  6. 老朽化や外壁などの倒壊によって法的責任を追求されかねない

相続した空き家の庭木や雑草が隣家に越境する

相続した空き家を適切に管理せずに放置すると、庭木や雑草が生え放題になってしまいます

場合によっては、隣の家の敷地に庭木や雑草が入り込んでしまうことも少なくありません。また、庭木が公道まで伸びて近隣の通行の妨げになることもあるでしょう。

すると、隣家や町内会などからクレームを受けるなどして、ご近所トラブルに発展してしまいます。

相続した空き家に害虫・害獣が発生して近所に迷惑をかける

相続した空き家を放置したままにすると、害虫や害獣が大量発生する可能性があります。

すると、ご近所にも糞尿や悪臭などの被害が生じるため、苦情を入れられるなどのトラブルが生じるでしょう。

相続した空き家にゴミが不法投棄されてご近所トラブルに発展する

相続した空き家を放置すると、「人が住んでいないから」という理由でゴミを不法投棄される可能性があります。

すると、害虫や害獣が発生しやすくなったり、ゴミの腐敗によって悪臭などが慢延したりして、ご近所トラブルに発展しかねないでしょう。

相続した空き家に不審者が侵入してご近所トラブルが生じる

空き家を相続したあとに適切な管理をしないと、不審者が侵入をするなどして治安が悪化する可能性があります。

浮浪者が頻繁に出入りしたり夜間に不審者が徘徊したりするようになると、近隣住民から苦情が入るなどしてトラブルに発展するでしょう。

相続した空き家を放火されて深刻なご近所トラブルが生じる

人が住んでいる住居に比べて、空き家は放火の対象になりやすいです。

そして、空き家に放火をされると、人が住んでいないため被害に気付きにくく、結果として、隣家などに延長するなどして被害が拡大されてしまいます。雑草や庭木が生えっぱなしなので、一度火がつくと鎮火するまでに家屋や隣家などが相当な延長被害を受けかねないでしょう。

空き家に放火をされて近隣にも被害が生じたとしても、重大な過失がない限り、空き家の所有者が損害賠償責任を追求されることはありません

民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス
引用:明治三十二年法律第四十号(失火ノ責任ニ関スル法律)|e-Gov法令検索
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
引用:民法|e-Gov法令検索

しかし、空き家を放置したせいで放火被害を招いたとなると、近隣住民から恨まれても仕方ないでしょう。

老朽化や倒壊などが原因で法的責任を追及される

相続した空き家を放置して荒廃すると、屋根や外壁などが老朽化して倒壊する可能性があります。

そして、倒壊などが原因で近隣住民の外壁や自動車などを傷つけたり通行人などに怪我をさせたりすると、損害賠償責任を追及されます。

また、外壁などが倒壊しそうな危険な状態を放置した結果、通行人などを怪我させることが予見できたような状態だと、過失致傷罪などの刑事責任も追及されかねません。

空き家を相続したときのご近所トラブル以外のデメリット3つ

空き家を相続すると、ご近所トラブル以外にもさまざまなデメリットやリスクに晒されます。

空き家の相続には以下のようなデメリットがあることを理解したうえで、それでも空き家を相続するのかどうかを慎重に判断しましょう。

  1. 空き家の維持・管理の負担を強いられる
  2. 管理不全空き家・特定空き家に指定される可能性がある
  3. 建物の資産価値が下落する

空き家の維持・管理の負担を強いられる

空き家を相続すると、ご近所トラブルなどが生じないようにするために、空き家を維持・管理しつづける必要があります

そして、空き家を正常な状態に維持・管理するためには、次のような負担を強いられるでしょう。

  • 水道代・電気代・ガス代などの公共料金やインターネット利用料などを支払わなければいけない
  • 定期的に空き家を訪問して、建物の換気・通電・清掃や、雑草の駆除や庭木の剪定、郵便物の整理などをしなければいけない
  • 外壁や屋根の点検・修繕、害獣や害虫の駆除をしなければいけない
  • 固定資産税や都市計画税を支払わなければいけない

相続した空き家へのアクセスが良いところに居住しているなら維持管理は比較的楽ですが、空き地が遠方に所在していると、維持・管理をするだけでも大変です。

特定空き家や管理不全空き家に指定される可能性がある

相続した空き家を適切に管理せずに放置してしまうと、特定空き家管理不全空き家に指定される危険性があります。

特定空き家・管理不全空き家は、どちらも「空家等対策の推進に関する特別措置法」で定められた法律用語です。

空家等対策の推進に関する特別措置法は、空き家の急増によって防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響が生じるのを防止することを目的とする法律です。

まず、特定空き家とは、以下の①〜④のいずれかに該当する空き家を意味します。次に、管理不全空き家とは、適切に管理されれていないことによってそのまま放置すれば特定空き家に該当するおそれがある空き家のことです。

パターン 具体例
① 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態 ・建築物が著しく傾斜している
・建築物の構造耐力上主要な部分が損傷等している
② 著しく衛生上有害となるおそれのある状態 ・建築物・設備等の破損等が原因で吹付け石綿等が飛散し暴露する可能性が高い状況にある
・浄化槽等の放置、破損等による汚物の流出・臭気の発生があり、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている
・建築物・設備等の破損等が原因で排水等の流出による臭気の発生があり、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている
・ごみ等の放置・不法投棄による臭気の発生があり、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている
・ごみ等の放置・不法投棄により、多数のねずみ、はえ、蚊等が発生し、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている
③ 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態 ・景観計画に定める建築物又は工作物の形態意匠等の制限に著しく適合しない状態になっている
・都市計画に定める建築物の形態意匠等の制限に著しく適合しない状態になっている
・条例で定める工作物の形態意匠等の制限等に著しく適合しない状態になっている
・屋根、外壁等が、汚物や落書き等で外見上大きく傷んだり汚れたまま放置されている
・多数の窓ガラスが割れたまま放置されている
・立木等が建築物の全面を覆う程度まで繁茂している
・敷地内にごみ等が散乱、山積したまま放置されている
・看板が原型を留めず本来の用をなさない程度まで、破損、汚損したまま放置されている
④ ①〜③以外に周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態 ・立木の腐朽、倒壊、枝折れ等が生じ、近隣の道路や家屋の敷地等に枝等が大量に散らばっている
・立木の枝等が近隣の道路等にはみ出し、歩行者等の通行を妨げている
・動物の鳴き声その他の音が頻繁に発生し、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている
・動物のふん尿その他の汚物の放置により臭気が発生し、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている
・敷地外に動物の毛又は羽毛が大量に飛散し、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている
・多数のねずみ、はえ、蚊、のみ等が発生し、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている
・住みついた動物が周辺の土地・家屋に侵入し、地域住民の生活環境に悪影響を及ぼすおそれがある
・シロアリが大量に発生し、近隣の家屋に飛来し、地域住民の生活環境に悪影響を及ぼすおそれがある

相続した空き家が特定空き家に指定される流れとペナルティ

相続した空き家が特定空き家に指定される流れと各段階におけるペナルティを解説します。

通報を受けた市区町村が相続した空き家に対して立入調査をおこなう

まず、相続した空き家が荒れるなどすると、近隣住民から行政機関に対して通報・問い合わせなどがおこなわれます。

通報を受けた行政機関は、対象の空き家に対して現地調査や聞き取りなどを実施し、特定空き家への該当性を判断します。

(立入調査等)
第九条 市町村長は、当該市町村の区域内にある空家等の所在及び当該空家等の所有者等を把握するための調査その他空家等に関しこの法律の施行のために必要な調査を行うことができる。
引用:空家等対策の推進に関する特別措置法|e-Gov法令検索
特定空き家に指定されると助言・指導が実施される

特定空き家に指定されると、行政が空き家の所有者に対して助言・指導を実施します。

空き家の所有者が助言・指導に従って特定空き家の状況を改善すれば、特定空き家の指定が解除されます。

第二十二条 市町村長は、特定空家等の所有者等に対し、当該特定空家等に関し、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置(そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態にない特定空家等については、建築物の除却を除く。次項において同じ。)をとるよう助言又は指導をすることができる。
引用:空家等対策の推進に関する特別措置法|e-Gov法令検索
特定空き家の所有者が助言・指導を無視すると勧告が実施される

行政が助言・指導をしても一切是正されなければ、空き家の所有者に対して勧告が実施される可能性があります。

市区町村からの勧告を受けると、住宅用地特例の対象から除外されるので、固定資産税・都市計画税の負担が最大6倍まで跳ね上がります

第二十二条
2 市町村長は、前項の規定による助言又は指導をした場合において、なお当該特定空家等の状態が改善されないと認めるときは、当該助言又は指導を受けた者に対し、相当の猶予期限を付けて、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとることを勧告することができる。
引用:空家等対策の推進に関する特別措置法|e-Gov法令検索
特定空き家の所有者が勧告に応じないと命令が発せられる

行政からの勧告を受けても所有者が自主的に空き家の状況を改善しようとしないと、行政が命令を発します

第二十二条
3 市町村長は、前項の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを命ずることができる。
4 市町村長は、前項の措置を命じようとする場合においては、あらかじめ、その措置を命じようとする者に対し、その命じようとする措置及びその事由並びに意見書の提出先及び提出期限を記載した通知書を交付して、その措置を命じようとする者又はその代理人に意見書及び自己に有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。
5 前項の通知書の交付を受けた者は、その交付を受けた日から五日以内に、市町村長に対し、意見書の提出に代えて公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。
6 市町村長は、前項の規定による意見の聴取の請求があった場合においては、第三項の措置を命じようとする者又はその代理人の出頭を求めて、公開による意見の聴取を行わなければならない。
7 市町村長は、前項の規定による意見の聴取を行う場合においては、第三項の規定によって命じようとする措置並びに意見の聴取の期日及び場所を、期日の三日前までに、前項に規定する者に通知するとともに、これを公告しなければならない。
8 第六項に規定する者は、意見の聴取に際して、証人を出席させ、かつ、自己に有利な証拠を提出することができる。
引用:空家等対策の推進に関する特別措置法|e-Gov法令検索

特定空き家の是正に関して命令が発せられるときには、意見聴取などの機会が設けられます。

この段階まで手続きが進むと行政代執行や罰則のリスクが高まっているので、速やかに適切な対策を講じるべきでしょう。

特定空き家の所有者が行政命令に違反すると過料・行政代執行の対象になる

まず、特定空き家について行政命令が発せられたにもかかわらずこれに違反すると、50万円以下の過料に処されます。

第三十条 第二十二条第三項の規定による市町村長の命令に違反した者は、五十万円以下の過料に処する。
引用:空家等対策の推進に関する特別措置法|e-Gov法令検索

次に、特定空き家について発せられた行政命令に違反した場合、所有者に代わって行政が特定空き家に対して工事などをおこなうことによって危険な状態を改善します。場合によっては、空き家が解体されて更地にされる可能性もあります。

そして、特定空き家について行政代執行がおこなわれると、行政代執行に要した費用を負担しなければいけません。

もし行政からの費用請求に応じることができないと、預貯金や給与債権、不動産などが差し押さえられる危険性があります。

第二十二条
9 市町村長は、第三項の規定により必要な措置を命じた場合において、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき又は履行しても同項の期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行法(昭和二十三年法律第四十三号)の定めるところに従い、自ら義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる。
引用:空家等対策の推進に関する特別措置法|e-Gov法令検索
第二条 法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。以下同じ。)により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為(他人が代つてなすことのできる行為に限る。)について義務者がこれを履行しない場合、他の手段によつてその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、当該行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することができる。
引用:行政代執行法|e-Gov法令検索

空き家の資産価値が下落する

相続したときには建物が手入れされた状態であったとしても、その後、適切に維持・管理をせずに放置すると、建物の資産価値が大幅に下落してしまいます。

たとえば、空き家の資産価値が減ってしまうと、不動産中古市場の相場よりも低廉な売価でしか成約を目指せないでしょう。

また、高値での売却を目指すにはリフォームなどを要しますが、空き家の状態が悪いと修繕費用が割高になるので、売却できたとしても手元に残るお金が少なくなってしまいます。

相続後に空き家関係でトラブルが生じたときの対処法4つ

空き家を相続したあとに取り扱いに困ったときには、そのまま放置してもデメリットやリスクが増大するだけです。

ですから、空き家を相続したあとに維持・管理が難しいときには、以下のような対処法を検討してください。

  1. 相続した空き家を売却する
  2. 相続した空き家を有効活用する
  3. 相続した空き家に自分で居住する
  4. 相続した空き家を寄付・無償譲渡する

なお、相続によって土地を取得した場合には、相続土地国庫帰属制度を利用することで土地を手放すことができます。法務大臣・法務局による審査をパスすれば、使い道のない土地を国に引き取ってもらえます。

ただし、相続土地国庫帰属制度の対象は「土地」なので、空き家を相続した場合には、解体をしたうえで更地にする必要があります。また、相続土地国庫帰属制度を利用するには、10年分の土地管理費相額の負担金を納付しなければいけません。

【参照】相続土地国庫帰属制度の概要|法務省

相続した空き家を売却する

「定期的に清掃するのが難しい」「固定資産税や維持費を負担する経済的余力がない」など、相続した空き家を維持しつづけるのが難しい場合には、空き家の売却を検討してください。空き家を売却すれば、空き家の維持・管理に関する負担から解放されます。

相続した空き家を売却するときには、不動産仲介業者か不動産買取業者に依頼をするのが一般的です。

不動産仲介業者 不動産買取業者
特徴 売主と買主とのマッチングをする 不動産業者自身が買主になる
メリット ・不動産中古市場の相場どおりに売却できる
・不動産仲介業者が広告・宣伝などに力を入れてくれる
・現状のまま数日から数週間で買取が実現する
・すぐに現金が手に入る
・空き家をめぐるトラブルから早期に解放される
・契約不適合責任を問われない
デメリット ・一般の買主が見つかるまで空き家を処分できない
・契約不適合責任を問われる
・通常、売却までに数ヶ月以上の期間を要する
・仲介手数料の負担が生じる
・不動産中古市場の相場よりも低い金額で買い取られる

たとえば、立地条件が恵まれている、状態が良いなど、相続した空き家が不動産中古市場で人気なら、不動産仲介業者に依頼をするのが適しています。

これに対して、不人気エリアに所在している、建物の老朽化が進んでいるために売りに出すには大幅なリフォームが必要、複数の相続人で共有しているため権利関係が複雑になっているなどの事情があるなら、不動産仲介業者に依頼をしても買い手が見つからない可能性が高いので、不動産買取業者に依頼をしてすぐに現金化したほうが良いでしょう。

不動産仲介業者に依頼をするとしても、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約のいずれの形式で業者に依頼するかによって売却難易度は異なります。また、不動産仲介業者によって得意のエリア・物件の種類が違うので、空き家の特性に応じた業者を選ぶ必要があります。1社だけを決め打ちで選んでも空き家の早期現金化は実現しにくいので、空き家の売却を考えているなら、複数の不動産業者に連絡をして売却可能性などについて意見をもらうと良いでしょう。

相続した空き家を売却するときに利用できる控除制度

相続した空き家の売却を検討しているなら、売却時期に注意が必要です。

というのも、相続した空き家を売却するタイミング次第では、税制面での優遇措置を受けられなくなってしまうからです。

相続によって取得した空き家の売却に関連する特例制度として、以下のものが挙げられます。

特例の名称 主な節税効果 売却時期に関する要件
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 相続または遺贈によって取得した被相続人の居住用家屋・居住用家屋の敷地を平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売ったときには、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除できる。 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却しなければいけない。
相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例) 相続開始の直前における宅地等の利用区分に応じて定められた限度面積に限り、相続税の課税価格を一定割合で減額する。たとえば、被相続人等の居住の用に供されていた宅地等については、330㎡に限って80%減額できる。 相続した空き家を相続税の申告期限まで保有している必要がある。
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例 相続または遺贈により取得した土地、建物、株式などの財産を一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算できる。 相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡しなければいけない。

No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁
No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁
No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁

相続した空き家を有効活用する

相続した空き家をそのままの状態で放置すると、維持・管理コストや掃除などの労力などの負担を強いられるだけです。

もし、相続した空き家を売却するつもりがないなら、有効活用の方法を模索するのも選択肢のひとつです。

相続した空き家からコスト以上の利益を得ることができれば、負の遺産になるのを回避できるでしょう。

たとえば、相続した空き家の有効活用方法として、以下のものが挙げられます。

  • 空き家をそのままの状態で賃貸
  • 空き家を解体してマンション・アパート経営
  • 民泊
  • コインランドリー
  • 月極駐車場、コインパーキング
  • トランクルーム、コンテナハウス
  • 太陽光発電
  • 貸し農園、シェア畑
  • 自動販売機設置
  • カーシェア設置 など

どの有効活用方法が適しているかは、立地条件、面積、空き家の状態などの個別事情次第です。

不動産業者や建設会社、大手ハウスメーカーなどに相談すれば、相続した空き家に適した有効活用方法を提案してくれるでしょう。

相続した空き家に自分で居住する

建物は人が日常的に生活しているほうが劣化しにくいと言われています。

ですから、相続した空き家に自分で居住できるなら、引越しをして自宅として利用したり、事業活動の拠点として活用したりするのも選択肢のひとつでしょう。

相続した空き家を寄付・無償譲渡する

相続した空き家の売却が難しい状況なら、寄付や無償譲渡によって第三者に所有権を移転することで、空き家をめぐるトラブルや権利関係から解放されます。

NPO法人、自治体、家族や知人など、不動産を引き取ってくれる場合があるので、自治体の窓口に問い合わせたり空き家バンクを利用したりすると良いでしょう。

【参照】空き家・空き地バンク総合情報ページ|国土交通省

遺産に空き家が含まれているときに弁護士に相談・依頼するメリット5つ

被相続人が土地・建物を所有している状態で相続が発生したときには、必ず弁護士に相談・依頼をしてください

というのも、遺産相続トラブルへの対応が得意な弁護士の力を借りることで、以下5つのメリットを得られるからです。

  1. 空き家が原因で生じたご近所トラブルを解決してくれる
  2. 空き家を相続したときのデメリットを具体的に解説してくれる
  3. 相続放棄をするべきかどうかを判断してくれる
  4. 空き家が原因でトラブルが生じないような遺産分割協議案を提案してくれる
  5. 空き家以外の遺産相続トラブルへの対応も期待できる

空き家が原因でご近所トラブルが生じたときの対応をサポートしてくれる

空き家が原因でご近所トラブルが生じると、損害賠償請求などの法的責任を追及されることがあります。

弁護士はすべての法律トラブルに対応してくれるので、ご近所との示談交渉や民事訴訟、刑事弁護などをすべて任せることができるでしょう。

空き家を相続したときのデメリットを具体的に解説してくれる

相続財産に空き家が含まれている場合、空き家を相続したあとにどのような取り扱いを決めてから、遺産分割手続きを進める必要があります。

というのも、有効活用する目処が立っていなかったり、不動産中古市場で買い手が見つからないような不人気物件だったりするのに、考えなしに空き家を相続してしまうと、取得したあとに空き家の維持・管理をめぐってさまざまなデメリットを強いられてしまうからです。

遺産相続トラブルへの対応が得意な弁護士に相談・依頼をすれば、被相続人が所有していた不動産の具体的な事情を総合的に考慮したうえで、空き家を相続するとどのようなデメリットやご近所トラブルが生じうるかを事前にアドバイスしてくれるでしょう。

相続放棄をするべきかを判断してくれる

空き家を相続すると、相続登記手続きの負担を強いられたり、空き家の維持・管理で悩まされたりすることが多いです。

もし、空き家を相続しても使い道がない場合、空き家以外に目ぼしい遺産がない場合、空き家のほかには被相続人名義の借金やローンなどしか存在しない場合には、相続放棄をするのも選択肢のひとつです。

相続放棄とは、被相続人のプラスの財産・マイナスの財産のすべてを承継しないことです。相続放棄をすれば最初から相続人ではなかったとみなされるので、空き家を含むすべての遺産分割手続きから離脱できます

(相続の放棄の効力)
第九百三十九条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
引用:民法|e-Gov法令検索

遺産相続事案の経験豊富な弁護士に相談・依頼をすれば、適切に相続財産調査を尽くしたうえで、相続放棄をするべきかどうかを判断したうえで、家庭裁判所への申述手続きなどを全面的にサポートしてくれるでしょう。

相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時(通常は、被相続人が死亡した日)から3ヶ月以内に、家庭裁判所に相続放棄の申述をしなければいけません。また、相続放棄をする前に遺産の一部を処分するなどすると、単純放棄をしたものとみなされて、相続放棄ができなくなってしまいます。ですから、被相続人が死亡したときには、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談をして、遺産に対する適切な管理・処分方法についてアドバイスをもらうべきだと考えられます。

空き家関係でトラブルが生じないような遺産分割協議案を提案してくれる

遺産に空き家などの不動産が含まれており、かつ、法定相続人が複数人存在する場合には、空き家などの不動産の遺産分割方法について相続人同士でトラブルが生じる可能性があります。

というのも、誰がどの財産をどのような割合で取得するのかについて意見が合致しないことが多いからです。

一般的に、空き家などの不動産の分割方法として、以下の4種類が挙げられます

  1. 現物分割:相続人ひとりが土地・建物をそのままの状態で相続する方法。
  2. 代償分割:ひとりの相続人が土地・建物を相続する代わりに、ほかの相続人に対して代償金を支払う方法。
  3. 換価分割:土地・建物を売却して現金化し、相続人同士で現金を公平に分ける方法。
  4. 共有分割:法定相続人それぞれの持分割合に応じて土地・建物を共有する方法。

どの分割方法が適しているかは事案によって異なります

たとえば、相続人全員が空き家を取得したがらず、かつ、公平な遺産分割を希望するなら、換価分割が適しているでしょう。

しかし、不動産中古市場で買い手が見つからないような空き家の場合には、換価分割は難しい以上、共有分割をせざるを得ません。

もっとも、不動産の共有状態が生じると、将来的に売却や大規模リフォームをする際に共有名義人全員の同意が必要になるため、機動的な処分が難しくなってしまいます。

遺産相続トラブルへの対応が得意な弁護士に相談・依頼をすれば、遺産の構成内容や各相続人の意向、空き家の特性などを総合的に考慮したうえで、相続人全員が納得できる遺産分割協議案を提案してくれるでしょう。

空き家の相続方法で意見がまとまらずに遺産分割協議が不調に終わると、家庭裁判所の遺産分割調停・遺産分割審判を利用して遺産相続方法を決めなければいけません。弁護士に依頼をすれば、これらの裁判所関係の手続きを代理してくれるので、遺産分割手続きに対応する時間的・労力的な負担を強いられることはないでしょう。

空き家以外の遺産相続トラブルへの対応も期待できる

遺産相続が発生すると、空き家関係以外にもさまざまなトラブルが生じる可能性があります。

弁護士に相談・依頼をすれば、以下のような遺産相続トラブルへのフルサポートを期待できるので、安心して遺産相続手続きを進めることができるでしょう。

  • 遺言書の内容に問題があったために遺言書の有効性を争いたい
  • 遺言書や生前贈与で侵害された遺留分を取り戻したい
  • 生前被相続人の世話をした分の貢献度を遺産分割手続きに反映したい
  • ほかの相続人が遺産を使い込んだ可能性がある
  • 相続人の一部と連絡がとれずに遺産分割協議を進めることができない
  • 被相続人が誰からどれだけの借金をしていたかわからない など

空き家を相続してご近所トラブルになったときは弁護士に相談・依頼しよう

空き家を相続してご近所トラブルに発展したときや、遺産に使い道がない空き家が含まれているときには、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談・依頼をしてください

弁護士の力を借りれば、空き家の売却や有効活用の方法を考えてくれたり、ご近所との間で生じた法律トラブルの解決に向けてサポートをしてくれたりするでしょう。

遺産相続相談弁護士ほっとラインでは、空き家をめぐる遺産相続トラブルへの対応が得意な弁護士を多数紹介中です。弁護士に相談・依頼するタイミングが早いほど円滑な解決を期待しやすくなるので、速やかに信頼できる法律事務所までお問い合わせください。

遺産相続の相談なら専門家にお任せください!

  • 遺産分割の手続き方法が知りたい
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相続のトラブルは弁護士しか対応できません。ご相談は早ければ早いほど対策できることが多くなります。

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