
親の自宅や土地を相続することになったとき、名義変更だけを済ませればよいと考えていないでしょうか。不動産の相続では、借金の確認、遺産の分け方、税金の申告、相続後の管理まで考える必要があります。特に、相続放棄・相続税の申告・相続登記には異なる期限があり、手続きの順番を間違えると負担が増えるおそれがあります。
この記事では、不動産を相続する前から管理・売却までの注意点を、手続きの流れに沿って解説します。まずは財産と負債の全体像を把握し、誰が取得してどのように使うかを考えましょう。
目次
不動産を相続する前の注意点|名義・財産価値・借金を確認する
不動産を引き継ぐか判断するには、所有者や価格だけでなく、借金や維持費も調べることが大切です。自宅以外の土地や共有持分を見落とさないよう、複数の資料を照らし合わせましょう。
登記事項証明書で所有者の名義や抵当権の有無を確認する
まずは法務局で登記事項証明書を取得し、土地と建物それぞれの名義を確認します。共有不動産であれば、原則として亡くなった人が持っていた持分が相続の対象になります。
あわせて、住宅ローンなどの担保である抵当権や、差押えの記載も調べましょう。ただし、抵当権の記載だけでは現在の借金の残高はわかりません。返済済みでも抹消されていないことがあるため、借入先の資料と照合する必要があります。
固定資産税の通知書や名寄帳などで相続する不動産を調べる
固定資産税の納税通知書や課税明細書は、所有していた不動産を調べる手がかりになります。ただし、税金がかからない土地や、別の市区町村にある不動産まで、手元の通知書にすべて載っているとは限りません。市区町村で名寄帳などを取り寄せ、非課税の物件を含めてどの範囲を確認できるか窓口で尋ねましょう。
2026年2月に始まった所有不動産記録証明制度も、登記上の所有不動産を一覧で調べる方法です。ただし、指定した氏名・住所と登記記録が一致しない物件は抽出されないため、過去の住所にも注意が必要です。
売却価格と相続税の評価額を分けて確認する
不動産には、実際に売れる見込みの価格と、税金の計算に使う評価額があります。相続税では土地を路線価方式や倍率方式などで評価し、家屋は原則として固定資産税評価額を基に計算します。一方、売却価格は立地、建物の状態、買い手の需要などによって変わるため、税務上の評価額と一致するものではありません。
遺産分割の話し合いでは、どの価格を基準にするかを相続人同士でそろえることが大切です。売却を考えるなら複数社に査定を依頼し、査定額から売却費用を差し引いた手取りも確認しましょう。
住宅ローンの残債や滞納している税金・管理費を確認する
預貯金や不動産だけでなく、住宅ローンなどの負債も原則として相続の対象です。金融機関の残高証明書や返済予定表に加え、固定資産税、マンションの管理費・修繕積立金などの未払いも調べましょう。賃貸物件であれば、借主に返す敷金など、引き継ぐ契約上の負担にも目を向ける必要があります。
住宅ローンは、団体信用生命保険の支払対象となれば残債が弁済される場合があります。ただし、加入状況や保障内容によって扱いが変わるため、死亡の連絡とあわせて金融機関に確認してください。
相続放棄は原則として自分の相続開始を知った日から3か月以内に判断する
借金や管理負担が大きい場合は、相続放棄も選択肢です。家庭裁判所への申述は、原則として自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内に行います。不動産の調査が終わってから自由に3か月を数えられるわけではないので、早めに期限を確認しましょう。
相続放棄は、不要な土地だけを手放して預貯金を受け取る制度ではありません。また、遺産を売却するなどの処分をすると、相続を承認したと扱われ、放棄できなくなるおそれがあります。期限内に調査を終えられない場合は、期間が過ぎる前に家庭裁判所へ熟慮期間の伸長を申し立てる方法があります。
不動産の相続登記に関する注意点|手続きの期限と必要書類
相続登記とは、亡くなった人から不動産を取得した相続人へ、登記上の名義を変更する手続きです。2024年4月から義務化されており、過去の相続で名義を変えていない不動産も確認が必要です。
相続による不動産の取得を知った日から原則3年以内に登記を申請する
相続人は、自分のために相続が始まったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に登記を申請する必要があります。「親が亡くなった日から必ず3年」とだけ覚えると、後から不動産が見つかった場合などに判断を誤りかねません。対象物件をいつ知ったのか、資料や連絡の記録も残しておくと安心です。
この義務は、自分が住む予定のない土地や、価値が低い不動産にも及びます。また、相続税がかからない場合でも、登記の義務がなくなるわけではありません。税務申告と名義変更は別々の手続きとして、予定を管理しましょう。
2024年4月より前から相続を知っていた未登記の不動産は原則2027年3月31日が期限となる
2024年4月1日より前に相続による取得を知っていた不動産も、未登記であれば義務化の対象です。この場合の原則的な期限は、2027年3月31日となります。
一方、昔に発生した相続でも、不動産の取得を知ったのが2024年4月以降なら、原則としてその日から3年以内です。先代の名義のまま相続が重なると、関係する相続人や必要書類が増えることがあります。古い権利証や納税通知書に亡くなった親族の名前があれば、期限まで余裕があると思わず調べ始めてください。
正当な理由なく登記を怠ると10万円以下の過料が科される可能性がある
正当な理由なく相続登記の申請義務に違反すると、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。期限を過ぎれば直ちに一律10万円が請求されるという仕組みではありませんが、放置してよい理由にはなりません。法務局から案内や催告が届いた場合は、内容を確認して対応しましょう。
相続人が極めて多く、戸籍の収集や把握に時間がかかる場合などは、正当な理由が認められることがあります。ただし、個別の事情に応じて判断されるため、自分で「忙しいから大丈夫」と決めつけないことが大切です。申請が難しい事情があれば、司法書士や法務局に相談して対処法を確認してください。
戸籍謄本や遺産分割協議書など相続方法に応じた必要書類をそろえる
相続登記の必要書類は、遺言による取得か、遺産分割による取得かなどで異なります。まずは遺言書の有無を確認し、誰がどの不動産を取得するのかを整理しましょう。代表的な資料は次のとおりですが、すべてのケースで同じ組み合わせになるわけではありません。
- 亡くなった人の戸籍・除籍謄本、住民票の除票など
- 相続人の戸籍謄本、不動産を取得する人の住民票など
- 遺産分割協議書と印鑑証明書、または遺言書など
- 不動産の評価額を確認する資料と登記申請書
遺産分割協議による場合は、原則として相続人全員で合意し、物件を正確に特定した協議書を作成します。登記上の住所と死亡時の住所が違う場合などには、追加資料が必要になることもあります。戸籍の取り寄せを始める前に申請方法を確認すると、資料の取り直しを減らせるでしょう。
遺産分割がまとまらない場合は相続人申告登記を検討する
相続人申告登記は、自分が登記名義人の相続人であることなどを申し出て、基本的な申請義務を果たす制度です。遺産分割がまとまらず、通常の相続登記を期限内に申請できない場合などに利用を検討できます。相続人1人でも申し出ることができ、登録免許税はかかりません。
ただし、相続人申告登記だけでは、誰が所有権を取得したかを確定して公示することはできません。売却や抵当権の設定には、別途、相続登記が必要です。また、1人が自分の分だけ申し出ても、他の相続人全員が義務を果たした扱いにはならない点に注意しましょう。
相続人申告登記の後も遺産分割が成立したら原則3年以内に相続登記を行う
相続人申告登記を利用した後に遺産分割が成立した場合は、不動産を取得した相続人に追加の登記義務が生じます。原則として、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容に沿った相続登記を申請しなければなりません。相続人申告登記を済ませたから、その後の名義変更は不要ということではありません。
この追加の義務を、もう一度相続人申告登記をするだけで果たすことはできません。協議書の完成とあわせて登記の担当者と予定を決め、手続きを後回しにしないようにしましょう。
不動産を共有名義で相続する際の注意点とトラブルを防ぐ分け方
共有名義は持分を分けられる一方、利用や処分を自分だけで決められない場面があります。相続時の公平さだけでなく、将来の売却や次の相続まで考えて分け方を選びましょう。
不動産全体を売却するには原則として共有者全員の同意が必要になる
共有している不動産全体を通常の売買で売るには、原則として共有者全員の同意が必要です。持分を多く持っていても、他の共有者の持分まで一方的に売却することはできません。売りたい人と住み続けたい人が分かれれば、買い手が現れても契約が進まないおそれがあります。
自分の共有持分だけを売ることは原則として可能ですが、不動産全体の売却とは条件や買い手が異なります。第三者が共有者となり、残った家族との関係が難しくなることも考えられるでしょう。なお、管理や保存などの行為まで一律に全員同意が必要なわけではなく、行為の種類によって決め方が変わります。
固定資産税や修繕費の負担・住む人の使用条件でもめることがある
共有名義では、「住んでいないのに修繕費を払うのか」「1人だけ無料で住んでよいのか」といった問題が起こりがちです。共有物の管理費用などは、原則として持分に応じて負担します。ただし、共有不動産の固定資産税には連帯納税義務があり、家族内での分担と自治体に対する責任は分けて考える必要があります。
共有を選ぶ場合は、居住者、費用の分担、修繕の決め方、将来売却する場合の方針を文章にしておきましょう。1人が住むなら、使用料の有無や退去時の扱いも話し合うことが大切です。口約束だけに頼らず、領収書や支払記録を共有できる形にすると、後から精算しやすくなります。
共有者が亡くなると相続によって権利関係が複雑になる
共有者が亡くなると、その人の持分はさらに相続の対象になります。兄弟2人で共有していた土地でも、次の相続でそれぞれの配偶者や子どもが関係し、共有者が増える可能性があります。人数が増えるほど、売却への意見や生活事情をそろえることは難しくなるでしょう。
そのため、「今は仲がよいから問題ない」という理由だけで共有を決めることは避けたいところです。共有にする場合でも、将来どのように解消するかを相続時に話し合っておくと、次の世代の負担を減らせます。
1人が不動産を取得してほかの相続人にお金を払う代償分割を検討する
代償分割は、1人が不動産を取得し、その代わりに他の相続人へお金などを渡す方法です。自宅に住み続けたい相続人がいる場合に、共有を避けながら分ける手段になります。例えば、相続人が子ども2人で、他の遺産や負債がなく、双方が3,000万円の家を半分ずつ分けることに合意したとします。
この場合、1人が家を取得し、もう1人に1,500万円を支払う形が考えられます。ただし、取得する人に支払資金がなければ実行できず、無理な分割払いは新たな争いにつながります。価格の決め方、支払期限、支払方法を協議書に記載し、現実に支払える条件か確認してください。
不動産を売却して代金を分ける換価分割を検討する
換価分割は、不動産を売って現金に換え、その代金を相続人で分ける方法です。誰も住む予定がない家や、代償金を用意できない場合に検討しやすい分け方といえます。現金で分配できる一方、売却価格や売れる時期が確定するまで、最終的な受取額はわかりません。
話し合いでは、仲介手数料、測量費、解体費などを誰が負担し、残額をどう分けるかも決めましょう。売却手続きのための登記名義や代表者の役割も、事前に整理する必要があります。特定の相続人に登記してから代金を渡す場合は、協議書の書き方によって税務上の疑問が生じないよう、専門家に確認すると安心です。
土地を分けて相続する場合は分筆後の使いやすさや価値を確認する
広い土地であれば、登記上の土地を分ける「分筆」を行い、それぞれが別の土地を取得する方法もあります。ただし、面積を半分にしても、価値まで半分ずつになるとは限りません。道路に面する長さや土地の形によっては、片方だけ建物を建てにくくなることがあるためです。
分筆を考える際は、境界、道路との接し方、建築に関する地域の制限を確認しましょう。測量や登記などの費用もかかるため、分けた後の価格と負担を合わせて判断する必要があります。土地家屋調査士や不動産会社に相談し、分筆後の図面を見ながら遺産分割を決めてください。
不動産の相続にかかる税金・費用と申告時の注意点
不動産の相続では、相続税のほかにも登記費用や取得後の維持費が発生します。不動産の価格が高くても現金が十分に残るとは限らないため、支払時期と資金の用意を並行して考えましょう。
不動産以外の財産も含めて相続税の申告が必要か確認する
相続税の要否は、不動産だけで判断するものではありません。預貯金、株式などに加え、課税対象となる生命保険金や一定の生前贈与も確認し、控除できる債務や葬式費用などを整理します。基本となる基礎控除額は、3,000万円+600万円×法定相続人の数です。
例えば、法定相続人が配偶者と子ども2人の計3人なら、基礎控除額は4,800万円となります。ただし、養子がいる場合の人数の数え方や、相続放棄をした人がいる場合には税法上の決まりがあります。特例の利用で税額がゼロになる場合にも申告が必要なことがあるため、最終的な納税額だけで判断しないようにしましょう。
相続税の申告・納税は原則として死亡を知った日の翌日から10か月以内に行う
相続税の申告と納税は、原則として亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に行います。申告先は原則として、亡くなった人の死亡時の住所を管轄する税務署です。
不動産の評価や戸籍の収集、遺産分割には時間がかかるため、10か月は十分な余裕がある期間とは限りません。納税は金銭での一括納付が原則であり、売却代金を充てる予定なら売却の遅れも想定する必要があります。財産調査の段階で申告の可能性が見えたら、税理士に相談し、資金と日程を整理しましょう。
小規模宅地等の特例は適用条件と申告の必要性を確認する
小規模宅地等の特例は、一定の条件を満たす土地について、相続税の計算に使う評価額を減らせる制度です。例えば、特定居住用宅地等に該当する場合は、330平方メートルまで80%の減額を受けられます。ただし、家屋自体の評価額まで80%減る制度ではありません。
適用条件は取得する人によって異なり、同居親族などには申告期限までの居住や保有が必要になる場合があります。特例を使って税額がゼロになる場合でも、適用を受けるための申告が必要です。早期売却で条件を満たせなくなることもあるため、自宅を売る時期を決める前に確認しましょう。
遺産分割が終わっていなくても相続税の申告期限は延びない
遺産分割協議がまとまらなくても、それを理由に相続税の申告期限は延びません。未分割の財産は原則として法定相続分などで取得したものとして計算し、期限内に申告・納税する必要があります。この段階では、未分割の宅地について小規模宅地等の特例を適用できない点にも注意が必要です。
その後に分割が成立した場合は、実際の取得内容に合わせて修正申告や更正の請求を行います。一定の手続きをしたうえで原則として申告期限から3年以内に分割できれば、後から特例を適用できる場合があります。添付書類や請求期限があるため、話し合いが長引きそうな段階で税理士と対応を決めましょう。
登記の登録免許税・書類取得費・司法書士報酬を見込んでおく
相続による所有権移転登記の登録免許税は、原則として固定資産税評価額を基にした不動産の価額の0.4%です。例えば、課税標準となる価額が2,000万円なら、税額は原則8万円になります。ただし、一定の土地には免税措置があるため、適用条件と申請時点の制度を確認しましょう。
このほか、戸籍謄本や評価証明書などの取得費、司法書士に依頼する場合の報酬がかかります。報酬は物件数や相続関係の複雑さによって異なるので、一律の金額では決まりません。見積もりでは、税金・実費・報酬を分け、戸籍収集や協議書作成が含まれるかも確認してください。
不動産を相続した後の固定資産税や維持費も計算する
不動産は取得時だけでなく、持ち続ける間にも費用がかかります。固定資産税や地域によって課される都市計画税に加え、火災保険料、修繕費、草刈り代、管理会社への委託費などを見込んでください。
固定資産税は原則として毎年1月1日の所有者に課され、年の途中で相続や売却があっても月割りで自動的に課税先が切り替わるわけではありません。納付書が誰に届くかだけでなく、相続人間で実際に誰が負担するかも整理しましょう。年間維持費を計算し、数年間保有した場合の総額と売却時の手取りを比べることが大切です。
相続した不動産を管理・売却する際の注意点|空き家や不要な土地への対応
利用予定のない不動産でも、放置すれば管理費用や事故の危険が増えるおそれがあります。管理を続けながら、売却・解体・国庫帰属などの選択肢を費用と条件で比較しましょう。
空き家は定期的に管理し老朽化や近隣への被害を防ぐ
空き家では、雨漏りや設備の不具合に気づくのが遅れ、傷みが進むことがあります。庭木の越境、害虫、屋根材の落下などは、近隣とのトラブルにつながる可能性もあります。
管理では、換気、通水、郵便物の回収、外壁や屋根の点検などを、状態に合わせて行います。遠方で通えない場合は、地元の管理会社などに委託し、作業内容と緊急時の連絡方法を確認してください。危険な建物に無理に立ち入らず、保険が空き家の使用状況に対応しているかも見直しておくと安心です。
管理不全空家や特定空家として勧告を受けると土地の税負担が増えることがある
管理が行き届かない空き家は、状態に応じて管理不全空家等や特定空家等として行政の対応対象になる場合があります。これらについて法律に基づく勧告を受けると、敷地が固定資産税などの住宅用地特例の対象から外れることがあります。空き家になっただけで直ちに特例が外れるわけではありませんが、放置は避けるべきです。
住宅用地特例は税額そのものではなく、税金を計算する基礎となる課税標準を軽減する仕組みです。そのため、特例がなくなっても税額が必ず一律6倍になるとは限りません。自治体から指導などを受けた場合は、必要な改善と期限を確認し、対応内容を記録してください。
参考:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」
売却前に相続登記を済ませて境界や建物の状態を確認する
相続した不動産を売却する際は、買主への所有権移転登記までに相続登記を済ませる必要があります。査定や売却の相談は登記完了前でも進められますが、名義や相続人が未整理のまま決済日を約束することは避けましょう。抵当権が残る場合は、抹消の手続きも確認します。
土地の境界、隣地への越境、道路との関係、建物の雨漏りなども売却条件に影響します。把握している不具合は不動産会社に伝え、契約でどこまで責任を負うかを整理することが大切です。測量や調査には時間がかかるため、売出価格を決める段階で必要性を相談してください。
空き家を解体する前に固定資産税や売却への影響を確認する
古い家は、解体すれば必ず高く売れるとは限りません。建物を活用したい買い手がいる一方、再建築の条件によっては、解体後に同じような家を建てられないこともあります。まずは建物付きで売る場合と、更地にして売る場合の査定や費用を比較しましょう。
解体すると、原則として住宅用地特例の対象から外れ、土地の税負担が増える可能性があります。解体費のほか、家財処分費、アスベストへの対応費、建物の滅失登記なども確認が必要です。解体の契約前に、自治体への税額確認と不動産会社への売却相談を済ませると判断しやすくなります。
売却益にかかる税金と相続空き家の3,000万円特別控除の適用条件を確認する
相続不動産の売却では、売却額から取得費や譲渡費用などを差し引いた利益に、所得税や住民税がかかる場合があります。取得費や所有期間は原則として亡くなった人のものを引き継ぐため、昔の売買契約書などを探しておきましょう。相続時の評価額が、そのまま売却時の取得費になるわけではありません。
相続した一定の空き家には、譲渡所得から最高3,000万円を控除する特例があります。ただし、対象の家屋と敷地等を取得した相続人が3人以上の場合、2024年以降の譲渡では上限が2,000万円となります。主な確認事項は次のとおりで、これ以外にも条件があります。
- 原則として1981年5月31日以前に建築された家屋であること
- 区分所有建物ではなく、原則として相続直前に被相続人以外の居住者がいないこと
- 相続後の利用状況や、耐震改修・解体に関する条件を満たすこと
- 売却代金が1億円以下で、相続開始からの売却期限を満たすこと
制度上の適用期限は、2026年11月時点で2027年12月31日です。原則として相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までという期限もあり、両方を確認します。買主が売却後に解体などをする場合にも期限と要件があるため、契約前に税理士へ相談してください。
参考:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
不要な土地は相続土地国庫帰属制度の対象になるか確認する
相続土地国庫帰属制度は、相続などで取得した一定の土地を、審査を経て国に引き渡せる制度です。売れない土地を無条件で無料処分できる仕組みではなく、建物がある土地や、境界が明らかでない土地などは申請できません。
審査手数料に加え、承認後には原則として20万円を基本とする負担金が必要で、土地の種類や面積によって増える場合があります。建物の解体や障害物の撤去が必要なら、その費用も比較しなければなりません。共有地は原則として共有者全員で申請する必要があるため、まず法務局に相談して利用の見込みを確認しましょう。
不動産の相続は注意点を確認し、登記や遺産分割を進めよう
不動産の相続では、まず名義と財産・負債を調べ、引き継ぐかどうかを判断することが大切です。そのうえで、共有を続ける負担や税金、管理費を踏まえ、取得する人と利用方法を決めましょう。
特に、次の期限は別々に管理してください。いずれか1つの手続きを済ませても、他の手続きが不要になるわけではありません。
| 手続き | 原則的な期限 |
|---|---|
| 相続放棄 | 自分のための相続開始を知った時から3か月以内 |
| 相続税の申告・納税 | 死亡を知った日の翌日から10か月以内 |
| 相続登記 | 相続開始と不動産の所有権取得を知った日から3年以内 |
| 義務化前から取得を知っていた不動産の相続登記 | 原則2027年3月31日まで |
遺産分割の争いや相続放棄は弁護士、相続税は税理士、相続登記は司法書士、境界や分筆は土地家屋調査士が主な相談先です。売却や解体を急ぐ前に必要な確認を済ませ、期限のある手続きから進めていきましょう。